捨てるな!相続登記(持分移転)完了後の古い権利証
相続登記が完了すると法務局から「登記識別情報」が発行されます。
登記識別情報とは昔でいうところの「権利証」のことです。
相続登記により新しい権利証が発行された場合は、旧権利証は失効するというのが原則です。
しかし、廃棄する前にちょっと待ってください。
あなたが申請した相続登記は、「相続登記(故人の持分移転)」ではありませんか?
相続登記(持分移転)を申請した場合には以前から手元にある権利証の扱いに注意が必要です。
このページでは「相続登記(持分移転)完了後の旧権利証」について解説いたします。
相続登記完了後は、旧権利証の効力はなくなる
登記が完了すると法務局から新しい権利証(登記識別情報)が発行されます。
それに伴い、これまでの権利証(旧権利証)の効力は失効することになります。
【相続登記完了と権利証の具体例】
土地所有者のAさんが死亡。(土地はAさんの単独所有)
土地については、妻Bさん名義に相続登記を申請する事例。
1.土地をBさん名義に変更する相続登記を申請
↓
2.登記が無事に完了する
↓
3.Bさんに権利証(登記識別情報)の発行
ここまで完了したことにより、昔のAさんの権利証は完全に失効します。
(法律上はただの紙になります。)
そのため、Aさん名義の権利証については廃棄していただいても特に困るようなことはありません。
相続登記(持分移転)のケースは要注意!
上記で説明した例は、Aさんが土地の名義全てを有している事例です。
(Aさん100%、他に共有者なし)
この場合の相続登記は、「土地所有権全部」が移転対象となります。
もし仮に、土地について、
亡Aさん=2分の1
妻Bさん=2分の1
だった場合はどうなるでしょう。
この場合の相続登記は土地全部ではなく「土地所有権の2分の1(A持分)」が移転の対象となります。
このような相続登記(持分移転)の場合では、権利証を安易に捨ててしまってはいけません!まだ、生きている権利証があるからです。
妻Bさんが当初から持っていた「2分の1」の権利証は有効のまま!
亡Aさん=2分の1
妻Bさん=2分の1
である場合を想定して説明します。
今回Aさんが亡くなったことで相続登記の必要性が生じます。
このとき、移転対象となるのは「Aさん持分(2分の1)だけ」です。
もともとある妻Bさんの持分については何ら権利変動はありません。
ですので、相続登記完了後もBさんのもともとの権利証は有効のままなのです。
【相続登記完了と権利証の具体例】
土地共有者のAさんが死亡。(Aさん・Bさんが2分の1ずつ共有)
A持分について妻Bさん名義に相続登記を申請する事例。
1.土地(A持分:2分の1)をBさん名義に変更する相続登記を申請
↓
2.登記が無事に完了する
↓
3.Bさんに今回登記した「2分の1に該当する部分の」権利証(登記識別情報)の発行
ここまで完了したことにより、昔のAさんの権利証(2分の1について)は完全に失効します。(法律上はただの紙になります。)
ただ、もともとBさんが持っていた権利証については何ら変化はありません。依然として権利証として有効なのです。
今回の相続登記対象外の部分については権利証を捨ててはいけない!
上記で説明したとおり、「相続登記の移転対象とならない部分の権利証」については。
相続登記が完了したからといって、権利証を廃棄してしまうことのないようにお気を付けください。
2つ合わせてひとつの不動産の権利証となる!
土地が一つだからといって「権利証(登記識別情報)」が一枚にまとまるとは限りません。
今回のように複数回に分けて所有権を取得した場合、その都度権利証が発行されます。
複数枚がまとまって、ようやくひとつの土地の権利証となるのです。
≪具体例≫
1.平成20年に不動産持分3分の1を取得
(3分の1に該当する権利証が発行される。)
↓
2.平成25年に残りの3分の2を取得
(3分の2に該当する権利証が発行される。)
↓
上記の2つの権利証両方揃って、不動産全体についての権利証となるということ。
まとめ
ここまで「相続登記(持分移転)完了後の古い権利証の扱い方」について解説してきました。
持分移転の場合には、権利証の効力の有無に注意を払って間違いのないように書類を扱ってください。
・相続登記(持分移転)のとき、移転対象とならない部分についての権利証の効力はそのまま