相続発生前の日付の遺産分割協議書(覚書・念書)の効力は?

相続が発生すると、相続人全員での遺産分割協議(話し合い)によってその後の相続方法を決めていきます。

故人の闘病生活が長い場合等、故人の生前に家族間で「遺産分割」についての話し合いがされているケースがあります。

相続発生前の日付で作られた「遺産分割協議書」(あるいは覚書・念書)は有効なのでしょうか?

このページでは「相続発生前の日付の遺産分割協議書(念書・覚書)は有効か」について解説いたします。

相続発生前に家族間で話をしておくことも多い!

高齢な親がいる場合、闘病生活中といった事情がある場合、相続発生前の段階で家族間で話し合いをしておくことは珍しくありません。

いざという場合に備えて「事前に準備しておく」ことは大切なことです。(トラブルを防ぐためにも)

相続発生前に覚書・念書が作成されることもある

事例としては稀ですが、生前の話し合いの結果を「覚書・念書」として残されている方がいらっしゃいます。

内容としては、

・相続が発生した場合の遺産分割方法
・当事者全員の署名押印

がされています。

果たして、この文書は法律上有効なのでしょうか?当事者に対する拘束力はあるのでしょうか?

相続発生前の日付の遺産分割協議書(覚書・念書)は無効

さて、このページの本題です。

結論から申し上げますと「相続発生前に作成された遺産分割協議書(覚書など)は法律文書としての効力はありません。

そのため、生前に書類を作っていたとしても再度作り直す必要があるのです。

相続発生まで各人の相続権は顕在化しない

相続権は「故人の死亡」によって当然に発生します。裏を返せば、相続発生までは何も権利がないのです。

そのため、相続発生前の日付では遺産分割協議は不可能なのです。

(相続発生前にした話し合いは、あくまで推定相続人として将来の可能性を話し合ったに過ぎません。)

相続発生後にあらためて「話し合い+遺産分割協議書の作成」へ

相続発生後、あらためて相続人全員で遺産分割についての話し合いを行います。

(生前に合意している事項は暫定的です。「遺産については、このあいだ話したとおりで良いよね?」というように確認を行ってください。)

そして、その内容を基に遺産分割協議書という書類を作成し全員が署名押印をします。

事前の協議と内容を変えてもOK!

事前に家族間で話し合った内容は、法律上の拘束力はありません
そのため、「気が変わった」等の事情により遺産分割方法を変更しても何ら問題ありません。

そもそも、相続発生前の協議には「正式なものではない」からです。

後々相続を円満にまとめたいなら、生前から話をしておくことを推奨

ここまで「生前に作成された遺産分割協議・各書類に効力はない」ということを説明してきました。

ただ、遺産相続をスムーズに進めるために「事前の対策」は大切です。
事前準備として「もしもの場合を想定して話し合っておく」ことはとても良いことだと思います。

事前に話しあっておくことで「将来発生するかもしれない相続トラブル」を避ける効果があると思います。

まとめ

ここまで「相続発生前の日付の遺産分割協議書(覚書・念書)の効力」について解説いたしました。

相続発生前の協議・書類には効力がない事を覚えていただき、今後の相続手続きにお役立てください。

・生前では相続権が確定していない
・相続発生前の話し合いに法律上の拘束力はない
・相続発生日前の遺産分割協議書(念書・覚書)に効力なし
・ただ、事前に話し合いをしておくことは良いことです


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