相続登記の印鑑証明書は原本還付できる?
故人名義の不動産がある場合には相続登記が必要です。
相続登記の添付書類に「印鑑証明書」があります。
印鑑証明書の原本は手続終了後に返却されるのでしょうか?
それとも、原本は戻ってこないのでしょうか?
このページでは「相続登記における印鑑証明書の原本還付」について解説いたします。
相続登記において印鑑証明書を使用する場面
相続登記をするとき、事例によって印鑑証明書の「必要・不要」が変わってきます。
印鑑証明書が必要書類となるのは、
・遺産分割協議書作成&実印押印をするケース
・住所証明書として印鑑証明書を使用するケース
・上申書が必要となるケース
主に上記の3つとなります。
登記には「原本還付」という制度がある
登記申請においては「原本還付」という制度があります。
これは、
1.いったん原本一式を法務局に提出
(この際に原本還付の申出をする)
↓↓
2.手続完了後に書類原本一式が返却される
という制度です。
相続登記における印鑑証明書は??
「原本還付できる書類」・「原本還付できない書類」があります。
では、相続登記における印鑑証明書はどのような取扱いなのでしょうか?
以下、詳細について説明いたします。
結論:印鑑証明書は原本還付できる!
さて、このページの本題です。
結論から申し上げますと、相続登記における印鑑証明書は全て原本還付可能です。
登記申請時に原本還付の申出をすることで、手続完了後に書類一式の返却を受けることができます。
したがって、1通の印鑑証明書を使いまわすことができるということです。
以下、「相続登記において印鑑証明書を使用する3ケース」について、それぞれ説明いたします。
1.遺産分割協議書作成をするケースの印鑑証明書
遺産相続においては、遺産分割協議書という書類を作成することが一般的です。
(遺産分割協議書とは「誰が、どの財産を、どの割合で、取得するか」を記載した書面)
遺産分割協議書には、相続人全員が署名のうえ捺印をします。
なお、押印する印は「実印」が必要です。
押印された印が実印であることを証明するために「印鑑証明書」の添付が必要となるのです。
上記にて説明したとおり、この印鑑証明書は原本還付ができます。
2.住所証明書として印鑑証明書を使用するケース
相続登記の際には「不動産取得者の住所証明書類」の提出が必要です。
これは「住民票・戸籍附票」のほかに「印鑑証明書」でも代用可能です。
(印鑑証明書には住所氏名が記載されているため使用可能)
住所証明書類として印鑑証明書を提出する場合でも、原本還付ができます。
3.上申書を添付する場合
このケースは非常にイレギュラーな場面です。
通常の相続登記では「故人の住民票除票(戸籍の附票)」を添付します。
しかし、現行の制度ではこれら書類の役所での保存期間は死後5年間です。
したがって、5年以上経過した後に相続登記をする場合には「住民票除票(戸籍の附票)」が取得できないこともあるのです。
この場合に特殊な添付書類として、
・不在籍不在住証明書
・不動産権利証
・相続人全員からの上申書
が必要となります。
上申書には実印押印&印鑑証明書添付
上申書には相続人全員の署名捺印が必要です。
なお、この押印は「実印」が要求されます。
実印での押印になるため、印鑑証明書も必要となるのです。
この印鑑証明書も上記説明のとおり「原本還付可能」です。
まとめ
ここまで「相続登記における印鑑証明書の原本還付」について解説いたしました。
上記内容を参考に、今後の相続登記にお役立てください。
・相続登記において印鑑証明書が必要なケースがある
・印鑑証明書は原本還付できる
・原本還付は申請人からの申出が必要