秘密証書遺言とは何?
「自筆証書遺言」=手書きの遺言書
「公正証書遺言」=公証役場で公証人に作成してもらう形式の遺言書
遺言書作成時は、上記の2つの種類のいずれかで遺言書を作成される方が多いです。
事例としては珍しいのですが、公証役場で作成する遺言書の類型として「秘密証書遺言」があります。
秘密証書遺言とは、どういった特徴があるのでしょうか?
このページでは、秘密証書遺言について解説いたします。
秘密証書遺言とは?
秘密証書遺言とは、遺言書の「内容」を秘密にしたまま、「存在のみ」を公証人に証明してもらう形式の遺言です。
・遺言書の内容→秘密
・遺言書の存在→公証人が証明(秘密ではない)
という形式です。
遺言書の内容が秘密とされるため「秘密証書遺言」という名称になっています。
では、秘密証書遺言にはどういった利点・特徴があるのでしょうか?
秘密証書遺言を作成するメリット
遺言書の内容を誰にも知られたくない時は、秘密証書遺言が有効です。
秘密証書遺言にて遺言書を作成する良い点・メリットは、
・遺言書の内容を秘密にできる
・遺言書の偽造変造の心配がない
という点です。
以下、それぞれについて解説いたします。
秘密証書遺言のメリット1:遺言書の内容を秘密にすることができる
秘密証書遺言は、「遺言書の存在のみ」を証明してもらう形式の遺言書です。
そのため、遺言書の内容を秘密にすることがでるメリットがあります。
遺言書の中身を誰にも知られたくないといった場合には秘密証書遺言を作成するといいでしょう。
遺言書の存在自体は証明されている
秘密証書遺言書の存在については、公証人によって証明がされます。
そのため、遺言書が本物であるか偽物であるかについての争いは起こりません。
(自筆証書遺言は、遺言書が本物・偽物の争いがおこる可能性があり)
内容については証明されない
なお、秘密証書遺言書の内容(中身)については証明がされません。
自分で、法律の規定に沿った遺言書を作成する必要があります。
形式(書き方)に不備がある場合には、遺言書として効力を有しないこととなります。
なお、秘密証書遺言の書き方としては、遺言書の本文に関してはパソコンで作成しても問題ありません。
この点は、全文手書きが要件である自筆証書遺言と異なります。
なお、署名については自筆でする必要がありますので注意が必要です。
秘密証書遺言のメリット2:遺言書が偽造・変造される心配がない
秘密証書遺言は、作成した遺言書を封印し公証人が証明をします。
作成後、封が開けられていると秘密証書としての効力はなくなります。
そのため、内容に関して偽造・変造の心配はいりません。
自筆証書遺言よりは、安全面で優れているということになります。
秘密証書遺言を作成するときの注意点
ここまで、秘密証書遺言のよい面の特徴を説明いたしました。
ただ、秘密証書遺言を作成する際には、
・証人2人の準備
・手数料がかかる
・検認が必要になる
という3点について注意が必要です。
以下、それぞれについて解説いたします。
秘密証書遺言の注意点1:証人の準備
秘密証書遺言を書く時は、証人を2人以上用意しなければなりません。
秘密証書遺言を作成には、証人2人以上の立会いが必要となります。
これは、公正証書遺言作成時と同じ取り扱いです。
なお、遺言者の推定相続人等の利害関係者は証人となることはできません。
秘密証書遺言の注意点2:手数料がかかる
秘密証書遺言を書くには、公証人手数料が必要となります。
手数料は、定額1万1000円です。
この点は、目的財産の価格に応じて手数料が変動する公正証書遺言とは異なります。
秘密証書遺言の注意点3:遺言書の発見・検認手続き
秘密証書遺言は、作成者自身で保管することとなります。
そのため、自分の死後に遺言書が発見されない可能性もあります。
(遺言書の保管は、信頼できる第三者に保管を依頼するのが良い)
また、遺言書を発見した場合には、家庭裁判所にて検認という手続きをしなければなりません。
≪遺言書の検認についての解説はこちら≫
・秘密証書遺言→検認必要
・公正証書遺言→検認不要
となります。
まとめ
ここまで秘密証書遺言の特徴について解説いたしました。
本ページの内容を参考に、今後の遺産相続にお役立てください。
・秘密証書遺言という遺言書の形式がある
・秘密証書遺言は存在を公証人に証明してもらえる
・秘密証書遺言は内容は秘密にできる