失踪宣告の申立て手続きとは?
遺産相続では、当事者全員の話し合いにより相続方法を決めていくことが一般的です。
ただ、遺産相続には様々な事例があります。
相続人のうちに行方不明者がいるというケースが稀にあります。
この場合は、どのように手続きを進めればよいのでしょうか?
諦めるしかないのでしょうか?
いいえ、そうではありません。
このような場面に備えて「失踪宣告」という制度があります。
このページでは、失踪宣告の申立てについて解説いたします。
失踪宣告を利用する経緯
行方不明者の相続人がいる場合、相続人全員で遺産のついて話し合い(遺産分割協議)が出来ません。
(=このままでは、相続手続きを進めることが出来ない)
これでは、残された相続人の方々が困ってしまいます。
そのため、失踪宣告という制度が用意されています。
失踪宣告とは?
失踪宣告とは、
・行方不明者の相続人がいる
・当該人物を死亡したものとみなす
制度のことを指します。
失踪宣告により「行方不明者=死亡」と扱うことになります。
その結果、遺産相続における法定相続人が確定するのです。
失踪宣告により相続手続きが可能となる!
失踪宣告の大きな効果は「行方不明者を死亡したもの」と扱えることです。
「失踪宣告=法定相続人の確定」によって相続手続きを前に進めることが可能となります。
(行方不明の相続人がいる場合でも相続手続きを進めることができる状態となる。)
失踪宣告の申立てについて紹介します
ここからは、実際の失踪宣告の申し立てについて解説いたします。
失踪宣告を申立て出来る人(申立人)
失踪宣告の申立を行うことが出来るのは下記の方となります。
・利害関係人
(申立てできる人の例:配偶者、相続人、財産管理人・受遺者など失踪宣告を求めるについて法律上の利害関係を有する者)
失踪宣告の申立て先
・不在者の従来の住所地、居所地の家庭裁判所
失踪宣告は家庭裁判所に申立てをいたします。
家庭裁判所は、行方不明者が住んでいた住所地の家庭裁判所になります。
失踪宣告の申立てに必要な書類
失踪宣告の申立てには、必要書類が決められています。
失踪宣告の前には、まず書類の準備が必要です。
・失踪宣告申立書
(※裁判所のHPにてダウンロードできます)
・失踪者の戸籍謄本
・失踪者の戸籍の附票
・失踪を証する書面(捜索願の受理証明書・返戻された不在者宛の郵便物など)
・申立人の利害関係を証明する書類(親族であれば戸籍謄本)
失踪宣告申立ての費用】※およその費用です
・収入印紙(800円)
・郵便切手(3060円)
・官報公告費用(4179円)
※専門家に失踪宣告の申立てを依頼すると、別途報酬が発生します。
失踪宣告の申立て~失踪宣告までの流れ(およそ1年の期間)
失踪宣告は、基本的に以下のような流れで進行いたします。
失踪宣告にはとても時間がかかります。おおよそ1年近くの期間を要する手続きです。
1.必要書類の取得
↓
2.失踪宣告申立書の作成・家庭裁判所への申立て
(専門家に依頼するときは、弁護士又は司法書士の範囲となります。)
↓
3.家庭裁判所による審理
申立人・不在者の家族に対して、家庭裁判所から聞き取り調査があります。
↓
4.公示催告
家庭裁判所による公告が行われます。(以下の内容が公告されます)
・不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと
・不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと
・前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること
・不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと
↓
5.失踪宣告の審判
不在者から生存の届出がされなかったときは、失踪宣告をします。
↓
6.失踪宣告後の届出
失踪宣告が確定した後、失踪者の本籍地又は申立人の本籍地の役所へ届出が必要です。
行方不明者の戸籍に失踪宣告の記載が入る
上記の手続きが完了すると、行方不明者の戸籍に「失踪宣告」の旨が反映されます。
これにより「行方不明者=死亡みなし」と扱えるようになるのです。
まとめ
以上が失踪宣告の申立てについての解説です。
上記内容を参考に、今後の遺産相続にお役立てください。
・失踪宣告の申立て→行方不明の相続人がいるときでも相続手続きを進められる
・家庭裁判所に必要書類を揃えて失踪宣告の申立てをする必要あり
・失踪宣告の申立て~終了まで約1年かかる