未登記建物の名義変更は区役所?都税事務所?
故人の遺産の中に登記されていない建物が含まれることがあります。
登記されていない建物のことを「未登記建物」といいます。
未登記建物の名義変更はどこに申請するのでしょうか?
東京23区内の未登記建物はどうすればよいのでしょうか?
このページでは「未登記建物の名義変更は区役所・都税事務所のどちらか」について解説いたします。
原則:未登記建物の名義変更は区役所
まずはじめに、基本パターンについて解説いたします。
未登記建物の名義変更は、基本的には「各市区町村」となります。
不動産所在地の市区町村に名義変更の申請が必要です。
・千葉県市川市→市川市役所に申請
・埼玉県川越市→川越市役所に申請
となります。
登記されている建物は法務局に申請
なお、市区町村に対して申請を行うのは「未登記建物のみ」です。
登記されている建物については、申請先は市区町村ではありません。
この場合は「法務局」に対する申請となります。
登記されている建物は「不動産登記簿」によって管理されています。
したがって、法務局へ相続登記の申請が必要となるのです。
相続登記した建物=市区町村への名義変更申請は不要
なお、相続登記をした建物については、各市区町村へ名義変更の申請をする必要はありません。
(2回申請が必要というわけではない)
あくまで、市区町村への名義変更申請が必要となるのは「未登記家屋」に限られます。
相続登記をしたものに関しては、登記手続をもって名義変更完了となります。
東京23区は例外:都税事務所へ申請
先ほど「未登記建物の名義変更は各市区町村」という説明をいたしました。
大半のケースでは、こちらに該当します。
しかし、例外も存在します。
それは、東京23区に存在する未登記建物の名義変更です。
都税事務所が名義変更の申請先となる
東京23区内にある未登記建物の名義変更申請先は「区役所」ではありません。
(区役所に行ったところで「当方では申請を受け付けておりません..」と言われてしまいます。)
では、どこが名義変更の申請先となるのでしょうか?
それは「都税事務所」です。
都税事務所:各区にひとつずつ設置されている
都税事務所は各区にひとつずつ設置されています。
税に関する事務を行う役所です。
なお、混同しやすい点ですが、都税事務所は税務署とは違います。
東京23区内の未登記家屋については都税事務所が申請先ということを覚えておいてください。
登記されている建物→法務局へ相続登記
なお、都税事務所に申請するのは、「未登記建物」に限ります。
登記されている建物・土地については、原則どおり法務局で名義変更を行います。
不動産所在地を管轄する法務局に対して相続登記の申請が必要となるのです。
登記した不動産については、都税事務所へ申請不要
繰り返しになりますが、都税事務所への申請が必要なのは「未登記建物」です。
登記されている建物は、相続登記の申請をすればそれでOKです。
そのあとに、都税事務所に建物名義変更の申請は必要ありません。
東京の市部にある未登記建物は?
なお、都税事務所は東京の市部にも存在します。(八王子・立川・町田ほか多数)
先ほど「23区内の未登記建物は都税事務所に申請する」という説明をいたしました。
では、東京市部(八王子市・町田市ほか)の未登記建物はどこに申請するのでしょうか?
これは、原則どおりの取扱いとなります。
・八王子市の未登記建物→八王子市役所
・町田市の未登記建物→町田市役所
上記のとおり、各市町村役所に対して未登記家屋の名義変更を申請してください。
未登記建物の名義変更先が都税事務所となるのは「23区内の未登記建物」のみとなります。
まとめ
ここまで「未登記建物の名義変更は区役所・都税事務所のどちらか」について解説いたしました。
不動産所在地によって取扱いが異なることを覚えていただき、今後の相続手続きにお役立てください。
・未登記建物も名義変更の手続きが必要
・未登記建物は市区町村へ申請する(原則)
・ただし東京23区の建物は例外
・23区内の未登記家屋の申請先は都税事務所
・都税事務所は税務署とは違います