被相続人が第三者の連帯保証人:相続放棄すべき?
故人が第三者の連帯保証人になっているというケースがございます。
この場合は相続放棄しておいたほうが良いのでしょうか?
本人の債務ではないので、相続放棄は不要なのでしょうか?
このページでは、被相続人が第三者の連帯保証人になっているときの相続放棄について解説いたします。
連帯保証人の地位も相続の対象となる!
相続が発生すると、原則として故人のすべての権利義務が相続人に承継されます。
「契約上の地位(立場)」も当然に承継の対象です。
したがって、債務の連帯保証人としての地位は相続対象となり、相続人は連帯保証債務を引き継ぐこととなります。
連帯保証人の立場・責任とは?
では、連帯保証人とどのような責任を負うのでしょうか?
連帯保証人は、
・主債務者の支払いが滞ったとき
・主債務者に代わって債権者に支払い義務を持つ人
のことを指します。
主債務者が払えない=連帯保証人に支払い義務発生
支払いは任意ではなく「連帯保証人の義務」です。
そのため、主債務者が支払いできなくなった場合には大きな責任(損害)を受けます。
連帯保証債務が大きいと相続放棄を考えなければなりません。
しかし、この連帯保証債務の相続というのは厄介な存在です。
連帯保証人の債務を知るのは難しい
というのも、故人の遺産整理の際に、連帯保証債務の存在が明るみにでないことが多いのです。
そもそも、連帯保証人は
・借主が何らかの事情により債務の支払不能に陥ったとき
・債務の支払いが滞った場合
に債権者(金融機関)から支払いを求められる立場です。
そのため、借主が約定通り債務の支払いを続けている期間は、連帯保証人宛に何ら通知が来ることはありません。
したがって、連帯保証債務の存在を知ることは極めて困難なのです。
相続発生後数年後に存在を知ることも多い!
相続発生の段階で連帯保証債務の存在を知っていれば、直ちに相続放棄の手段を取ることができます。
しかし現状では、相続発生から数年経過後に連帯保証債務の存在を知るというケースも多いです。
では、相続による連帯保証債務が莫大な金額で到底支払うことが出来ない場合は、どうすればよいのでしょうか?
連帯保証人の債務を知ったとき:相続放棄できるケースが多い
相続放棄の熟慮期間(3か月)を超えている場合であっても、相続放棄が認められるケースもございます。
そもそも、相続放棄は「自己のために相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内」という期間制限(熟慮期間)があります。
しかし、保証債務の存在を知らなかったことに相当の事由がある場合には3ヶ月経過後であっても相続放棄が認められる可能性もあるのです。
連帯保証債務の存在を知ってから3か月以内
相続放棄をする場合には、連帯保証債務の存在を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述しましょう。
連帯保証人の債務があることを知ってから3ヶ月何もしていないと、相続放棄をするのは難しくなります。(単純承認したものとみなされる)
ですので、連帯保証人の債務があることを知ったときは、早急に相続放棄の申述が必要です。
連帯保証人として債務支払いが到底無理な場合
なお、相続放棄が受理されなかった場合には相続人の方は連帯保証人の地位を相続し連帯保証債務を支払うことになります。
保証債務が大きく、到底支払える資力がない場合は、
・自己破産
・個人再生
といった債務整理手続きをすることとなります。
債務整理をすると、クレジットカードが作れなくなったり、ローンを組むことが出来なくなったりと不都合がでてきます。
また、自己破産を選択する場合には「家」を処分しなければなりません。
こういった事態を避けるためにも、連帯保証債務がある場合には相続発生前に家族に伝えておくことが家族の将来の相続放棄のために重要です。
まとめ
ここまで被相続人が連帯保証人になっているときの相続放棄について解説いたしました。
このページの内容を参考にしていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
≪相続人が故人の連帯保証人になっている時の相続放棄についての解説はこちら≫
・連帯保証人の地位、債務も相続対象となる
・主債務者が支払い不能→連帯保証人に支払い義務あり
(非常に重大な危険性がある)
・支払いができないときは相続放棄の方法が有効
・数年後に連帯保証人の債務が判明したときでも、相続放棄出来ることが多い