第2回メール講座:遺言書の有無を確認しておこう!
遺言書はないと思うんだけど・・・

遺言書の有り・無しで手続きが変わるのかしら??
後で遺言書が出てて、手続きやり直しなんてことは嫌だな・・・
せっかく手続きを終えたのに、その後遺言書があることが判明したら・・・
最悪なケースでは手続きをやり直さなければいけません・・・
そうならないためにも手続きを始める前に「遺言書の有無」をはっきりさせておきましょう!
第2回メール講座では、「遺言書の有無を調べる方法&発見時の正しい対応」について司法書士が解説いたします。
ほとんどの人が遺言書を書いていないので安心してください!
故人様が遺言書を書いている可能性はあまり高くありません。
おそらくこのページを読んでいただいているあなた様も遺言書は書いていないと思います。
世間一般的には遺言書を書いていない方の方が圧倒的に多いため、見つからないときは「どうしよう・・・」と悩むのではなく、「遺言書は無い」と割り切ってしまうのが賢明です。
そのことを頭に入れたうえで、以下を読み進めていただければと思います。
遺言書の発見方法
(前提知識)
まず、遺言書のことについて簡単に解説をいたします。
遺言書には主に
1.自筆証書遺言(手書きの遺言書)
2.公正証書遺言(公証役場にて公証人に作成してもらう遺言書)
の2種類があります。
それぞれによって、遺言書の発見方法が異なるため別々に解説いたします。
遺言書の見つけ方:手書きの遺言書について
手書きの遺言書については、自力で探すほか方法がありません。
探す場所1:自宅
遺言書の保管場所として一番多いのは自宅です。
家の整理をする中で、遺言書を発見される場合が一番多く、自宅に遺言書が無い場合には遺言書を作成されていない可能性が高いでしょう。
探す場所2:専門家(弁護士・司法書士・行政書士)が保管している
手書きの遺言書を書いた際、私たちのような専門家にて遺言書をお預かりするケースもあります。
家の整理をしていて「士業から年賀状が来ていた」ということがあれば、一度確認の電話をしてみるのが安心でしょう。
探す場所3.銀行の貸金庫
故人様が銀行の貸金庫の契約をされていた場合は、そちらに保管しているかもしれません。
遺言書の見つけ方:公正証書遺言について
手書きの遺言書とは他に「公正証書遺言」という種類の遺言書があります。
これは、公証役場という役場に出向いて、公証人に作成してもらう遺言書のタイプです。
探す場所:手書きの遺言書の探し方1~3と同じ
手書きの遺言書の探し方で紹介した
1.自宅
2.専門家
3.銀行の貸金庫
を探すなかで遺言書の有無が判明するでしょう。
公正証書遺言の探し方(それでも心配な方向け)
公証役場に遺言書の有無の問い合わせをする
公証役場に故人の遺言書の有無を問い合わせすることで「公正証書遺言の有無」を調べることができます。
※手書きの遺言書の有無は自力で探すしかありません。
公証役場に遺言書の原本が保管されているため、照会をすれば回答がもらえるというシステムです。
公証役場は全国ネットワークでつながっておりますので、最寄りの公証役場に照会すればOKです。
もし、手書きの遺言書を発見したら・・・
封筒に入っている場合、勝手に開封しないでください
勝手に開封すると過料(罰金)になってしまいます
もし仮に、手書きの遺言書を発見したら・・・
絶対にやってはいけないことは「勝手に封筒を開封することです」
手書きの遺言書は「家庭裁判所にて検認(開封)手続き」が必要になります。
その前に封筒を開けてしまうと、過料(罰金)が科せられるほか、他の親族から「内容を書き換えたのではないか・・・」というあらぬ疑惑を掛けられることもありますので注意してください。
(参考に)
封筒に入っていない手書きの遺言書は「どうあがいても勝手に中身が見えてしまいますので、中身を見ても問題にはなりません」
そのまま家庭裁判所の検認(開封)手続きに進んでください。
ちなみに公正証書遺言については「勝手に開封しても大丈夫です。過料(罰金)もありません。
公正証書遺言は表紙に大きく「公正証書遺言」と書いてありますので、その有無で判断してください。
映画(特に犬神家の一族)で弁護士が親族の前で遺言書を開封するシーンがありますが、あれは「公正証書遺言だから」開封してOKなのです。
公正証書遺言については、家庭裁判所に持ち込む必要はありません。そのまま相続手続きに利用できます。
遺言書の有無の確認方法まとめ
最後までお読みいただき本当にありがとうございます。
少し長くなってしまいましたので、最後にまとめます
遺言書が見つからなくても焦らなくて大丈夫!
繰り返しになりますが、ほとんどの方は遺言書を書いていません。
ですので、ひと通り探してみて遺言書が発見できないときは「遺言書は無い」と割り切って手続きを前に進めていくことが賢明です。
遺言書の探し方
1.自宅
2.専門家(弁護士・司法書士・行政書士ほか)
3.銀行の貸金庫
4.公証役場に問い合わせ(公正証書遺言のみ)
手書きの遺言書を見つけたとき
封筒に入っている手書きの遺言書→開封してはいけない、家庭裁判所へ
封筒に入っていない手書きの遺言書→家庭裁判所へ
公正証書遺言→そのまま使える(家庭裁判所は不要)
この記事を執筆した人 司法書士 椎名 秀樹(しいな ひでき) 東京司法書士会6856号
平成元年 千葉県匝瑳市生まれ
(九十九里の海沿いの街です)
平成20年 千葉県立成東高校卒業
(小学校~高校まで野球部に在籍)
平成24年 法政大学経済学部卒業
平成24年 司法書士試験合格
平成24年 都内司法書士法人に入社
平成27年 独立のため退社(3年間修業)
平成27年 日本みらいと司法書士事務所開設
趣味:読書(日本の小説が多いです。)
好きな作家:森見登美彦、三浦しをん、太宰治
「困っている人を助けること」・「人を笑顔にすること」ができる司法書士という資格に魅力を感じ、4年半という長い受験期間を経て司法書士になりました。
皆様の不安を安心に変えることができる司法書士という仕事に強い誇りを感じています。
地域に根差した親しみやすい司法書士となれるよう努力していきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
・次回の予告:次回は「財産の分け方は決まりましたか??」をお送りします。