不在籍不在住証明書とは?(相続登記)

故人の不動産を相続人名義に変更する手続きを相続登記といいます。
相続登記には期限はありませんが、なるべく早く手続きを済ませることが推奨されています。

ところで「不在籍不在住証明書」という書類の名前は聞いたことがありますか?
おそらく、ほとんどの方は初めて耳にする言葉であると思います。

この書類は「特殊な」相続登記の場合にのみ法務局への提出が求められる資料です。(通常はいらない。)

このページでは少々複雑な相続登記(不在籍不在住証明書)について司法書士が解説いたします。

不在籍不在住証明書は普通の相続登記案件では不要です!

不在籍不在住証明書という書類は、「どの相続登記でも共通して必要」というわけではありません。
むしろ、ほとんど(8割以上)の相続登記では特に準備する必要のない書類です。

ですので、まず「どのような場合に不在籍不在住証明書が必要になるか」について紹介いたします。

不在籍不在住証明書が必要になるケース

それは「故人の住民票の除票(又は戸籍の附票)が提出できないとき」です。

「故人の住民票の除票(又は戸籍の附票)が提出できないとき」??
これはいったいどういう状況を指すのでしょうか。


(前提知識)
相続登記では故人の住民票の除票(又は戸籍の附票)が必要です。


住民票の除票・戸籍の附票には保存期間が定められています。
被相続人の死後5年間です。

相続発生後5年以内に「よし、相続登記をやるぞ!」と実際に動き始めた場合、住民票の除票が取得できるので不在籍不在住証明書は必要ありません。

ですが、5年以上相続登記を放置していた場合には「保存期間満了により住民票の除票(戸籍の附票)が廃棄されている」可能性が高く、その場合には不在籍不在住証明書が必要になります。

そもそも、不在籍不在住証明書ってナニ??

(具体例:亡東京花子さんの相続登記を想定して)

【現在の不動産登記簿上の表示】
東京都豊島区池袋○丁目○番○号 東京花子
(死後5年以上経過により東京花子の住民票の除票が取得できない状況。)

このときには以下の内容の不在籍不在住証明書を準備します。

不在籍証明書:東京都豊島区池袋○丁目○番○号 東京花子
不在住証明書:東京都豊島区池袋○丁目○番○号 東京花子

とても説明が難しいのですが、不在籍不在住証明書とは「今現在“東京都豊島区池袋○丁目○番○号“に本籍を置いている・住所を定めている東京花子という人物は存在しませんよ!」という証明書なのです。

「東京都豊島区池袋○丁目○番○号」←ここに本籍・住所を定めている
「東京花子」←この名前の人
は存在しない!

という証明書です。

なぜ不在籍不在住証明書が必要になるのか?

先ほど「不在籍不在住証明書」は住民票の除票が取れない場合にのみ必要な書類であるという説明をいたしました。

そもそも住民票の除票は、なぜ要求されているのでしょうか。

その答えは、「不動産登記簿の人物・今回亡くなった相続対象者」が同一人物であることを立証するためです。

登記簿上の表示(住所)東京都新宿区四谷○丁目○番○号 四谷太郎
戸籍謄本の表示(本籍)東京都板橋区成増○○番地 (亡)四谷太郎
→このままでは2人が同一人物であるという証明はできません。(同姓同名かもしれない)

このときに、住民票の除票「東京都新宿区四谷○丁目○番○号 四谷太郎(本籍地:東京都板橋区成増○○番地)」を提出することを通じて

1.不動産登記簿上の名義人
2.今回亡くなった方(戸籍謄本の人)
が同一であるということを証明していくのです。

【住民票の除票(戸籍の附票)が取得できない場合】
この場合、厳密にいえば
1.不動産登記簿上の名義人
2.今回亡くなった方(戸籍謄本の人)
が同一であるということを100%証明することは難しいです。

ただ、少しでも精度を高めるために(人違いの発生しないように)、不在籍不在住証明書の提出が求められるということです。

不在籍不在住証明書の取得方法

まず、不在籍不在住証明書を取得する前に「不動産登記簿謄本」を取得してください。→最寄りの法務局へ行ってください。

(具体例)
登記簿の表示:東京都北区王子○丁目○番○号 北田幸子

→東京都北区役所にて「東京都北区王子○丁目○番○号 北田幸子」の不在籍不在住証明書を請求すればOKです。
取得通数は1通で大丈夫です。

まとめ

ここまで不在籍不在住証明書(相続登記)について詳しく解説いたしました。
ほとんどの相続登記事例では不要ですが、相続発生から5年以上経過している方は覚えておいてください。

・故人の住民票の除票・戸籍の附票は5年間で廃棄されることが多い
・そのときは不在籍不在住証明書が必要


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