相続人が海外在住(居住)のときは?

遺産相続には様々な事例があります。
事例としては少ないですが「相続人の中に海外在住・海外居住の相続人がいる場合」が稀にあります。

このような場合、通常の相続手続きと異なる点があるのでしょうか?
特殊な書類が必要となるのでしょうか?

このページでは、相続人が海外在住の場合の相続手続きについて解説いたします。

相続手続きの際に準備すべき書類

相続手続きを進めるにあたっては、各機関に必要書類の提出が必要となります。

これは「日本在住者・海外在住者」によって書類が変わります。

前提知識:国内在住の相続人について

まず、前提知識として「日本国内に在住している相続人」の必要書類について解説いたします。

【相続に必要となる書類】

1.戸籍謄本

2.住民票又は戸籍の附票

3.印鑑証明書(遺産分割協議がある場合)

以上の3つが、日本国内の相続人が準備すべき必要書類です。

海外在住者に関しては特殊な書類が必要となる!

上記で説明したのは「日本国内在住の相続人」の必要書類です。
海外在住の方に関しては、必要書類が変わってきます。

日本国内では取得できない特殊な書類がいくつか必要となるのです。

海外在住(居住)相続人の必要書類

ここから、海外在住の相続人の必要書類について解説いたします。

海外居住の相続人の必要書類は以下のとおりです。

1.相続人自身の戸籍謄本

2.在留証明書(海外在住・居住の相続人特有の書類)

3.サイン(署名)証明書(海外在住・居住の相続人特有の書類)

以下、それぞれの書類について詳しく解説いたします。

1.戸籍謄本

まず、戸籍謄本について解説いたします。

戸籍謄本については「日本在住・海外在住」のいずれであっても取得可能です。
そのため、海外在住の相続人であっても通常の場合と変わりません。

戸籍謄本は日本国籍を離れなければ取得可能です。
日本国籍を失っていない限り、海外在住であっても戸籍謄本を取得できるのです。

戸籍は相続人の本籍地の役所において取得することができます。

2.在留証明書

次に「在留証明書」について解説いたします。

在留証明書は、海外居住相続人の住所を証明する書類です。
日本でいうところの「住民票・戸籍の附票」に相当するものです。

海外在住者特有の書類:在留証明書

日本国内の方は「住民票・戸籍附票」を住所地の役所で取得することが可能です。

しかし、日本に住所がない方は、日本において住民票を取得することができません。(住所が日本にないため)

そのため、住民票に代わる書類として「在留証明書」が必要になります。

在留証明書が必要となるケース

在留証明書は、「海外在住・居住の相続人が不動産の名義を取得する場合」に必要となります。

そのため、

・相続人である
・ただし、不動産については相続しない

といった場合には在留証明書は特に必要ではありません。

現地の領事館にて取得できる

上記説明のとおり、在留証明書は「海外在住の方特有の書類」です。

在留証明書は在住・居住している海外の日本領事館にて取得することができます。

3.サイン(署名)証明書

最後に、サイン(署名)証明書について解説いたします。

海外では「印鑑文化」ではなく「サイン文化」の国が多いです。
サイン証明書は海外在住・居住の相続人にとって日本の印鑑証明書に代わる書類となります。

海外在住者=印鑑証明書を取得できない

印鑑証明書は「本人の住所地の役所」にて取得できる書類です。

海外在住者は、日本に住所がありません。
そのため、印鑑証明書も取得できないのです。

印鑑証明書に代わる書類として「サイン証明書」が必要となります。

各種相続手続きにサイン証明書が必要

大半の相続事例(海外在住者)では、サイン証明書は必要書類となります。

・遺産分割協議書を作成する
・預貯金の相続手続きをする
・株式の相続手続きをする

といった代表的な相続事例ではサイン証明書は必須の書類となります。

・日本国内の相続人が印鑑証明書を準備するケース
→海外在住者はサイン証明書が必要

と覚えておいてください。

現地の領事館にて取得可能

サイン証明書は、在留証明書と同じく在住・居住している海外の日本領事館にて取得することができます。

注意すべき点として、相続人が領事の面前で署名(サイン)をする必要があるということです。

そのため、事前に遺産分割協議書等を海外居住の相続人宛に郵送しておく必要があります。

まとめ

ここまで海外居住の相続人がいる場合についての解説いたしました。
海外在住相続人は特別な書類が必要となることを覚えていただき、今後の相続手続きにお役立てください。

・海外在住者でも戸籍謄本は取得可能
・海外在住相続人は日本国内の住民票と印鑑証明書は発行されない
・海外在住相続人は在留証明書・サイン証明書が必要


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