司法書士に身分証コピーを渡す必要はある?(遺産相続)
相続発生により故人に属する一切の権利義務が承継されます。
要するに全ての「財産・負債」が承継されるということです。
遺産相続の手続きは「初めて経験する方」も多く難解な手続も多いです。
そのため、司法書士等の専門家に依頼するという方も多いと思います。
先日、「司法書士に免許証等のコピーを求められたけれど渡しても大丈夫??」というご相談をいただきました。
(この方は、相談した別の司法書士が信用できず、あまり渡したくないという感じでした。)
このページでは「相続手続依頼時に司法書士に身分証を提示する必要があるか」について解説いたします。
相続業務と本人確認
皆様がこのページを見ているのは、
・専門家に依頼前
・既に専門家に依頼している後
のどちらの状態でしょうか?
既に依頼済みという方は、おそらく「身分証明書」などの本人確認資料の提示をお願いされたと思います。
司法書士(専門職):本人確認義務がある
本人確認のための身分証は、
・運転免許証
・健康保険証
・年金手帳
等が代表例となります。
では、なぜ本人確認資料の提示を求められたのでしょうか?
それは、各士業の業務遂行にあたって「本人確認」が求められているためです。
私たちは依頼を受けるにあたっては「本人確認(確かに人物に間違いがないか)」の確認をしています。
遺産相続の場合であれば、依頼をされる方が本当に親族当事者の人物なのか確認しているのです。
本人確認は「義務」とされている!
司法書士が業務遂行の上で行う「本人確認」は義務とされています。
本人確認を怠り、業務を進めることも形式上は可能かもしれません。
しかし、そのような形で業務を進めることは許されておりません。
本人確認を怠ることは、懲戒事由にも該当するのです。
上記理由から身分証を提示しないと業務を進められない!
ここまで「司法書士が依頼者に身分証提示を求める経緯」について説明してきました。
上記のとおり、本人確認は必須となります。
したがって、本人確認ができない場合にはその後の業務遂行は出来ません。
本人であることを確認できないと、司法書士側もリスクがあるため実際に業務を行えないのです。
自分で相続手続きする場合:身分証は各機関に提示する!
ここまで「司法書士への身分証提示は必須」と解説してきました。
ここまで読み進めていただいた方の中には「本人で全部の手続きをする場合には誰にも身分証を提示しなくてOK」と思っている方もいるかもしれません。
果たして、そうなのでしょうか?
銀行預金の解約払戻し手続き
大半の方の遺産には「銀行預金」が含まれます。
そのため、銀行預金を例に相続手続きと身分証提示の関係について説明いたします。
1.司法書士が代理申請をする場合
この場合、
1.司法書士依頼時に司法書士宛に身分証コピーを渡す
↓
2.司法書士が委任状をもって各銀行にて手続き申請
という流れになります。
司法書士に本人確認義務があるため、「依頼者→司法書士」に身分証を渡すことになります。
2.相続人自身で申請する場合
この場合は相続人自身が直接銀行窓口に出向いて申請を行います。
その際には、「戸籍謄本・印鑑証明書」のほか本人確認資料の提示を求められます。
本人確認資料とは、
・運転免許証(運転経歴書)
・健康保険証
・年金手帳
などが代表例です。
要は、自分自身で手続申請する場合でも、申請先機関には本人確認資料の提示は必要なのです。
相続人自身が本人申請をする場合には「相続人→各金融機関」へ本人確認資料を渡すことになります。
まとめ
ここまで「司法書士に身分証コピーを渡す必要があるのか」について解説いたしました。
本人確認義務が課されていることをご理解いただき、今後の相続手続きにお役立てください。
・司法書士等の専門職に相続手続きを依頼することは可能
・その場合、各士業には本人確認義務がある
・運転免許証等の提示を求められる