未登記建物の書き方・記述方法
相続発生により故人の遺産は相続人に承継されます。
対象となるのは「不動産・預貯金など」全ての故人名義の財産です。
故人所有の不動産のなかで「登記されていない建物」が含まれることがあります。
(登記されていない建物を「未登記建物」といいます。)
未登記建物も当然に遺産に含まれますので、各相続書類への記載が必要となります。
未登記建物はどう書けばいいの?
登記されている建物については「登記簿謄本」をもとに不動産を記述します。
ただ、未登記建物は「登記簿」が存在していません。
それでは、未登記建物の記述方法・書き方はどのようにすればよいのでしょうか?
このページでは「未登記建物の正しい書き方・記述方法」について解説いたします。
未登記建物を調べる方法
不動産は「不動産登記簿」という名の法務局の資料によって管理されています。
不動産登記簿には
・不動産を特定する情報(地番・家屋番号ほか)
・所有者の住所、氏名
などが記載されています。
相続書類の作成時には「登記簿謄本のとおりに」不動産情報を記述します。
未登記建物=登記簿が存在しない
ただ、未登記建物は登記されていない不動産です。
登記簿自体が存在していませんので、登記簿を見ながら不動産を記述するという方法が取れません。
では、未登記建物はどの資料を参照すればよいのでしょうか?
固定資産税などは発生している
・建物が登記されていること
・各種税金の支払い義務
この2つは、全くの別の問題です。
未登記建物であっても「固定資産税」などの各種税金の支払いは必要になります。
そのため、(法務局の資料ではなく)
・税金関係の資料
・市区町村が発行する資料
を見ると、そこに未登記建物を発見することができます。
具体的には
・固定資産税の納税通知書(6月頃郵送で届く)
・名寄帳
といった書類に未登記建物は載っています。
納税通知書・名寄帳を参考に不動産を記述する
未登記建物については
・納税通知書
・名寄帳
このどちらかの情報を参考にします。
遺産分割協議書などの書類作成時には「納税通知書(名寄帳)に書いてあるとおりに」未登記建物を書き込みます。
未登記建物の書き方・記述方法
それでは、ここからは実際に未登記建物の書き方について解説いたします。
未登記建物の表示
所在 ○市○町○○ ○番地
家屋番号 ○○番
種 類 簡易附属家農家
構 造 木造亜鉛鉄板(トタン)平家建
床面積 ○○.○○㎡
こちらが、未登記建物の書き方の一例です。
参照した資料名を書いておいてもよい
未登記建物の場合は、カッコ書きで「どの書類を参照したのか」の情報を入れておくのもよいでしょう。
(必須ではありませんが、私は普段そのようにしています。)
未登記建物の表示(○○年度名寄帳を参照)
所在 ○市○町○○ ○番地
家屋番号 ○○番
種 類 簡易附属家農家
構 造 木造亜鉛鉄板(トタン)平家建
床面積 ○○.○○㎡
このように書いています。
未登記建物の記述はできるだけ具体的に(特定できるように)
何度も繰り返しになりますが、未登記建物は「登記簿謄本」がありません。
そのため、納税通知書・名寄帳の中に記載されている情報を多く盛り込むようにしてください。
・多く盛り込む=絞り込める=不動産の特定
と繋がります。
遺産分割協議書等の書類は「遺産の特定(どの財産を示しているのか明示すること)」が大切です。
未登記建物の名義変更は各市区町村へ!
最後に「未登記建物の名義変更」について簡単に説明します。
未登記建物についても「故人→相続人」への名義変更は必要です。
なお、手続きの申請先は法務局ではありません。
不動産所在地の「市区町村の役所」となります。
書類作成が終わったら、なるべく早く名義変更を済ませておきましょう。
まとめ
ここまで「未登記建物の書き方・記述方法」について解説しました。
未登記建物特有の書き方を覚えていただき、今後の不動産相続にお役立てください。
・未登記建物には登記簿が存在しない
・未登記建物は「納税通知書、名寄帳」に載っている
・不動産を特定できるよう、出来るだけ多くの情報を記載するとよい