遺言執行者と受遺者が同一人物でも大丈夫?
遺言書により財産を贈与することを遺贈といい、遺贈を受ける側(財産をもらう人)のことを「受遺者」と呼びます。
遺言書があるとき、場合によっては遺言執行者の選任をした方が良いケースがあります。
このとき、受遺者を遺言執行者とすることは問題ないのでしょうか?
それとも、ほかの第三者を遺言執行者に指定しなければいけないのでしょうか?
このページでは「受遺者と遺言執行者を同一人物にできるか」について解説いたします。
遺言執行者の指定方法は主に3つ
遺言執行者とは遺言書の内容を忠実に実行していく役割の人のことです。
現行の制度においては、
1.遺言書の中で指定
(遺言執行者をAとする。)
2.遺言書の中で、遺言執行者を指定する人を指定
(遺言執行者の選任をAに委託する。)
3.家庭裁判所に遺言執行者選任申立て
(申立て時に候補者を提示できる。)
上記の3つの方法のいずれかによって、遺言執行者が指定されます。
受遺者と遺言執行者を同じくする遺贈(具体例)
では、実際の遺産相続の場面で
「財産をAに遺贈する。遺言執行者をAとする。」
といった遺言書があったとします。
・遺言執行者(遺言の遂行者=財産を与える人)
・受遺者(財産を受け取る人)
この両者が全く同一人物であったと場合、法律上何も問題ないのでしょうか?
遺言執行者と受遺者が同じ人でも大丈夫です!
はい。問題ありません。
遺言執行者と受遺者に同じ人が就任しようとも全く問題ありません。
「財産をAに遺贈する。遺言執行者をAとする。」
という遺言書が法律上瑕疵があるわけではありません。
家庭裁判所での遺言執行者選任の場合でも結論は同じ!
遺言書の中で特に遺言執行者について書かれていない場合、「家庭裁判所での遺言執行者選任申立」に進むことになります。
この場合でも、受遺者と遺言執行者を同一人物にして問題ありません。
「財産をAに遺贈する。」(遺言執行者の指定なし)
(裁判所へ提出する申立書)「遺言執行者をAと希望する」
「遺言執行者=受遺者」:登記手続きでも問題なし!
遺贈の内容に不動産が含まれるときは「遺贈登記」の申請が必要です。
遺贈登記は
・登記権利者(受遺者)
・登記義務者(遺言執行者)
の共同申請という形式をとっています。
「遺言執行者と受遺者が同じ人物の場合」には形式上は共同申請の形になりますが、実質的には単独で登記申請できることになります。
欠格事由だけ要注意!
ここまで
・遺言執行者
・受遺者
を同一人物とすることは可能だと説明いたしました。
ただ、遺言執行者の欠格事由だけは注意してください。
未成年者・破産者は遺言執行者になれない!
・未成年者
・破産者
については遺言執行者の欠格事由とされています。
すなわち、遺言執行者になれません。
【受遺者となることは全く問題なし】
「財産を孫Bに遺贈する」(孫は未成年のケース)
孫に遺贈する内容の遺言書は珍しくありません。「未成年者・破産者」が受遺者となることは全く問題ありません。
ただ、その場合は遺言執行者に別人を立てる必要があるということです。
まとめ
ここまで「受遺者は遺言執行者を兼任できるか」という論点について解説してきました。
欠格事由に該当しない限り、受遺者と遺言執行者を同じ人にしてOKということを覚えてただければ幸いです。
・受遺者と遺言執行者は同じ人にしても大丈夫
・遺言執行者の欠格事由に該当するときは兼任不可