第3回メール講座:財産の分け方は決まりましたか?
みんなの仲は悪くないけどお金のことだし・・・
家族で揉めたくはないな・・・

どういう分け方があるのでしょうか?
泥沼の裁判なんて絶対いや・・・どう話し合えばいいのかな?
相続手続きを進めるためには「誰が・何を・どの割合で」相続するのか決めなければなりません。
しかし、お金のことは非常にデリケートな部分であり、最悪のケースでは揉めてしまって泥沼の裁判劇なんてこともあり得る話です。
そうならないためにも、遺産の分け方の方法を理解しておきましょう
第3回メール講座では、「財産の分け方の方法」について司法書士が解説いたします。
相続財産の分け方は、話し合いが決まればどのような形でもOK!
相続手続きを進めていく中では、当事者全員で納得すればどのような形でも構いません。
「法定相続分」といって法律で相続分が規定されていますが、そのとおりに進める必要は全くありません。
それぞれの家族の状況に応じて、
1.柔軟に考えること
2.自分のことばかり考えないこと
この2つの考え方が、円満な相続のためには不可欠です。
不動産は実際に使う人が相続するのが一般的
相続財産の中で、不動産が含まれる事例は大変多いです。
また、不動産については現金と違って均等に分けることが現実的ではありません。
そのため、誰かひとりが全てを相続する事例が多いです。
不動産については、今後住んでいく人(これから固定資産税を支払う人)に名義変更するケースが大半です。
例:自宅については「母」が全て相続すると決定する!
誰も使わない不動産はどうする??
誰も使わない不動産(実家・投資用不動産)についてはどう分ければいいでしょうか?
1.これについても誰か一人が相続する事例が多いです。(特に実家については守っていこうという方が多いです)
しかし、不動産を相続する事で税金の支払いも発生しますし、この際に処分したいという不動産もあると思います。
そんな方に有効な分け方が存在します。
【換価分割】(かんかぶんかつ)と読みます。
これは、使わない不動産を売却し、その売却代金を相続人で分けるという方法です。
例:○○市のマンションは売却し、代金を兄弟3人で均等に分ける。
預貯金・株式は柔軟に分けやすい財産
預貯金・株式は不動産と違って「分けやすい財産」です。
それは、1円(1株)単位で分けることが出来るからです。(比較:不動産は分けづらい)
預貯金について分け方として多いのは
1.全てを1人に相続させる(全てを母に相続させる)
2.相続人全員で均等に分ける
3.不動産を相続する人を少なめに、不動産を相続しない人を多めに
です。
預貯金についても均等に分ける必要はありません。それぞれの状況に応じて柔軟に考えることが必要です。
「例:不動産は長男Aが全て相続、預金は長男A(3分の1)、長女B(3分の2)相続」
珍しいですが、こんな分け方もあります
財産を分ける際に「不動産しか財産が無い」といった事例もあります。
そういったときに、
・不動産を誰かひとりが相続する
・不動産を均等に相続する
では、当事者全員が納得しない可能性もございます。
そんなときには、「代償分割」という方法があります。
代償分割とは
不動産はAが相続する(Bは全く相続しない)
その代わり、AはBに対して○○万円を支払う(代償金)
普通の分け方では話し合いが上手くまとまらないとき、代償分割も候補に入れてみると上手くいくかもしれません。
相続トラブルにならないためには「思いやりの心」
誰しも相続トラブルなんてことは望んていないと思います。
しかし、相続トラブルが発生してしまうことも珍しいことではなくなってきています。
「みんなで均等で分ければトラブル起きないでしょ!」と考えている方もいるかもしれませんが、それは甘いです。
「均等??ふざけないで!!私は同居してずっと介護してきたのに・・・!」
「均等??お前はマイホーム資金を援助してもらってただろ・・・!」
といった事例も報告されています。
これは表面的には「金額も問題」と感じると思いますが、実際は「金銭面以外の感情の問題」が多く含まれています。
家族の状況に応じた最適な分け方があります。相続トラブルにならないためにも、他の親族のことを思いやり、自分の主張ばかりしないことが一番大切です。
最後は、私の個人的持論(精神論)になってしまいましたが、私の願うところはただひとつです。
「皆様の家族が仲良く過ごせるよう円満に手続きを終わらせてほしい」ということだけです。
【最後に】以前あった事例を少しだけ紹介させてください。
Aさんは預金の相続手続きに途方に暮れて、私がお手伝いをすることになりました。
Aさんは「疎遠なBさん」に「法定相続分にあたる10%」を受け取ってくださいと申し出ました。
するとBさんは、「私は葬儀のことなど何もやっておりませんので、私の分はどうぞお受け取り下さい。」
AさんはBさんの申し出を最初は断りました。「自分のしたことは当たり前の事です。10%はBさんの権利ですので」
お互いに譲り合い、最終的にはAさんが相続することとなりました。
互いに互いを尊重しあい、相続を通じて家族(親族)の絆を深めることになることを願っております。
この記事を執筆した人 司法書士 椎名 秀樹(しいな ひでき) 東京司法書士会6856号
平成元年 千葉県匝瑳市生まれ
(九十九里の海沿いの街です)
平成20年 千葉県立成東高校卒業
(小学校~高校まで野球部に在籍)
平成24年 法政大学経済学部卒業
平成24年 司法書士試験合格
平成24年 都内司法書士法人に入社
平成27年 独立のため退社(3年間修業)
平成27年 日本みらいと司法書士事務所開設
趣味:読書(日本の小説が多いです。)
好きな作家:森見登美彦、三浦しをん、太宰治
「困っている人を助けること」・「人を笑顔にすること」ができる司法書士という資格に魅力を感じ、4年半という長い受験期間を経て司法書士になりました。
皆様の不安を安心に変えることができる司法書士という仕事に強い誇りを感じています。
地域に根差した親しみやすい司法書士となれるよう努力していきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
・次回の予告:次回は「分け方が決まったら、どんな書類を作ればいいの??」をお送りします。