固定資産税の納税通知書が故人名義のままでも大丈夫?
不動産所有者は毎年「固定資産税」を納付しています。
固定資産税は毎年6月~7月頃に不動産所在地の役所から納付書が郵送されます。
納付書の宛名が「故人名義」となっている方もいらっしゃいます。(宛名人は既に死亡している)
この状態は問題ないのでしょうか?
何か早急に手続が必要となるのでしょうか?
このページでは「固定資産税納税通知書が故人名義のままの場合」について解説いたします。
故人名義のまま「納税通知書」が送付される経緯
固定資産税は不動産所有者に対して課税される税金です。
では、不動産所有者は「どの資料」を見て判断されるのでしょうか?
それは、不動産の登記簿謄本です。
登記簿謄本には「所有者の住所・氏名」といった権利関係が記載されています。
その内容に沿って、登記名義人(所有者)の宛名で固定資産税の納税通知書が発送されるのです。
何年も「故人名義のまま」という方もいる
故人名義の不動産がある場合、なるべく早めに相続登記が必要です。
ただ、相続登記の申請は現行の制度では期限は定められていません。
したがって、何年も相続登記をしないままの方も稀にいらっしゃいます。
その結果、「不動産名義変更(相続登記)をしない=納税通知書の宛名が故人名義のまま」ということになるのです。
固定資産税を支払っていればOKと考える人も多い..
もちろん、相続登記をして所有者の名義変更をした方が良いです。
しかし、面倒な手続きなのでついつい先延ばしにしてしまう方も多いようです。
実際に「固定資産税」を納付していれば市区町村から「相続登記をしてください」という通知が来ることはありません。
(税金さえ支払っていれば何も文句を言われないという実情)
そのため、何年も故人名義の納付書を使用している方がいます。
納税通知書の宛名が故人名義:問題あり??
納税通知書の宛名が故人名義のままの状態は問題があるのでしょうか??
この問題に対する私の回答は「はい、問題があります」という答えになります。
司法書士という立場から「なるべく早めに相続登記を済ませましょう」と相談者様に助言しています。
(ただし、登記申請は各人の自由です。強制はできません。)
では、どのように納税通知書の宛名問題を解決できるのでしょうか??
以下、解決方法について解説いたします。
納税通知書宛名を相続人名義にする方法
固定資産税の納税通知書の宛名を「故人→→相続人」に変更するためには「相続登記」を申請してください。
相続登記は不動産所在地を管轄する法務局に対して申請を行います。
・ご自身で行う(法務局に何度も通う)
・司法書士に依頼する
のいずれかの方法で相続登記を行うことができます。
相続登記を行った結果、不動産所有者が「故人→相続人」へと書き換えられることになります。
市区町村への届出は不要
固定資産税納税通知書の宛名を変更するにあたり、市区町村への届出は原則不要です。
上記で説明した「法務局に対する相続登記」を行えば、それでOKです。
翌年から固定資産税納税通知書の宛名が「登記名義人(所有者)」に変更された状態で郵送されます。
法務局から市区町村へ通知(連絡)がいく
市区町村への届出が不要なのは「法務局→市区町村」へ相続登記がされた旨の通知がされるためです。
両役所の連携により、こちらで手続きが必要なのは「法務局のみ」となります。
市区町村は名義変更があった旨を法務局経由で把握するのです。
例外:納税通知書宛名を相続人名義にする方法
ここまで「固定資産税納税通知書の宛名を正しくするには相続登記が必要」と説明いたしました。
これは原則です。
例外のケースも存在します。
以下、詳細を解説いたします。
登記されていない建物(未登記建物)
相続登記は「登記簿の所有者を変更する手続き」です。
分かりやすく言えば、「登記された不動産の所有者を変更する手続き」です。
日本国内の「土地」は全て登記されています。
(未登記土地はない)
一方で「建物」には登記されていないものも存在します。
これを未登記家屋と呼びます。
未登記家屋は相続登記できない(登記簿が存在しない)
未登記家屋は相続登記を行うことができません。(表題登記を一から行う場合は可能ですが...)
それは、登記簿が存在しないためです。
そのため、未登記家屋に関しては申請先役所が法務局ではありません。
未登記家屋:市区町村に申請
未登記家屋については、不動産所在地の市区町村に対して申請をしてください。
各自治体によって名称は異なりますが「未登記家屋所有者変更届」のような書類があります。
こちらに必要事項を記入して市区町村に提出してください。
そうすることで、翌年以降の納税通知書の宛名が正しく反映されます。
【東京23区の場合の申請先】
東京23区にある未登記家屋の場合、申請先は区役所ではありません。
都税事務所となりますので、お気を付けください。
まとめ
ここまで「固定資産税納税通知書の宛名が故人名義のときの対応」について解説いたしました。
上記内容を参考に、今後の手続きにお役立てください。
・納税通知書の宛名が故人名義のままという状況も有り得る
・法務局への相続登記で解決できる
・未登記家屋は各市区町村への申請が必要