遺言執行者は法定相続情報の申出人に該当する?

法定相続情報という制度があります。
これは遺産相続手続きを円滑・簡単にすすめることができるように創設された制度です。

なお、法定相続情報は法務局に対して申出を行うものです。
申出人となれる人物は法律の規定より定められています。

遺言執行者は単独で申出人となれるのでしょうか?
このページでは「遺言執行者が法定相続情報の申出人となれるか」について解説いたしましす。

遺言執行者とは?

まず前提知識として遺言執行者について簡単に説明いたします。

遺言執行者とは、その名のとおり「遺言の内容を執行する人物」のことを指します。

遺言執行者は遺言の内容実現のために、様々は権限が認められています。

「遺言書の中」や「家庭裁判所の手続き」で選任される

遺言執行者は遺言の中で指定されることも多いです。
(遺言書本文にて「本遺言の執行者には○○を指定する」と記述)

また、利害関係人の請求により家庭裁判所にて選任されることもあります。

結論:遺言執行者は法定相続情報の申出人となれない!

さて、前提知識の説明も済みましたので本題です。
結論から申し上げますと、遺言執行者という肩書だけでは法定相続情報一覧図の申出人となれません

遺言執行者が法務局に申出をしても「申請人資格がないので不可」となります。

では、どういった人物が法定相続情報の申出人資格を持つのでしょうか??

1.法定相続人・相続人の地位承継者

まず法定相続情報の申出人となれるのは「法定相続人」です。

・法定相続人に該当する者
・相続人の地位承継者に該当する者

については、当然ながら申出人となる資格を有します。

2.法定代理人も申出人となれる!

単独で申出人となれるのは、上記で説明した「相続人」のみではありません。

例えば、相続人該当者が幼児であった場合を想定してください。
この場合に、自分ひとりで申出をするのは不可能ですよね。

そうです。相続人の法定代理人の立場にある人物も法定相続情報の申出人資格を有するのです。

法定代理人とは、

・親権者
→未成年者の親は法定代理人として申出人となれます。
・未成年後見人
・成年後見人
・代理権付与の審判を受けた保佐人、補助人
・相続財産管理人
・不在者財産管理人

といった肩書の人物を指します。

これらの人物は法律の規定により「代理権」が認められています。
したがって、相続人本人の代理人として申出人資格を有するのです。

上記法定代理人の中に「遺言執行者」は含まれておりません。
したがって、申出人資格を有しないのです。

遺言執行者は法定代理人に該当しない!

遺言執行者がなぜ法定相続情報の申出人となれないのか?
その答えは「遺言執行者が法定代理人に該当しないため」です。

遺言執行者は法定相続人の代理人という身分を有しません。
したがって、申出人としては認められていないのです。

委任をうけた代理人として:当然OK!

では、遺言執行者が法定相続情報の申出を行う道は全くないのでしょうか?

いいえ、そうではありません。

遺言執行者は法定代理人には該当しません。
しかし、委任を受けた代理人としての申請までは否定できません。

委任を受けた代理人:申請の流れ

つまり、

1.相続人から遺言執行者である人物宛てに委任状を差し出す

2.委任状を使って、任意代理人として法定相続情報を申出

という方法は可能なのです。

なお、この場合は遺言執行者としてではなく、「任意代理人」という立場で申出可能となっています。

くれぐれも遺言執行者単独で(委任状なしで)申出できるわけではありませんので、混同しないようにお気を付けください。

まとめ

ここまで「遺言執行者が単独で法定相続情報の申出人となれるか」について解説しました。
法定代理人ではないので不可と覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。

・遺言執行者は法定相続情報の申出人となれない
・理由は「法定代理人」に該当しないため
・委任をうけた任意代理人としては申出可能
(相続人から委任状をもらえばOKということ)


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