遺産分割協議と不在者財産管理人とは?
相続が発生すると遺産の分け方について相続人全員での話し合いが必要です。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。
ちなみに遺産分割協議は
・全員参加
・全会一致
が条件です。
相続人全員が参加し遺産分割協議書に署名押印することが求められます。
行方不明者がいることも..
事例としては稀少ですが、相続人に行方不明(不在者)がいるケースがございます。
相続人の中に行方不明者(不在者)がいるときの遺産分割協議はどう対応すれば良いのでしょうか?
不在者財産管理人という制度がある!
そのような場合に備えて、不在者財産管理人という制度がございます。
このページでは、不在者財産管理人と遺産分割協議について解説します。
不在者財産管理人とは
まず、「不在者財産管理人」の制度概要について説明いたします。
不在者財産管理人というのは、その名のとおり
・不在者の財産管理
を主な職務とします。
簡単に言えば、不在者が帰ってきたときのために現時点での不在者の財産を守ることが職責です。
・財産目録
・財産管理報告書
といった書類を作成して定期的に家庭裁判所へ報告することも不在者財産管理人の仕事内容となります。
不在者財産管理人を選任する=遺産分割協議が可能になる
遺産分割協議は「相続人全員の参加」が基本要件となっています。
ただ、所在不明の相続人がいるときは大変厄介です。(本人が行方不明なので)
このときに、役立つのが「不在者財産管理人」です。
相続の場面であれば、不在者に代わって不在者財産管理人が遺産分割協議に参加し署名押印をします。
不在者財産管理人は「不在者の財産管理」を行う人です。
不在者の財産というのは「不在者が取得する遺産」も当然に含まれるのです。
このように、不在者財産管理人を選任することで適法に遺産分割協議・相続手続きを進められるという制度になっています。
不在者財産管理人になる人について
不在者財産管理人は、不在者の配偶者や他の相続人が家庭裁判所に申立てることで選任されます。
相続に直接関係のない親族や弁護士・司法書士等が不在者財産管理人に就任します。
不在者財産管理人の権限:遺産分割協議の内容について
不在者財産管理人の権限は基本的にあまり広くありません。
具体的には、
・財産の現状を維持するための行為
・モノ、権利の性質を変えない範囲での利用・改良
とされています。
遺産分割協議をするには家庭裁判所の許可が必要
これら以外の行為を不在者財産管理人がするときには、「家庭裁判所の許可」が新たに必要になります。
なお、遺産分割協議は権限外行為となります。
したがって、家庭裁判所の許可が必要です。
許可申立てのときに遺産分割協議書の案を提出する
上記で説明したように、不在者財産管理人が参加する遺産分割協議では家庭裁判所の許可が必要です。
また、内容に関しても家裁のチェックが入ります。
遺産分割協議をしたいときには、許可申立てのときに遺産分割協議(案)を提出することが求められます。
これは、不在者に不利な条件で遺産分割協議がされないようにチェックするという意味があります。
(不在者の遺産に対する利益の保護のため)
不在者に不利な内容であれば、不在者財産管理人に遺産分割協議の許可は降りないという仕組みになっているのです。
まとめ
ここまで遺産分割協議と不在者財産管理人についての解説しました。
不在者がいる場合でも遺産分割協議を進める手段はあるということをご理解いただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・行方不明の相続人がいるときは手続きが厄介になる
・不在者財産管理人を選任することで遺産分割協議が可能になる
・不在者財産管理人が遺産分割協議するときは家庭裁判所の許可が必要
・遺産分割の内容についても家裁のチェックが入る