昔取得した古い戸籍謄本でも相続登記に使用可能?

故人名義の土地・建物がある場合には相続登記が必要になります。
相続登記の際には「戸籍謄本」の準備が必須です。

ご相談者さまから、

・古い昔に取得した戸籍謄本が家にある
・古い書類でも手続きに使用可能なの?

という問い合わせをいただくことがあります。
実際の取扱いはどうなるのでしょうか?

このページでは「相続登記に昔取った戸籍謄本が使用できるのか」について解説いたします。

数十年前に取得した戸籍謄本を保管している方も

遺産相続では、当事者全員の戸籍謄本・印鑑証明書といった書類が必要になります。
このような書類を揃えたうえで、法務局に相続登記の申請を行うのです。

なお、遺産相続の関連書類は手続き完了後そのまま保管されている方が多いです。

そのため、先代の相続手続きの書類が丸ごと残っているという方も珍しくありません。

昭和(平成前半)に取得した戸籍謄本を保管している

保管している先代の相続書類一式の中には、当時(今となっては古い昔)に取得した書類が数多く含まれております。

内容を確認すると、

・当時(だいぶ昔)に取得した戸籍謄本一式
・当時作成した相続書類一式

が入っているということが多いです。

では、これらの戸籍謄本は今回の相続登記に使用できるのでしょうか?
相続登記に使用する戸籍謄本は古い日付のものでも大丈夫なのでしょうか?

昔の戸籍謄本:一部使用可能な部分があります!

さて、このページの本題です。
結論からいえば、昔の戸籍謄本でも使用できるものがあります

そのため、当時の書類を今回再度使用することも可能ということです。

今回あらたに取得が必要な部分もある

ただ、全ての戸籍謄本が使用可能というわけではありません。
中には、今回あらたに取得が必要となる部分もあります。

具体的には、

1.今回の被相続人の死亡記載ある戸籍謄本
2.今回の法定相続人該当者の戸籍謄本

があらたに取得が必要な部分となります。
反対に言えば、これ以外の部分は当時の古い戸籍を使用可能

以下、上記2つの例外について解説いたします。

1.被相続人の死亡記載のある戸籍謄本

「以前の遺産相続・今回の遺産相続」で決定的に違うことがあります。

それは「相続対象者(被相続人)」です。
誰の相続手続きをするのかという部分が、まず前回と全く異なります。

【具体例】
・前回の遺産相続=祖父の遺産相続(20年前)
・今回の遺産相続=父の遺産相続(今年)
となります。

今回の被相続人の死亡記載ある戸籍

相続登記には「故人の出生~死亡まで」の全ての戸籍謄本が必要となります。

前回の遺産相続の時点では、今回の相続対象者は存命です。
そのため、昔に取得している戸籍謄本では本人の死亡は当然記載されていません。

結果として、被相続人の死亡記載のある戸籍謄本は請求必須の部分となります。

2.今回の法定相続人該当者の戸籍謄本

次に必要な部分は「今回の法定相続人該当者の戸籍謄本」です。

昔の書類を見てみると「今回の法定相続人該当者の戸籍謄本」が入っているかもしれません。
ただ、そちらの書類は相続手続きに使用できません。

法定相続人該当者の戸籍謄本は「故人の死亡日以降に取得したもの」が必要となるためです。

古い昔日付の戸籍謄本は使用不可のため、再度の取り直しが必要となります。

存命&廃除有無の確認のため

上記にて「法定相続人該当者の戸籍謄本は故人の死亡日以降の日付のものが必要」と説明いたしました。
これには、きちんとした理由があります。

・故人死亡時点で存命であること
・廃除をされていないこと

を確認するためです。

故人死亡時点で存命している人物のみ、相続権を取得します。
(これを「同時存在の原則」といいます。)

故人死亡時に存命である旨を証明するために「故人死亡日以降日付の戸籍謄本」が要求されるのです。

また、廃除という制度があります。
これは、故人の意思によって特定相続人の相続権を剥奪する制度です。

廃除は遺言により行うことも可能とされています。
相続発生後廃除されていないことを確認するため「故人の死亡日以降日付の戸籍謄本」が要求されるのです。

上記例外2つ以外の戸籍謄本は今回も使用可能!

上記にて「再度の取得が必要な2パターン」について解説しました。

反対にいえば、これ以外のものは「古い昔に取得したものであっても使用可能」となります。
例えば、

・今回の相続対象者(故人)の出生~婚姻
・婚姻~死亡の前部分まで

といった箇所は再利用が可能となります。

まとめ

ここまで「古い昔に取得した戸籍謄本を相続登記に使用できるか」について解説しました。
上記内容をご理解いただき、今後の相続登記にお役立てください。

・古い昔に取得した戸籍謄本を保管していることもある
・その中の一部は今回再度使用することができる
・今回あらたに取得しなおす部分もある


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