相続業務の進め方:行政書士等の実務家向け
相続業務を行う流れ【実務家向け(行政書士ほか)】
やっと資格を取った!!さぁ独立開業だ!!
しかし、行政書士・司法書士等の資格を取ったから言ってすぐに実務ができるようになるわけではありません。
実務の難しさは多くの行政書士の先生が感じていらっしゃると思います。
これから独立開業を考えている行政書士ほか専門家の方にとって「実務を完璧に進められるのかな・・・」という心配は頭の中に常にあると思います。
私は実務経験を積むために事務所に3年間勤務しましたが、すぐに独立開業される方もいらっしゃると思います。
このページでは、これから相続業務を始めようとお考えの専門家の方(行政書士・司法書士ほか)の方向けに私のこれまでの経験をもとに実務を行う流れを紹介していこうと思います。
相続実務の進め方1.遺産相続のお問い合わせを受ける
まず、実務に入る前に担当する相続案件を獲得する必要があります。
私の場合は主に「インターネット経由のご依頼者さま」・「行政書士さん(税理士さん)からの紹介」が多いように思います。
この先、行政書士・司法書士にて独立開業されるにあたって「インターネットでの依頼者獲得」を中心に考えている方も少なくないと思います。
私はご相談いただいた方に「なぜウチに電話(メール)したのですか?」と聞くようにしています。
だいたいの答えは
・ホームページが分かりやすかったから。
・検索していたら上の方に掲載されていてクリックした。
などの回答が多いように感じます。
また、「きちんと電話がつながったから」
という答えも多いです。
「かかってきた電話をきちんと取ること」こんなの当たり前だろ!!と思われるかもしれませんがどうやらつながらない行政書士事務所も多いようです。
原因として考えられそうなのが
・ひとりで行政書士事務所を運営している(独立開業するとき、はじめは一人の方が多いと思います。)
・外出が多くで電話対応が難しい
ということが多いのかな・・・と推測しています。
電話代行会社を利用している行政書士・司法書士事務所もあるようですので、外出が多くなるような方は検討の余地ありです。
相続実務の進め方2.電話にて概要を聞く
初めて問い合わせをいただいた段階で遺産相続の概要を聞くようにしています。
というのも「質問だけという方」、「専門家の業務範囲外の内容の方」など実務の現場では様々な問い合わせがあるからです。
問い合わせのあったすべての方について「事務所で面談したり」・「出張相談したり」していると時間もお金もかかり大変です。
そのうえ、自分の資格(行政書士・司法書士)の業務範囲外の相談などとなると完全にボランティア活動になってしまいます。
はじめにどういう内容の遺産相続なのか確認しておくことによって「受任につながらない」面談を減らすことができます。
私の場合は、電話で遺産相続の概要をお聞きし、相続業務につながるようであれば実際に面談しています。
質問だけの方については、各市区町村で行われている無料相談を活用してくださいという話をしております。
相続実務の進め方3.面談する
さて、実際に依頼してくださるかもしれないお客様候補者と面談する段階まできました。
私がいつも面談にてお話しする内容をまとめておきます。
まず、相談にあたって事前に電話で概要を確認しています。そのため、ある程度遺産相続の内容を知っていることが前提です。
1.電話で聞いていますが改めて今回の遺産相続の内容確認
2.相続手続きの流れを説明
3.必要書類の説明
4.費用の説明
以上です。
これだけでおおよそ1時間程度になります。
基本はこのような流れで話をしていますが、相談者ひとりひとりによって内容は異なります。そこは実務家として臨機応変に対応です。
この際、ひとつお伝えしておきたいことは「事前準備が大切」ということです。
事前準備をきっちり行うため
・電話の際に概要の聞き取り
・資料の作成
の2点に特に力をいれています。
そしてもう一点私が気を付けていることがあります。
【それは無理に契約を迫らないことです。】
自分が消費者の立場になると当たり前のことなのですが、行政書士として事務所運営側に回るとどうして契約が欲しくなります。なんせ収入・生活がかかっていますから。
ですが、無理に勧誘して契約をとれたとしてもその先に良いことはありません。
士業(行政書士・司法書士)が実務を進めるうえで最も気を配るべきところは「依頼者さまとの信頼関係」です。
私はお客様との信頼関係を大切に考えているので無理に契約を迫っていません。
面談のときは「一度持ち帰っていただき、依頼するときは後日連絡してください」というようにお話しをしています。
こちらから契約のお願いをしなくて本当に大丈夫・・・??
と不安になる方もいると思います。
まあこれは面談のスキルによるとも思うのですが、当事務所の場合は「面談者の約9割の方」がその後相続業務を依頼してくださいます。
相続実務の進め方4.相続実務を進める
正式に依頼を受けたら実際の業務(実務)を行う段階です。
私の実務の進め方を紹介しようとおもいます。
1.必要書類を集める
相続実務をすすめるにあたって必要書類取得は必須です。
具体的には戸籍謄本等を集めることになります。
このとき、行政書士などの専門家は職権で代理取得ができる場合があります。
私の場合は依頼者さまと「どちらで書類集めを行うか」を相談して決めています。
自分で集めるという方には、自力で頑張ってもらいます。
司法書士にて代理取得する場合には郵送請求をすることが多いです。
2.相続書類の作成・調印
書類が全て揃ったあとは、その情報を基に調印書類の作成です。
・遺産分割協議書
・相続登記の委任状
・遺産整理業務委任契約書
といった書類を作成することが多いです。
これらを作成したら依頼者さまに郵送しています。
書類に「ここに実印を押印してください・こちらに日付、住所氏名を書いて下さい」など鉛筆で指示書きをしておくと相続人の方が迷わず親切です。
我々専門家(行政書士・司法書士)にとっては実務上よく見る書類かもしれませんが、依頼者さまにとっては初めて見る見慣れない書類です。
郵送で行う場合は面前で説明ができない分、細かい気配りを行いましょう。
郵送の際に返信用封筒も入れておくと親切でしょう。
私は郵送に「レターパック」を使用しています。追跡ができるので大変ありがたいです。
相続実務の進め方5:各種名義変更の申請
相続人の皆様から書類の返送をいただけたら実際に申請です。
不動産については相続登記申請書を作って法務局に申請します。
銀行預金・株式については各種金融機関・証券会社に出向き申請しています。
完了書類が戻ってきたら書類を返却し無事に業務完了となります。
少し長くなりましたが、私の実務の進め方はこんな感じです。
最後に報酬をもらうタイミングを紹介して終わりにしようと思います。
実務の進め方:報酬・実費をもらうタイミング
当事務所ではご依頼いただく業務内容によって費用の支払いのタイミングを分けています。
【相続登記業務(不動産の名義変更)→前払い】
本来であれば後払いの方がお客様にとってはよいのでしょうが、こちらは前払いにしています。
というのも、登記業務については登記申請時に法務局に「登録免許税」という税金の納付が必要になります。
この金額が大きいので、前払いにしています。実費の立て替えは行っておりません。
ご請求書は「調印書類の郵送時に同封」しています。
書類の返送を併せてお振込をお願いいたします。という一文を入れています。
【銀行預金・株式の遺産整理業務→後払い】
こちらについては後払いです。
相続預金を受け取っていただき、その中からお支払いいただく感じです。
なるべく依頼者の方に持ち出しが無いように配慮しています。
実費の金額も多くないので、いったんこちらで立て替えて最後にまとめて請求しています。
請求書を送るタイミングは「完了書類の返却時」です。
行政書士の先生へお願い
(最後までありがとうございました)
司法書士の椎名秀樹です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が相続実務を進める際の参考となれば大変嬉しいです。
先生の独立開業・相続実務が上手くいくことを心から願っています。
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