法定相続情報の管轄は死亡時の本籍地?昔の本籍地でもOK?
法定相続情報という制度があります。
これを上手に活用すると各相続手続きを楽に進めることができます。
法定相続情報は管轄の法務局に申出をします。
管轄は複数選択できるようになっていて、そのなかに「故人の本籍地」があります。
本籍地は、どの時点での本籍地を指しているのでしょうか?
このページでは「法定相続情報の管轄となる法務局(本籍地)」について解説いたします。
法定相続情報一覧図の申出は「法務局」
法定相続情報一覧図の申出先は「法務局」という役所です。
(市区町村ではありませんのでご注意ください)
なお、法務局は全国各地に多数存在します。
最寄の法務局に申請すれば良いのでしょうか??
いいえ、そうではありません。
法定相続情報申出には法務局の管轄が定められています。
自宅近くの法務局が必ずしも管轄とは限りません。
管轄外の法務局では、申出をしても手続きは処理されないのです。
管轄は複数から選択できる!
法定相続情報の管轄は、以下のように定められています。
・故人の本籍地の法務局
・故人の住所地の法務局
・故人所有の不動産所在地の法務局
・申出人の住所地の法務局
となっています。
この中から、都合の良い法務局を選んで申請をします。
具体例:本籍地の法務局に申請する場合
故人の本籍地が「東京都豊島区」であったとします。
この場合、本籍地である東京都豊島区を管轄する法務局は「東京法務局豊島出張所」です。
法定相続情報の申出はこちらの法務局に可能です。
本籍地はいつ基準?昔の本籍地でもOK?
ここまで「故人の本籍地」が法定相続情報申出の基準となると説明いたしました。
では「どの時点での本籍地」が基準となるのでしょうか?
本籍地はずっと同じとは限らない
出生から死亡まで、すっと同じ本籍地という方もいらっしゃいます。
しかし、そのような方は稀です。
多くの方は、一生の中で自分の本籍地が何度か移っています。
(住所地と本籍地は全く別物ですので混同しないようにご注意ください)
婚姻により本籍地が変わる
婚姻により本籍地が変わるのは特に「女性」に多いです。
婚姻前は「両親の戸籍」に入っています。
それが、婚姻により夫婦で新たに戸籍を作成することになります。
婚姻により「夫」を筆頭者とする戸籍をつくることが多いです。
その際に、妻となる方は本籍地が変わることが多いです。
転籍によっても本籍地が変わる
また、本籍地は自らの選択で自由に移すことができます。
本籍地を移動させることを「転籍」といいます。
これまで本籍地を置いていた市区町村から、自分の居住する市区町村に本籍地を移す方も少なくありません。
具体例:本籍地の変遷
【例:A子さん(女性)】
この人物を例に本籍地の変遷を見てみましょう。
1.千葉県銚子市で出生
(千葉県銚子市に本籍地)
↓↓
2.婚姻により東京都八王子市にて戸籍を作成
↓↓
3.東京都文京区に転籍
↓
そのあと死亡
上記のとおり、一生のうちで何度か本籍地を変える方が多いと思います。
法定相続情報申出:死亡時の本籍地
さて、前置きが長くなりましたがここからが本題です。
法定相続情報の管轄決定の基準となる故人の本籍地とは、「死亡時点での本籍地」を指します。
死亡時点での本籍地(最後の本籍地)と覚えておきましょう。
昔の本籍地ではダメ!
上記説明のとおり、人は一生のうちで数度本籍地を変更することが多いです。
昔の本籍地を置いていた場所は、法定相続情報申出の管轄基準とはなりません。
間違って申出をしてしまった場合は、正しい管轄法務局へ再度申請しなおしという面倒なことになります。
ただし、昔の本籍地が、
・故人の住所地
・故人名義の不動産所在地
・申出人の住所地
のいずれかの要件を満たす場合は、管轄として適格です。
(別の要件を満たす=管轄要件をクリアしているので。)
まとめ
ここまで「法定相続情報申出の管轄(本籍地)」について解説しました。
上記内容を参考に、今後の相続手続きにお役立てください。
・法定相続情報の管轄のひとつに「故人の本籍地」がある
・本籍地とは「死亡時点での本籍地」を指す