相続人の1人が単独で遺言書検認申立は可能?
故人が生前に遺言書を書いていることがあります。
遺言書が「自筆証書遺言(手書きのもの)」の場合には、家庭裁判所での検認手続きが必要です。
検認は相続人のひとりから単独で申立て可能なのでしょうか?
当事者全員で共同して申立てが必要なのでしょうか?
このページでは「相続人のひとりが単独で遺言書検認申立てできるか」について解説いたします。
遺言書の検認とは?
まずはじめに、遺言書検認について簡単に説明いたします。
遺言書検認とは、家庭裁判所で行う「遺言書開封・内容の現状確認」といった手続きです。
検認をするにあたっては、管轄の家庭裁判所への申立てが必要となります。
申立てできる人
遺言書検認を申立てできる人(申立権者)は、決まっています。
具体的には、
・遺言書の保管者
・遺言書を発見した相続人
と定められています。
それでは、相続人は単独で検認申立てできるのでしょうか?
結論:ひとりから単独で申立て可能
さて、このページの本題です。
結論から申し上げますと、相続人の1人から単独で遺言書検認を申し立てることは可能です。
他の相続人全員と共同で申立てをすることは必須ではありません。
遺言書の保管者・発見者の方が申立人
先ほど説明したとおり、遺言書検認は
・遺言書の保管者
・遺言書を発見した相続人
が申立てをすることができます。
両者のどちらかに該当する方であれば、単独で遺言書検認を申立てられるのです。
単独で申立可能だが、他の相続人の書類は必要!
相続人のひとりから単独で検認申立てをすることは可能です。
ただ、申立時の書類については「法定相続人(関係者)全員」のものが必要となります。
具体的には「法定相続人全員の戸籍謄本」の提出が必要です。
また、申立書にて全当事者の「住所・電話番号」を記載する欄があります。そのため、住所・電話番号の情報も必要です。
申立後、ほかの相続人に連絡がいく
「他の相続人と歩調を合わせることなく勝手に進めてよいものか..」と不安を感じる方もいらっしゃると思います。
そのような方はご安心ください。
検認申立て後、他の相続人の方にも家庭裁判所から連絡がいきます。
・○月○日に検認を行います
・参加を希望する方は来てください
という内容の手紙が行くのです。
「相続人のひとりが単独で検認申立てした場合」でも他の方に通知がされます。
他の方の全く知らないところで手続きが進行するわけではないのです。
申立人となる方は検認期日に参加必須
実際に検認が行われる日のことを「検認期日」といいます。
検認期日は、申立人の方は参加必須となります。
反対に「申立人以外の当事者の方々」は参加は任意です。
相続人以外でも単独で検認申立てできる
ここまで「相続人のひとりが単独で検認申立て可能」と説明しました。
実は、遺言書検認は「相続人以外の方」でも申立て可能となっています。
先ほど、遺言書検認の申立権者は
・遺言書の保管者
・遺言書を発見した相続人
と説明いたしました。
「遺言書の保管者」には「相続人」という要件が加えられていません。
したがって、相続人以外の方でも遺言書検認を単独で行うことが可能です。
以下、簡単な具体例をもとに解説いたします。
具体例:遺言書検認(相続人以外)
【基本事例】
故人A(遺言書あり)
相続人:長男B、次男C
遺言書は、孫Dが故人Aより預かっていた。
という事例を想定してください。
この場合、「長男B、次男C」はそれぞれ遺言書検認を単独で申し立てることができます。
そのほかに、遺言書の保管者である「孫D」も単独で申立て可能なのです。
孫Dさんは、故人の法定相続人に該当しません。
ただ、遺言書の保管者として申立人の資格を持つのです。
まとめ
ここまで「相続人の1人から単独で検認申立て可能か」について解説いたしました。
単独で申立て可能ということを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・検認の申立権者「遺言書の保管者・発見した相続人」
・1人から単独で申立可能
・他の相続人と共同で行う必要なし
・単独で行う場合でも、戸籍謄本は相続人全員分が必要