不在籍不在住証明書を発行しない市区町村はある?
相続登記には「故人の住民票除票(戸籍の附票)」が必要となります。
ただし、これらの書類を取得できないケースも稀に出てきます。
このような場合に必要なのが「不在籍不在住証明書」という書類です。
不在籍不在住証明書はどの市区町村でも発行してくれるのでしょうか?
発行しない市区町村はあるのでしょうか?
このページでは「不在籍不在住証明書を発行しない市区町村」について解説いたします。
相続登記に不在籍不在住証明書が必要となる場合
相続登記の際に法務局に提出する書類は決まっています。
その中に、故人の
・住民票の除票
・戸籍の附票
という書類があります。
上記の書類は故人の住所を証明する書類です。
住民票除票・戸籍の附票を取得できない場合がある
上記で説明した「住民票除票(戸籍の附票)」を取得できる場合には、不在籍不在住証明書は不要となります。
問題は、これらの書類が取得できない場合です。
稀に住民票除票が取得できないケースがあるのです。
死後5年を経過すると廃棄される
住民票除票・戸籍の附票には「保存期間」があります。
これは、一般的には死後5年間です。
保存期間を過ぎている場合には、住民票除票のデータが廃棄されていることが大変多いです。
そのため、5年以上前に亡くなった方の相続登記をする場合には「住民票除票が取得できない」ということが発生するのです。
この場合に追加で必要書類となるのが「不在籍不在住証明書」です。
不在籍不在住証明書とは?
不在籍不在住証明書とは聞きなれない書類であると思います。
以下、簡単に説明いたします。
具体例:不在籍不在住証明書
【基本事例】
・登記簿上の記載:東京都豊島区南池袋○丁目○番○号 A
・Aの死亡による相続登記を行う
というケースを想定してください。
不在籍証明書:東京都豊島区南池袋○丁目○番○号 A
不在住証明書:東京都豊島区南池袋○丁目○番○号 A
不在籍不在住証明書とは、
・今現在“東京都豊島区南池袋○丁目○番○号“に本籍を置いているA
・今現在“東京都豊島区南池袋○丁目○番○号“に住所を定めているA
という人物は存在しませんという証明書なのです。
「東京都豊島区南池袋○丁目○番○号」←ここに本籍・住所のある
「A」←この名前の人
は存在しない!
という証明書です。
稀に不在籍不在住証明書を発行しない市区町村あり
さて、このページの本題です。
上記で説明したとおり「住民票除票(戸籍の附票)」が取得不可の場合は、不在籍不在住証明書が必要となります。
これは原則です。
ただし、例外もあります。
それは「不在籍不在住証明書を発行しない自治体もある」ということです。
不在籍不在住証明書の発行は自治体の判断(任意)
不在籍不在住証明書の発行は任意です。
各市区町村の判断に任されています。
大半の市区町村では不在籍不在住証明書を発行してくれます。
ただし、稀に例外の自治体もあるのです。
取扱いのない市区町村の場合には、不在籍不在住証明書を取得することはできません。
役所窓口で粘ったとしても結論は変わりません。
相続登記が不可能になるわけではない!
先ほど説明したように「不在籍不在住証明書を発行しない自治体」も存在します。
これについては、どうしようもありません。
しかし、これが原因で相続登記が不可能となるわけではありません。
今回の事情について管轄法務局に事前に照会をしましょう。
法務局に相談→追加書類を提示してくれる
相続登記申請を予定している法務局に、
・不在籍不在住が必要な場面である
・しかし自治体の意向で不在籍不在住証明書が発行されない
という旨を伝えてください。
そうすると、別の追加書類を案内してもらえます。
例えば「固定資産税の納税通知書・名寄帳・過去数年分の評価証明書」等の追加準備を指示されます。
(法務局により取扱いが異なるため、事前に照会することを推奨)
まとめ
ここまで「不在籍不在住証明書を発行しない市区町村がある」ということを解説いたしました。
ごく稀に不発行の自治体がある旨を覚えていただき、今後の相続登記にお役立てください。
・相続登記には故人の住民票除票(戸籍の附票)が必要
・これらがない場合→不在籍不在住証明書が追加で必要
・不在籍不在住証明書の発行は自治体の判断・任意
・稀に発行してくれない市区町村もある
・その場合は、管轄法務局に相談して別の追加書類を準備する