遺言書検認申立てに各相続人の住民票は必要?
故人が生前に遺言書を書いているケースがあります。
手書きの遺言書(自筆証書遺言)であれば、まず家庭裁判所での検認が必要です。
検認申立ての際の必要書類は決まっています。
相続人全員の住民票は必要となるのでしょうか?
このページでは「遺言書検認申立てに各相続人の住民票は必要か」について解説いたします。
検認申立てと相続人住所
検認申立ての際には「相続人の住所情報」の届出が必要となります。
「相続人等目録」という書類を申立時に裁判所に提出します。
この中に、相続人全員の住所情報を記載する必要があるのです。
家裁から各相続人への郵送物あり
では、なぜ相続人全員の住所情報が必要となるのでしょうか?
それは、家庭裁判所が各相続人に郵送物を送るためです。
家庭裁判所から検認期日の通知が行われる
検認当日に絶対出席が必要なのは「申立人のみ」です。
そのため、検認期日については「裁判所・申立人」の間で日程調整がされます。
期日が決まると、「○月○日に検認を行います」という通知が各相続人にされます。
これは、郵送で行われるものです。
「検認期日通知の郵送」のために、各相続人の住所情報が必要となるのです。
申立人以外の相続人は出席しなくても良い
なお、申立人以外の相続人については、検認への参加は任意です。
申立人以外の人物については、欠席であっても検認は滞りなく行われるという取扱いです。
ただし、通知は絶対に必要な作業です。
「○月○日に検認を行います」という通知は省略することはできないのです。
したがって、申立時に「各相続人の住所情報が必要」になります。
検認申立てに住民票は提出必要?
上記で「申立時に各相続人の住所情報が必要」という説明をいたしました。
それでは、各相続人の住所を証明する資料(住民票・戸籍の附票)は提出書類となるのでしょうか?
結論:各相続人の住民票は提出不要!
さて、このページの本題です。
結論から申し上げますと「住民票は必ずしも必要ではない」という取扱いです。
・各相続人の住所情報は必要
・けれど、住民票の提出は不要
という扱いになります。
電話・メール等で住所を確認しておけばOK!
検認申立ての際、各相続人の住民票提出は不要です。
そのため、
1.各相続人に電話(メール)等で現住所を確認する
↓
2.回答のあった住所を相続人等目録に記載
↓
3.家庭裁判所に検認申立て
という流れで手続きを進めればOKです。
必ずしも、各人の住民票を取得する必要はありません。
「各相続人の住民票は不要」と覚えておいてください。
連絡の取れない相続人が含まれるときは?
電話・メールで相続人と連絡が取れる場合には、何も問題はありません。
ただ、連絡が取れない相続人が含まれる事例があります。
この場合は、どのように住所情報を取得すればよいのでしょうか?
相続人の住民票(戸籍の附票)を取得する
申立時に各相続人の住所情報は必須です。
そのため、連絡が取れない相続については「申立人が住所調査」を行う必要があるのです。
具体的には、住所が判明していない相続人の
・戸籍の附票
・住民票
を取得することになります。
住民票(戸籍附票)が便宜必要となる
住所不明の相続人がいる場合、便宜「住民票(戸籍の附票)」が必要書類となります。
それは、相続人等目録に各相続人の住所情報が必要だからです。
1.戸籍の附票(住民票を取得)
↓
2.相続人等目録に住所情報を書いて家裁に提出
という流れで手続きを進めます。
裁判所への提出は不要
なお、検認申立ての際「住民票(戸籍の附票)」は提出書類に含まれておりません。
相続人の住所情報さえ判明すれば、それでOKです。
そのため、住民票を家裁に提出する必要はありません。
紛らわしい論点ですが、
・相続人の住所情報は必要
・裁判所への住民票の提出は不要
と覚えておいてください。
まとめ
ここまで「検認申立てに各相続人の住民票は必要か」について解説いたしました。
原則は一切不要。ただし、便宜必要となるケースがあることを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・検認申立てには各相続人の住所情報が必要
・ただし、住民票(戸籍附票)といった資料の提出は不要
・連絡の取れる相続人→電話、メールで住所を聞けばOK
・連絡不可の相続人→住所調査のため住民票(戸籍附票)といった書類が便宜必要となる
(ただし、家庭裁判所への提出は一切不要)