連絡先を知らない相続人の住所を調べる方法
遺産相続においては全てのケースで順風満帆にいくとは限りません。
・疎遠な相続人がいる
・そもそも相続人となる人の連絡先がわからない
といったケースも稀にあります。
このような場合には、まず当事者となる方と連絡を取り合わなければなりません。
このページでは「連絡先を知らない相続人の住所を調べる方法」について解説いたします。
相続人調査は非常に大切な作業
相続手続きを進めるにあたって「相続人調査」は大変重要な作業です。
そもそも、遺産についての話し合い(遺産分割協議)は、
・相続人全員の参加
・全員の合意
が要件となります。
もし仮に、特定の相続人を除いて行われた協議であれば、それは有効なものではないのです。
連絡先すら知らない当事者がいることも..
ほとんどの事例では、相続人同士は顔見知りであると思います。
しかし、様々な事情により
・何年も会っていない疎遠な人が含まれる
・その方の連絡先を知らないので途方に暮れてしまう
というケースも存在するのです。
ただ、このような場合でも解決策が何も無いわけではありません。
住所を調べることは可能!(合法的に)
上記のような特殊なケースでは、まず相続人と連絡を取る事を考えなければなりません。
そのために、各相続人の住所を合法的に調査することが可能となっています。
1.住所の調査
2.お手紙を出すなどの方法でアプローチする
という手順で遺産相続を進めていくこととなります。
電話番号を調べるのは不可
あくまでも調査できるのは「住所情報」になります。
現行の制度では電話番号を調べることはできません。
(電話番号が分かれば直ぐに話ができて簡単なのですが)
相続人住所調査のやり方
ここから相続人住所調査の方法について解説していきます。
概要でいうと
1.戸籍謄本を取得する
2.戸籍の附票を取得する
という作業になります。
以下、それぞれ詳しく解説いたします。
1.戸籍謄本を取得する
まず、「連絡先を知らない相続人の戸籍謄本」を取り寄せましょう。
なお、戸籍謄本な個人情報です。通常であれば他人の戸籍を勝手に取得することはできません。
しかし、遺産相続のため正当な事由がある場合には親族の戸籍謄本を請求することが認められています。
2.戸籍の附票を取得する
該当者の戸籍謄本が揃ったら、次に「戸籍の附票」という書類を請求しましょう。
戸籍の附票には「該当者の住所」が記載されています。
(戸籍謄本には住所は載っていない)
そのため、戸籍の附票を取ることで「今どこに住んでいるのか」ということを把握できるのです。
以上が、相続人の住所を調べる方法となります。
分かりやすいように、以下、具体例にて説明いたします。
具体例:相続人の住所調査編
【基本事例】
故人:父A
親族構成:子B(後妻との間の子)
このほかに前妻との間に生まれた子Cがいる。(BとCは異母兄弟)
子BはCの連絡先を知らない。(会ったこともない)
このような事例を想定してください。
相続人同士が互いに面識がない状況
この場合に相続人となるのは
・子B(後妻の子)
・子C(前妻の子)
となります。
本ケースでは、BはCと面識がありません。もちろん連絡先も知りません。
そのため、「住所調査→手紙を送る」という方法を取らなければなりません。
まず、戸籍謄本の取り寄せから
まず、戸籍謄本を取得することが必要です。
ただ、いきなり異母兄弟であるCの戸籍謄本を取ることはできません。
そもそも、何も情報がないのですから。
父親(故人)Aの戸籍を取得する
そのため、まず父Aの戸籍を取得します。
(故人の出生から死亡までの一連の戸籍)
子CはAさんの子供です。
そのため、Aさんの戸籍を取得するとCさんの情報が出てくるのです。
その後、Cさんの現在の戸籍と突き止める作業
その情報を頼りにCさんの戸籍謄本を追いかけていきます。
【戸籍を追いかけていくとは?例】
1.Cは出生~離婚までは父親Aの戸籍にのっている
↓
2.前妻と離婚により元妻が親権を持つ
それに伴い、元妻の戸籍に移動
↓
3.その後、結婚したことにより自分の戸籍を作っている
↓
4.いまでは、自分の家族の戸籍が作られていて、その中にいる
といった感じです。
このように、該当者の戸籍を「昔→現在」へと追っていくのです。
すると、最終的には現在の対象者(Cさん)の戸籍にたどり着きます。
戸籍の附票を取得し住所判明!
該当者であるCさんの現在の戸籍謄本を取得できたら、ゴールはもうすぐそこです。
次に「戸籍の附票」を取得しましょう。
こちらにはCさんの現住所が記載されています。
以降は、お手紙を出すなどの方法でアプローチしていけばよいと思います。
まとめ
ここまで「連絡先不明の相続人の住所調査のやり方」について解説いたしました。
困難な事例でも解決可能性はあるということを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・連絡先を知らない(面識ない)相続人がいるケースもある
・まず、当事者同士で連絡を取り合うことが必要になる
・合法的に「住所情報」を調べることができる
・その後、手紙を送るなど解決の糸口はある