遺贈と相続の違いとは?
遺産相続の場面では「遺贈・相続」と2つの類型があります。
遺贈と相続では相違点がいくつか存在します。
遺贈と相続の違いは何なのでしょうか?
このページでは遺贈と相続の違いについて解説いたします。
遺贈とは?
まず先に「遺贈」について解説いたします。
遺贈とは、遺言書によって遺産を相続人(相続人以外の人)へ与えることです。
遺言書により相続人以外に財産を贈与することを「遺贈」といいます。
もちろん、相続人に対しても遺贈をすることも可能です。
相続とは?
次に「相続」について解説いたします。
相続とは、故人の死亡によって当然に発生するものです。
相続開始により被相続人の遺産が相続人に引き継がれます。
相続の場合、財産を取得するのは「法定相続人」です。
一部例外を除き、法定相続人以外が遺産を取得することはありません。
遺言書の有無が「遺贈と相続」を分けるポイント
では、「遺贈・相続」を分けるポイントは何なのでしょうか?
それは、遺言書の有無です。
遺言書の有無が「遺贈」と「相続」を大きな分けるポイントとなります。
・遺言書により財産を与える=遺贈
・故人の死亡により当然に発生すること=相続
となります。
遺贈と相続の相違点:具体的論点
ここからは、「遺贈・相続」における具体的な相違点について解説いたします。
遺贈と相続の違い:財産を受け取ることが出来る人
まず、遺贈と相続の違いで一番の違いは「相続人以外に遺産を渡せるかどうか」の違いです。
相続は、死亡により何ら手続きを踏むことなく相続人に財産取得の権利が発生します。
相続により遺産を取得できるのは「法定相続人」といって法律により定められている該当者のみです。
ですので、相続人以外は「相続」を受けることはできません。
遺贈は法定相続人以外にも財産を渡せる
反対に、遺贈の対象者は相続人に限定されません。
「甲土地を孫Aに遺贈する」という遺言書が見つかった場合、孫は遺贈により財産を取得することが出来ます。
相続人以外の人(孫・内縁の配偶者)に遺産を与えたいときには、遺言書を作成し遺贈をすることが必要です。
相続税に関する論点
遺贈により取得した相続財産は「相続税」の対象となります。
遺贈により遺産を取得した人が配偶者又は1親等の血族でない場合、相続税は2割加算となります。
(兄弟姉妹や相続人以外が相続・遺贈を受けたときは2割加算になるということ)
不動産の名義変更にかかる税金(登録免許税)
不動産の相続手続き(名義変更)をするときは、不動産の価格に応じて登録免許税という税金を納めることになります。
登録免許税は、「遺贈」と「相続」で大きく違います。
・相続のとき→固定資産評価額の0.4%
・遺贈のとき→固定資産評価額の2%
(相続人に対する遺贈のときは、相続に準じて0.4%)
となります。
相続人以外に遺贈するときには、名義変更にかかる登録免許税が5倍になるということを覚えておいてください。
遺言書を書く時は「相続・遺贈」どちらの言葉を使う?
遺言書を書く時は「相続させる」・「遺贈する」という表現でどちらを使えばいいのでしょうか?
・相続人に遺産を与えたいとき→「相続させる」・「遺贈する」のどちらでもOK
・相続人以外に遺産を与えたいとき→「遺贈する」という表現を使ってください。
(相続人以外は相続権がありませんので、「相続させる」ではなく「遺贈する」の方が適しています)
まとめ
ここまで遺贈と相続の違いについての解説いたしました。
細かい点で違いがある旨を覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・遺贈は遺言書を使って遺産を与える
・相続は死亡により当然に発生し、相続人に遺産が承継される
・相続人以外に遺産を与えたいときは遺贈を利用する