相続登記に権利証が必要になるケースとは?
故人名義の不動産がある場合には「相続登記」が必要です。
相続登記の際には、基本的には不動産権利証は不要です。
ただ、事例によっては例外的に必要となる場合もあります。
どのようなケースで不動産権利証が必須となるのでしょうか?
このページでは「相続登記に権利証が必要となるケース」について解説いたします。
相続登記の必要書類
相続登記は法務局という役所に対して申請をするものです。
なお、申請にあたっては必要書類が定められています。
一般的な相続登記では、
・戸籍謄本
・遺産分割協議書
・印鑑証明書
・住民票
・固定資産評価証明書
等が必要書類に該当します。
権利証は原則必要ではない
上記書類の中に「不動産権利証」は含まれておりません。
要するに、相続登記に権利証は不要ということです。
そのため、「権利証が見当たらない」といった場合でも特に慌てる必要もありません。
例外的に権利証が必要となることもある
ただ、上記説明はは原則論の話です。
遺産相続の事例は様々で、場合によっては権利証の準備が必要となるケースもございます。
では、どのようなケースで権利証が必須となるのでしょうか?
以下、例外事例について解説いたします。
相続登記に権利証が必要となる場面
さて、このページの本題です。
権利証が必要となるのは、
・住民票除票(戸籍附票)が取得不可のとき
・「登記簿住所:最終住所」両者のつながりを証明できないとき
となります。
以下、それぞれ詳細を解説いたします。
1.住民票除票(戸籍附票)が取得不可のとき
相続登記申請時には、「故人の住民票除票(または戸籍の附票)」という書類が必要になります。
ただ、これらの書類は必ず取得できるものではありません。
各役所には「保存期間」が定められているのです。
通常、死後5年間が住民票除票(戸籍附票)の保存期間となります。
・死後5年以内に書類請求
→確実に住民票除票(戸籍附票)を取得できる
・死後5年以降に書類請求
→保存期間満了により廃棄されている可能性あり
=取得できない
故人の死後すぐに相続登記に着手した場合は、住民票除票等は確実に取得することが可能です。
反対に「何年も相続登記を放置していた場合」には書類取得が難しくなります。
住民票除票が取得できない=権利証が必要
上記に該当する場合には「不在籍不在住証明書」という特殊な書類が必要となります。
また、これと併せて「相続人全員の上申書・不動産権利証」が必要となります。
なお、書類詳細は法務局管轄により取り扱いが若干異なります。
そのため、事前に法務局に照会しておくとよいでしょう。
2.登記簿住所と最終住所のつながりを証明できないとき
次に「登記住所・故人住所のつながりを証明できないケース」について解説いたします。
不動産登記簿には、所有者の住所氏名が記載されています。
なお、ここに記載されている住所は「不動産取得時の住所」となります。
したがって、
・登記簿記載の住所
・故人の最後の住所
が必ずしも一致するとは限らないのです。
住所違う=同じ名前の別人物??
「登記上の住所・故人の最終住所の記載が異なる=両者は別人物」と扱われます。(同じ名前の住所が異なる人物)
両者が同一人物であることを証明するには、住民票(戸籍附票)により住所変遷を証明していく必要があるのです。
(住所のつながりを証明する=両者が同一人物であることを証明できる)
書類廃棄により住所変遷を証明できないこともある
ただ、先ほど説明したとおり住民票除票(戸籍附票)には保存期間があります。
そのため、住所変遷を完全に証明することができないこともあるのです。
この場合には、例外的に不動産権利証が相続登記に必要となります。
遺贈登記のとき
最後に「遺贈登記」について説明いたします。
相続による名義変更手続きは「相続登記・遺贈登記」の2種類があります。
「遺言書を使って贈与する」ことを遺贈といいます。
遺贈登記には権利証が必要
遺贈登記は厳密にいえば相続登記とは異なる登記種類です。
そのため、手続き方法も大きく異なります。
遺贈登記では、権利証は常に必要となります。(基本的に必要)
その旨を覚えておいてください。
まとめ
ここまで「相続登記に権利証が必要なケース」について解説しました。
例外的に必要になる事例があることを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・相続登記に権利証は不要(原則)
・例外的に必要となる場面がある
・住民票除票(戸籍附票)が取得できないとき等