遺言書検認で相続人目録の住所に誤りがあったとき
故人が生前に遺言書を書いているケースがあります。
遺言書が「自筆証書遺言(手書き)」の場合には、まず家庭裁判所での検認が必要です。
なお、検認申立書には法定相続人全員の住所を記載します。
住所に誤りがあったときは、どう対処すればよいのでしょうか?
このページでは「遺言書検認で相続人住所に誤りがあるとき」について解説いたします。
検認申立書と相続人目録
遺言書検認をする際には、家庭裁判所に「検認申立書」の提出が必要です。
1・申立書の提出
↓
2・相続人全員に検認期日通知の郵送
↓
3.検認期日
という流れで手続きが進行します。
相続人全員に家庭裁判所から郵送物あり
申立人以外の人物については、検認期日の出席は任意です。
(不参加でも手続きは問題なく進行します。)
ただし、相続人全員に対して家庭裁判所から「検認期日のお知らせ」が郵送されます。
関係者全員への郵送は必ず行われる作業です。
相続人住所に郵送される
相続人に対する検認期日の通知は「郵送」で行われます。
なお、郵送は相続人の住所に対して行われるものです。
では、どのように住所を裁判所に知らせるのでしょうか?
それは、検認申立書に添付する「相続人目録」を使用します。
相続人目録に全員の住所を記載して提出
相続人目録とは、上記のような書類です。
こちらに相続人全員の住所等の情報を記載します。
この情報をもとに、各人に家庭裁判所から郵送物が送られるのです。
住所記載に誤りがあると正しく郵送されない
相続人目録の住所が正しく記載されていれば何も問題はありません。
ただし、場合によっては「間違った住所」を書いてしまうケースもあります。
書類が届かない:宛所なしで返送されてしまう
もし相続人目録の住所が間違っている場合は、相続人への通知が正常に行われません。
結果として、「宛名なし」で郵送物が返ってきてしまうのです。
遺言書検認申立てでは、各相続人の「住民票」は提出書類に含まれておりません。
そのため、こういった事態も可能性としては有り得る話なのです。
遺言書検認のためには相続人への通知が必須条件
相続人へ郵送物が届かないというのは大変問題があることです。
申立人以外の人物は検認期日への出席は必須ではありません。
ただし、「検認日時の通知」は必須作業であるからです。
相続人への通知がされないとなれば、検認期日が延期されることも考えられます。
では、このような場合はどのように対処すればよいでしょうか?
正しい住所を家庭裁判所に再度届け出る
この場合は、緊急で相続人の正しい住所を家庭裁判所に届け出る必要があります。
そのため、
・該当者に連絡して正しい住所を確認する
・戸籍附票を取得して正しい住所を把握する
といった方法で、まずは正しい住所を把握してください。
家庭裁判所に訂正書を提出
正しい住所が分かったら、家庭裁判所にその内容を知らせましょう。
また、それと併せて「相続人目録の訂正」も必要となります。
具体的方法としては、「相続人目録の訂正書」を家裁に提出してください。
相続人目録の訂正書
検認の申立人は裁判所に「相続人目録の訂正書」を提出します。
なお、この書類については裁判所HPから書式ダウンロードは不可です。(書式の用意がない)
そのため、自分で訂正書を作成する必要があります。
なお、こちらは特に決まった書式もありません。
内容さえ正確に記載されていれば、どのような書式でも問題ありません。
相続人目録訂正書(書式例)
先日提出した遺言書検認申立書(事件番号○○番)につき、相続人目録を下記のとおり訂正する。
相続人Aの住所
(誤)住所:東京都豊島区巣鴨○丁目○番
(正)住所:東京都豊島区西巣鴨○丁目○番
上記のとおり訂正いたします。
遺言書検認申立人 B(押印)
上記ひな形を参考書式としてご活用ください。
訂正書には申立人の押印
なお、住所訂正書には申立人の押印が必要です。
「検認申立書に押した印鑑と同じ印鑑」で押印をしてください。
まとめ
ここまで「相続人目録の住所に誤りがあったとき(遺言書検認)」について解説いたしました。
相続人目録の訂正が必要ということを覚えていただき、今後の遺言書検認にお役立てください。
・遺言書検認申立のときに各相続人の住所を裁判所に知らせる
(相続人目録を書いて提出する)
・住所に間違いがある→正しく郵送されない
・間違いがある場合、相続人目録訂正書を裁判所へ提出する
・訂正書の書式に決まりはないが、申立人の押印が必要