公衆用道路(私道)の登録免許税の計算方法(相続登記)
一戸建ての土地・家の相続登記をする場合、「故人名義の私道がある」というケースも珍しくありません。
私道は、厳密には「公衆用道路」と呼ばれます。
公衆用道路についての相続登記は少しやっかいな存在です。
具体的には、「相続登記の際に法務局に支払う登録免許税」の計算方法が非常にややこしいのです。
このページでは、相続登記の際の公衆用道路(私道)の登録免許税の計算方法について解説いたします。
登録免許税は固定資産税評価証明書の金額を基準に計算する!
相続登記の際に法務局に納付する「登録免許税」。
こちらは、固定資産評価証明書という書類によって計算されます。
(固定資産評価証明書は「都税事務所・各役所」にて取得可能)
通常の相続登記では、不動産評価額×0.004が登録免許税の金額となります。
しかし、公衆用道路(私道)に関しては計算方法がとても複雑なのです。
公衆用道路の固定資産評価額:なんと0円!
公衆用道路(私道)の固定資産評価証明書を取得すると驚かれると思いますが、なんと評価額は0円と記載されています。
0円!!
お金かからないってこと??
いいえ、実は私道部分の登録免許税は無料ではありません。
でも、「0円×0.004」で計算しても0円ですよね??
そうなんです。そのため、登録免許税の算定は非常にややこしい計算方法になるのです。
近傍宅地の価格を参考に計算をします
「近傍宅地(きんぼうたくち)」と読みます。
具体例によって説明していきます。
【A土地・B土地の相続登記をする場合】
A土地は宅地部分、B土地が私道(公衆用道路)とお考えください。
・A土地の面積100㎡(評価額1000万円)
・B土地の面積 10㎡(評価額0円)
(A土地の登録免許税)
こちらについては何も難しいことはありません。
1000万円×0.004=4万円が登録免許税の金額になります。
問題はB土地です。
(B土地【私道】の登録免許税)
ステップ1:まず近傍宅地であるA土地の1㎡あたりの単価を計算します。
1000万円÷100㎡=「1㎡あたり10万円」となります。
↓
ステップ2:1㎡あたりの単価に0.3を掛けます。
10万円×0.3=「1㎡あたり3万円」
(公衆用道路の価格は「近傍宅地の100分の30に相当する価格になります」)
↓
ステップ3:1㎡あたり3万円×B土地の面積をする。
1㎡あたり3万円×B土地の面積10㎡=「30万円」
30万円がB土地の基準金額になります。
↓
ステップ4:あとはいつも通り計算(0.004掛ける)
30万円×0.004=1200円
1200円が私道部分の登録免許税となります。
近傍宅地はどの土地を使えばいいの?
先ほどの例で示したとおり、私道の登録免許税の計算には近傍宅地を決めなければなりません。
近傍宅地にどの土地を使えばいいか解説いたします。
宅地と一緒に私道の相続登記をするとき
先ほどの例のように「宅地・私道(公衆用道路)」を一緒に登記申請するときは「一緒に申請する宅地」を基準にして問題ないでしょう。
当該宅地を近傍宅地として登録免許税の計算をします。
私道だけ相続登記するとき:「家+私道」の登記をするとき
このときは法務局に近傍宅地を指定してもらいましょう。
1.法務局に近傍宅地を指定してもらう。
↓
2.役所に近傍宅地入りの固定資産評価証明書を発行してもらう。
(差し替えてもらう又は近傍宅地の金額を加筆してもらう方法によって)
↓
3.登録免許税の計算をする。
はじめから近傍宅地の金額が指定されている場合もある
私道部分の固定資産評価証明書を取得すると、はじめから「近傍宅地の金額」が指定されているものもあります。
そのときは、その金額を基準に登録免許税の計算をして問題ありません。
まとめ
ここまで私道(公衆用道路)の登録免許税の計算方法について解説してきました。
計算方法が非常にややこしいですが、私道の相続登記をする際には覚えておいてください。
・私道(公衆用道路)の登録免許税の計算はややこしい
・私道の評価額は、近傍宅地の100分の30に相当する価格
・近傍宅地の指定は、わからないときは法務局に相談を