戸籍集めの攻略法についてまとめました

戸籍集め攻略ガイドブック
―――監修:日本みらいと司法書士事務所 司法書士 椎名秀樹

戸籍集めは思っている以上に面倒らしい・・・

相続手続きを進めるにあたって「戸籍集め」は避けて通れないポイントです。

不動産名義変更・預貯金の相続手続き・遺産分割協議書作成など、全ては戸籍が揃わない限りはじまりません。

こちらでは、「難解・面倒」で多くの方が苦労される「戸籍集め」の基本情報お伝えしたいと思います。
どうぞお役立てください。
 

Q必要となる戸籍の範囲は??―事例によって大きく異なる戸籍謄本の量

まず、相続手続きに必要な戸籍は、「誰が相続人であるか」によって大きく変わることを知ってください。

あなた様の準備するべき戸籍については、「必要書類一覧表」にてひと通りご案内させていただきました。
ですが、ここであらためて確認していきたいと思います。

A必要となる戸籍謄本の種類・量について

【1.配偶者・子(第1順位)が相続人となるケース】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・相続人(配偶者・子)の現在の戸籍

【2.配偶者・親(第2順位)が相続人となるケース(被相続人に子、孫がいない場合)】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・相続人(配偶者・親)の現在の戸籍
・亡くなった子の出生から死亡までの戸籍(子がいたが先に亡くなっている場合)

【3.配偶者・兄弟姉妹(第3順位)が相続人になるケース(被相続人に子、孫がいない:両親は既に他界している)】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・相続人(配偶者・兄弟姉妹)の現在の戸籍
・亡くなった子の出生から死亡までの戸籍(子がいたが先に亡くなっている場合)
・既に亡くなっている両親の出生から死亡までの戸籍

では早速、戸籍謄本の取得方法についてお話を進めていきたいと思います。

戸籍取得の方法をご紹介するにあたって、最もポピュラーな「配偶者・子」が相続人であるケースをもとに解説いたします。

1.配偶者・子(第1順位)が相続人となるケースに必要な戸籍謄本
A.被相続人の出生から死亡までの戸籍
B.相続人(配偶者・子)の現在の戸籍

戸籍謄本集めでは主に2つの戸籍を集めることになります。

ひとつは「被相続人(故人)の戸籍」、もう一つは「相続人(配偶者・子供など)」の戸籍です。

相続人(生きている方)の戸籍については、自分の戸籍謄本を役所に請求すれば簡単に取得できますので何も難しいことはありません。そのため、ここでは省略させていただきます。

問題は「被相続人(故人)」の戸籍です!ここから被相続人の戸籍取得に対する解説をしていきます。

戸籍は「本籍」と「筆頭者」によって特定される

戸籍謄本を請求する際に必要な情報は「本籍地」・「筆頭者」の情報です。
※本籍地と住所は同じとは限りませんので注意してください。

本籍地が分かっている場合には該当の市区町村に戸籍の請求をしてください。
例:豊島区役所への請求→「本籍:豊島区池袋2丁目○○番地  筆頭者:椎名秀樹」の戸籍を発行してください

【困った・・・本籍地がわからないときは???】

現在、運転免許証に本籍地の記載はありません。そのため被相続人の本籍地がわからないというケースもでてきます。
そのようなときには「住民票」を取得しましょう!!

被相続人の住民票を「住所地」の市区町村に請求。
そのときに、「本籍地・筆頭者」の情報を入れた住民票を請求してください。

→その結果、被相続人の本籍地と筆頭者の情報が判明します。これでひとまず安心です。
戸籍取得にあたって必要なもの
戸籍取得には主に2種類の方法があります。

1.窓口に取りに行く
2.郵送で請求する

それぞれ、戸籍請求にあたって準備すべきものがございます。ご紹介していきます。

【1.窓口に戸籍を取りに行く場合】

・窓口に行かれる方の本人確認書類(運転免許証など)
・印鑑(認印でOK)
・既に取得している戸籍があるときは、それら一式(関係性の証明のため)

窓口に直接行く場合はいたってシンプルです。窓口で1時間近く待つことにはなりますが当日その場で戸籍謄本を受領することができます。料金はその場で現金で支払うことができます。

【2.郵送請求の場合】

お仕事をされていて休めない方・本籍地が遠方のときには郵送請求が有効です。

・戸籍申請書(各市町村のHPから印刷可能です。「○○市 戸籍 郵送」で検索すればすぐに出てきます!!)
・本人確認書類のコピー
・返信用封筒(切手を貼っておくこと)
・定額小為替(こちらで支払います)
・関係性がわかる戸籍(既に取得している戸籍がある場合のみ)
→よくわからないときは手元にある戸籍全てのコピーを添付しておくと確実

窓口請求と比べるととても面倒です。気を付ける点としては「支払い方法」です。

郵送請求の場合は「定額小為替」にて支払いが必要です。
こちらは最寄りの郵便局で購入できます。こちらを事前に購入して併せて郵送します。

【注意:定額小為替は多めに入れておこう!】
お釣りを返してくれますので損はありません。郵送した小為替の金額が不足していると、「○○円足りないから追加で送ってください!!」と役所の方から電話がかかってきます。無駄に時間がかかってしまうので要注意です。

戸籍取得にあたって伝えるべきこと(郵送の場合はメモ書きで同封すべきこと)
被相続人(故人)の戸籍は、「出生~死亡」までの一連した戸籍が必要になります。
役所の方に必要戸籍を漏れなく確実に出してもらうため、「事前にひと言」かけておくと安心です。

例:被相続人Aさんの戸籍を板橋区役所へ請求するとき
→「相続手続きに利用するためAの出生から死亡までの戸籍が必要です。板橋区役所にあるAが記載されている全ての戸籍を各1通ずつ交付してください。」

忘れずにそのひと言(メモ書き)を伝えましょう。
ひとつの役所で全ての戸籍が揃うことは稀です

被相続人(故人)の戸籍は、「出生~死亡」までの一連した戸籍が必要です。
その際に、ひとつの役所で全ての戸籍が揃うことは珍しいとお考え下さい。

【具体例1:被相続人Aさん(女性)】
生まれは千葉県。千葉県銚子市に戸籍が作られる。

結婚により東京都北区に戸籍を作る。(その後亡くなる)
≪結論:この場合には「東京都北区・千葉県銚子市」の双方にAさんの戸籍請求が必要。≫

【具体例2:被相続人Bさん(男性)】
生まれは新潟県。新潟県長岡市に戸籍が作られる。

結婚により埼玉県所沢市に戸籍を作る。

東京都練馬区に転籍する。(その後亡くなる)

≪結論:この場合には「新潟県長岡市・埼玉県所沢市・東京都練馬区」にBさんの戸籍請求が必要。≫

【では、どのように戸籍を集めていけばよいのか??】

上記の具体例2の例をもとに戸籍の遡り方について解説していきます。

Bさんの現在の本籍地は「東京都練馬区」です。まず初めに「練馬区」に戸籍請求をしてください。
そうしましたら、練馬区の戸籍をよく見てください。

「平成○年○月○日 埼玉県所沢市○○番地より転籍により入籍」 という記載箇所を発見してください。
そうしましたら、次に所沢市役所へ戸籍請求をします。

次に所沢市から取得した戸籍謄本をよく見ます。
「昭和○○年○月○日 Aと婚姻により新潟県長岡市○番地 上杉謙信 戸籍から入籍」 という記載を発見してください。
そうしましたら、次に長岡市に戸籍請求をします。

長岡市から取得した戸籍謄本をよく見ます。
被相続人Bさんは出生により長岡市に戸籍が作られたことが判明。
これ以上は、戸籍を遡る必要はありません。  → 無事に出生から死亡までの戸籍が全て揃いましたのでOK。

請求する戸籍は基本的には1通のみでOK!

戸籍集めの際に、各役所へ支払う戸籍発行手数料があります。
複数の申請手続きがあった場合でも原則、戸籍謄本は1通のみでOKです。

金融機関・法務局など基本的には「書類の原本」は返却してもらえます。
そのため、1通取得してそれを使いまわすというのが賢い方法です。

【難しい・・うまくいかないときには上手に専門家の活用を】

私たち専門家は、相続手続きの依頼を受けた場合に職権で戸籍謄本を取得することができます。
時間をお金のバランスを考えながら、上手く活用してください。

まとめ
ここまで戸籍謄本集めの方法についてひと通り解説してまいりました。
難しい専門用語を使わないように気をつけましたが、内容は分かりやすかったでしょうか?

これまで主に 「配偶者・子」が相続人になる場合の戸籍取得方法について解説してきました。

「親・兄弟姉妹」が相続人になるケースでは、戸籍請求の量が膨大になり少々大変かもしれませんが、基本的に方法は大きく変わりませんのでこの説明を参考に頑張ってください。

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
皆様がスムーズに戸籍集めを完了されることを心より願っております。

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