遺言書が複数見つかった場合の取扱いは?

遺品の整理を行う中で「遺言書」が発見されることがあります。

遺言が複数見つかった場合はどうすればよいのでしょうか?
それらの内容が相反する場合はどのような取扱いになるのでしょうか?

このページでは「遺言書が複数見つかった場合の取扱い」について解説いたします。

故人の家から遺言書が発見されることも

故人の遺品を整理する中で

・生前に本人がのこした遺言書

が発見されることがあります。
遺言書が1通であれば問題はないのですが、まれに複数の遺言書が見つかることがあります。

遺言書は法律文書として扱われる

遺言書は「故人の意思」を反映するものです。

・本人の自筆
・日付の記載
・署名
・押印

といった遺言書の形式を備えているものが遺言書として扱われます。

遺言書は全て有効!

形式を備えている書類であれば全てが「遺言書(法律上有効な文書)」として扱われます。
そのため、複数の遺言書がある場合でも基本的には全ての遺言書が有効となります。

複数の遺言書の内容が矛盾するときもある

全ての遺言書が有効であるとしても、遺言書が複数ある場合には問題が生じます。

それは、

・複数の遺言書の内容が重複している
・互いの内容が相反する場合

という点です。

具体的には

遺言書1:遺産をAさんに遺贈するという内容
遺言書2:遺産をBさんに遺贈するという内容

といった内容が相反する2つの遺言書が出てきた場合です。

このような場合は、どのような取扱いとなるのでしょうか?

遺言書は最新日付のものが有効となる

互いに内容が相反する遺言書がある場合、法律上有効となるのは「新しい日付」の遺言書です。

以下、簡単な具体例にて説明いたします。

具体例:複数の遺言書

・遺言書A:全て遺産をAさんに遺贈する(2015年作成)
・遺言書B:全て遺産をBさんに遺贈する(2018年作成)

このような2通の遺言書が発見されたというケースを想定してください。

上記の遺言書は内容が重複しています。互いに相反する内容です。

この場合に適用されるのは「最新の日付」の遺言書です。
そのため、新しい日付で作成された「遺言書B」の方が適用されるという取扱いになります。

遺言書は故人の意思を反映させるもの

遺言書は「故人の最後のメッセージ・意思」を表現したものです。
したがって、新しい日付(相続発生日に近い日)のものが故人の意思ということになります。

故人の意思を遺産相続に反映させるために、最新日付の遺言書が適用される取扱いとなっているのです。(書き換えるたびにアップデートされていく)

重複しない部分は古い遺言書の文言も適用される!

ここまで「遺言書は最新の日付のものが適用される」という説明をいたしました。

ただし、これは、

・内容が重複する
・内容が相反する

遺言書の部分についての取扱いです。

「新しい遺言書・古い遺言書」で内容が被らない箇所については、古い遺言書に書かれている内容も遺産相続に適用されます。

以下、具体例をもとに説明いたします。

具体例:複数の遺言書の重複しない部分

・遺言書1:不動産及び全ての預金をAに相続させる。
(2015年作成)

・遺言書2:全ての預金をBに相続させる。
(2018年作成)

という2つの遺言書がある場合を想定してください。

預金については最新の遺言書を適用

預金の取り扱いについては

・遺言書1→Aさんに遺贈
・遺言書2→Bさんに遺贈

と内容が相反しています。

この部分については「最新の日付」の遺言書の文言が有効となります。
したがって、預金については「Bさん」が承継することになります。

不動産については重複していない!

さて、不動産についても考えてみましょう。

・遺言書1→Aさんに遺贈
・遺言書2→(不動産に関する記述なし)

このように、不動産については互いの遺言書で内容が重複しているわけではありません。

このような場合には「古い遺言書の方」が適用されます。
結果として、不動産については「Aさん」が承継することになります。

・重複している部分→最新の遺言書が適用
・重複していない部分→古い遺言書も適用範囲となる

ということを覚えておいてください。

まとめ

ここまで「複数の遺言書が出てきた場合の対処法」について解説いたしました。
基本的には新しい日付のものが適用されるということを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。

・遺言書が複数発見されることがある
・遺言書は故人の意思を反映させるもの
・重複する部分は最新日付の遺言書を適用
・重複しない箇所は古い遺言書を適用


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