遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の違いとは?
相続が発生すると、遺産分割協議(話し合い)をすることが必要です。
遺産分割協議がまとまった時には、
・証拠を残すため
・相続手続きを進めるため
に証明書を作成しておくことが必要になります。
遺産分割の内容に関する証明書のことを「遺産分割協議書」とよびます。
遺産分割協議書&遺産分割協議証明書という形式がある
なお、遺産分割の証明書類については、
・遺産分割協議書
・遺産分割協議証明書
の2パターンあります。
両者はどのような違いがあるのでしょうか?
文書に効力の差異はあるのでしょうか?
このページでは、「遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の違い」について解説いたします。
遺産分割協議証明書とは
広く一般的に知られているのは「遺産分割協議書」です。
反対に、遺産分割協議証明書は、あまり広く知られていない存在です。
ケースによっては「遺産分割協議証明書」を作成した方が、スムーズ・便利なことがありますので、この機会に知っておくと良いと思います。
共通点:どちらも相続人全員の署名押印が必要
・遺産分割協議書
・遺産分割協議証明書
については共通点も多くあります。
どちらも相続手続きに使用できる正規の文書とするためには
・相続人全員による署名押印
・印鑑証明書の添付する
が必要となります。
両者の相違点とは?
では、両者はどのような違いがあるのでしょうか?
一番の違いは、
・一枚の書類に全員が署名押印する
・複数枚に分けて全員が署名押印する
という違いです。
以下、それぞれについて詳しく解説いたします。
1枚にまとめる=遺産分割協議書
1枚に全てまとめるタイプが遺産分割協議書とよばれる形式です。
【基本事例:相続人2人いる】
このような事例を想定してください。
遺産分割協議書は、1通に相続人全員が署名押印するタイプの書類です。
以下のような書類となります。
複数枚に分ける=遺産分割協議証明書
これに対し、「書類を複数枚に分けて作成する」形式が遺産分割協議証明書です。
【基本事例:相続人2人いる】
このような事例での遺産分割協議書は以下のようになります。
Aさんの分
Bさんの分
上記のように、1人1通ずつ遺産分割協議証明書を作成し、各人が署名押印します。
どちらの形式で作成しても問題ない
ここまで
・1枚の紙にまとめて署名押印する=遺産分割協議書
・何枚かの紙に分けて署名押印する=遺産分割協議証明書
を紹介いたしました。
なお、書類作成時は
・遺産分割協議書
・遺産分割協議証明書
のどちらの形式の証明書を作成しても全く問題はありません。
書類によって法律上の効果が変わるということもありません。
遺産分割協議証明書のメリット
では、そのような場合に遺産分割協議書が適しているのでしょうか?
遺産分割協議証明書を作成するメリットについて解説いたします。
郵送の手間が省ける!
遺産分割協議証明書の良い点は、手間がかからず簡単ということです。
相続人の皆様が様々な地域(例:東京・神戸・福岡)に散らばっている場合を考えてみましょう。
遺産分割協議書=相互に郵送しあうことが必要
このとき、遺産分割協議書(1通にまとめる形式)を作成したと仮定します。
その場合には、相続人全員が署名押印するのに大変な時間と手間が掛かってしまいます。
1.東京の相続人が署名押印
↓
2.神戸に郵送
↓
3.福岡に郵送
このように、相続人の人数が多くなればなるほど、遺産分割協議書の場合は時間・手間が掛かります。
遺産分割協議証明書=書類調印が簡単
このときに、遺産分割協議証明書(1人1通の形式)を作成すれば時間と手間が掛かりません。
相続人の間で、郵送しあう手間が必要無くなるからです。
そのため、
・相続人同士が近くに住んでいない
・相続人の数が多いとき
には遺産分割協議証明書を作成した方が便利になります。
(私はそのように提案しています。)
まとめ
ここまで「遺産分割協議書と協議証明書の相違点」について解説いたしました。
遺産分割協議書も遺産分割協議証明書も書く内容はほとんど同じ、効力は全く同じです。
書類作成時には、ご自身に合った形式で遺産分割証明書を作成するのが良いでしょう。
・遺産分割協議書と遺産分割協議証明書がある。
・遺産分割協議書は1通にまとめる形式。
・遺産分割協議証明書は1人1通の形式。
・遺産分割協議証明書の方が時間・手間がかからない。