遺贈登記の登録免許税の税率は?
故人名義の土地・建物がある場合には「不動産名義変更」が必要です。
相続を原因として名義変更する手続きを「相続登記」といいます。
遺言による贈与=遺贈登記
遺産相続の場面で故人が遺言書を書いているケースがあります。
「遺言により財産を贈与する」ことを遺贈といいます。
(遺贈と相続は似ているが細かい点で少々異なる。)
遺贈を原因として名義変更する手続きを「遺贈登記」といいます。
では、遺贈登記の登録免許税はどのような決まりとなっているのでしょうか?
税率に関して相続登記との違いはあるのでしょうか?
このページでは「遺贈登記の登録免許税の税率」について解説いたします。
登記申請における登録免許税
登記を申請する場合、法務局に対して税金の支払いが必要になります。
この税金の名称を「登録免許税」といいます。
登録免許税の金額・税率は、
・不動産の評価金額
・登記申請の内容
によって変化します。
本ページのメイントピックは「遺贈登記」です。
ただ、遺贈登記の登録免許税率の解説の前に、比較対象として相続登記の税率を紹介いたします。
相続登記の税率
相続登記の税率は比較的安い(低い)です。
具体的には、「不動産評価額×0.004」が登録免許税の金額となります。
・不動産評価額の0.4%
・不動産評価額×0.004
・不動産評価額×1000分の4
(上記3つは全て同じ意味)
が相続登記時の税率となります。
遺贈登記の登録免許税の税率
さて、このページの本題です。
遺贈登記の登録免許税について解説いたします。
遺贈登記の登録免許税が相続登記と比較すると高額になります。
具体的には「不動産評価額×0.02」が登録免許税の税率となります。
・不動産評価額の2%
・不動産評価額×0.02
・不動産評価額×1000分の20
(上記3つは全て同じ意味)
が遺贈登記の税率であると覚えておいてください。
以下、具体例をもとに「相続登記・遺贈登記」の税率・税額を比較してみましょう。
具体例:遺贈登記の登録免許税
【遺贈登記:基本事例】
・故人A
・A名義の不動産あり(不動産=1000万円)
・法定相続人ではない孫Cに包括遺贈
上記のような事例を想定してください。
遺贈登記の登録免許税率は「×0.02(2%)」です。
したがって、本事例では「1000万円×0.02(2%)=20万円」が登録免許税の金額となります。
【相続登記:基本事例】
・故人A
・A名義の不動産あり(金額:1000万円)
・相続人である配偶者が承継
上記のような事例を想定してください。
本ケースは相続登記の事例です。
したがって、税率は「×0.004(0.4%)」となります。
したがって、「1000万円×0.004=4万円」が登録免許税の金額となります。
相続人に対する遺贈の登録免許税
ここまで「遺贈登記は税金高い、相続登記は安い」という説明をいたしました。
ただ、遺贈登記の登録免許税にも例外規定があります。
それは、相続人に対して遺贈が行われたケースです。
以下、詳しく解説いたします。
相続人に対する遺贈は税率が低い
相続人に対する遺贈では、通常の遺贈登記と登録免許税の税率が異なります。
通常の遺贈より税率が低く(金額が安く)なるのです。
具体的には、「不動産評価額×0.004(0.4%)」相当額が登録免許税の税率となります。
相続登記と同じ税率
感の鋭い方は、もうお気づきかもしれません。
そうです。
・相続人に対する遺贈
・相続登記
両者の登録免許税の税率は同じなのです。
相続人に対する遺贈(相続登記と一緒という扱い)
上記説明のとおり、両者の登録免許税は同じ税率に設定されています。
「故人→相続人」と不動産名義が変わる点において「相続人に対する遺贈・相続登記」に違いはありません。
そのため、両者は同じ扱いに統一されているのです。
受取人が相続人であれば「遺贈・相続」で税率は変わらない
先ほどは原則論として「遺贈登記のほうが相続登記より税金が高い」と説明いたしました。
ただし、受取人(承継者)が法定相続人であれば話は変わります。
「遺贈・相続」の違いがあっても、実際の税金額は同じということを覚えておいてください。
まとめ
ここまで「遺贈登記の登録免許税の税率」について解説いたしました。
登録免許税の原則論と例外規定を覚えていただき、今後の遺贈登記にお役立てください。
・遺贈登記の登録免許税率は高い(相続登記と比較)
・不動産評価額×0.02(2%)が免許税の金額
・ただし、例外規定もある(相続人への遺贈)
・相続人に対する遺贈=税率が低い
→不動産評価額×0.004(0.4%)が税率