同時死亡の推定により代襲相続は発生する?
遺産相続の場面において「複数人が同時に死亡した」と扱われる場面があります。
この規定のことを「同時死亡の推定」と呼びます。
同時死亡の推定が働く場合、代襲相続は起こるのでしょうか?
代襲相続により孫などが相続権を取得するのでしょうか?
このページでは「同時死亡の推定と代襲相続」について解説いたします。
同時死亡の推定とは?
まずはじめに「同時死亡の推定」について簡単に説明いたします。
同時死亡の推定とは、文字通り「複数人の死亡日時を同時と推定する」規定のことです。
具体的な例をもとに説明いたします。
事故等により死亡の先後が不明なときに適用
【基本事例】
・父A
・息子B
・2人は自動車事故により死亡
・死亡の先後は不明
このような状況を想定してください。
上記のように2人の死亡の前後が不明の場合、両者は同時に死亡したものと扱われます。
これが「同時死亡の推定」です。
死亡の前後が不明の場合のみ「同時死亡」が適用されます。
病院搬送等により死亡の先後がはっきりしている場合は、同時死亡の推定はありません。
代襲相続とは?
次に「代襲相続」についても簡単に説明いたします。
代襲相続とは、
・被相続人の死亡以前に本来相続人となるべき人物が死亡
・相続人の子(故人の孫など)が代襲相続人となる
制度のことを指します。
具体的には、
・祖父が死亡
・祖父の死亡より前に息子が死亡している
・(亡)息子の子(孫)が相続権を取得する
といったケースが代襲相続の代表例です。
代襲相続の適用がある場合には、相続権は孫(甥・姪)といった下の世代に引き継がれます。
では、同時死亡の推定が働く場合に代襲相続は適用されるのでしょうか?
同時死亡の推定=代襲相続の発生原因となる
さて、このページの本題です。
結論から申し上げますと「同時死亡の推定により代襲相続が発生する」ということになります。
要するに、孫(甥・姪)の世代が相続権を取得するということです。
以下、具体例をもとに解説いたします。
具体例:同時死亡と代襲相続
【基本事例】
・父A
・息子B
・2人は事故により死亡(死亡の前後は不明)
・なお、息子Bには子C(Aの孫)がいる
上記のようなケースを想定してください。
この場合、「父A・息子B」は同時死亡の推定が働きます。(死亡の前後が不明であるため)
また、この場合は代襲相続の発生があります。
代襲相続により孫Cが相続権を取得
父Aの遺産相続について考えてみましょう。
本事例では、本来相続人となるべき「息子B」が父Aと同時に死亡しています。
息子Bは既に死亡しているため、Aの遺産の相続権を取得することはありません。
上記で説明したとおり、この場合は「代襲相続」が発生する事例です。
結果として、代襲相続により「孫C」がAの遺産に関する権利を取得するのです。
・同時死亡の推定がある場面
→代襲相続が起こる可能性あり
と覚えておいてください。
死亡以前に亡くなっている=代襲相続の原因となる
代襲相続の発生原因について、ここで詳しく解説いたします。
代襲相続は「被相続人の死亡以前に本来相続人となるべき人物が死亡している場合」に適用されるものです。
上記文章では「被相続人の死亡以前に」という書き方をいたしました。
「以前」という言葉には「同時」も含まれています。
したがって、同時死亡の推定がある場合には代襲相続が起こるという結論になります。
まとめ
ここまで「同時死亡の推定による代襲相続発生の有無」について解説いたしました。
代襲相続が起こるということを覚えていただき、今後の相続手続きにお役立てください。
・死亡の前後が不明のとき「同時死亡の推定」がある
・同時死亡の推定は代襲相続の発生原因となる
・代襲相続により孫(甥・姪)が相続権を取得する