不動産取得時に担当した司法書士が廃業しているとき(相続登記)
故人名義の不動産がある場合には、相続登記が必要です。
不動産取得時を担当した司法書士が廃業・引退している場合はどうすればよいのでしょうか?
全く新しいほかの司法書士に依頼しても大丈夫なのでしょうか?
このページでは「不動産取得時に担当した司法書士が廃業している場合」について解説いたします。
不動産名義人に発行される権利証
不動産名義人には「権利証」が発行されています。
こちらには、登記を担当した司法書士事務所の情報が印字されていることが通常です。
相続登記の専門家は「司法書士」です。
そのため、相続登記の際には権利証に記載された事務所に連絡をするという方も多いです。
不動産取得~相続発生までは長い年月がある
「不動産取得時~相続発生時」までには長い期間があります。
仮に「30歳で不動産取得、80歳で死亡」となると、あいだの期間は50年にもなります。
当時の担当司法書士が廃業・引退していることも
「権利証記載の事務所に連絡してもつながらない」
「すでに事務所そのものが存在していない」
このように、不動産取得時に担当した事務所が存在しないということも十分あり得る話なのです。
これは司法書士の引退・廃業・移転によるものです。
私自身も現在司法書士として活動していますが、いつ何が起こるかは予測できません。
では、不動産取得時を担当した司法書士が廃業しているときはどうすればよいのでしょうか?
別の司法書士に依頼しても手続き上問題はないのでしょうか?
結論:他の司法書士に依頼しても問題なし
さて、このページの本題です。
結論から申し上げますと、相続登記に関して他の司法書士事務所に依頼しても全く問題ありません。
また、他の司法書士に依頼したからといって、手続き上不都合があるということは滅多にありません。
当時の司法書士が現役でも、他の事務所でもOK
なお、「他の司法書士に依頼してもOK」というのは、当時の司法書士が廃業しているケースに限られません。
(当時の司法書士が現役の間でも、他の司法書士に依頼しても何ら問題はない)
私の事務所にも「権利証に書いてある事務所に電話したが対応が悪かった」といってご連絡をいただくケースがあります。
要は、司法書士の選択権は依頼者側にあるのです。
・不動産取得時を担当した司法書士
・新たに依頼する司法書士
どちらでもOKということです。
司法書士の仕事は単発なので
「不動産取得時の担当でない司法書士でもOK」というのは、私が皆様から仕事を依頼してもらいたいから言っているわけではありません。
これは、司法書士の仕事内容・仕事の進め方の問題です。
そもそも、司法書士は単発の仕事です。
・相続登記の業務
・不動産購入時の登記手続き
・家の新築時の登記手続き
上記に代表される司法書士業務は全て単発の業務です。
依頼された登記が完了すれば、そこで終了となるのです。
(関係が継続するわけではない)
継続して顧問契約をしていわけではない
「単発の業務」の反対に「継続する業務」があります。
これは「顧問契約」等が代表例です。
継続する業務の場合には、依頼後ずっと関係が継続します。
そのため、昔から付き合いのある専門職に依頼した方がスムーズに手続きが進行します。
ただ、繰り返しになりますが司法書士業務は「単発」です。
(関係性が継続するものではない)
そのため、相続登記の際は、新しい司法書士を選択しても何ら問題はないのです。
まとめ
ここまで「不動産取得時に担当した司法書士が廃業している場合(相続登記)」について解説いたしました。
他の司法書士に依頼しても何ら問題はないということを覚えていただき、今後の相続登記にお役立てください。
・故人名義の不動産あり→相続登記が必要
・不動産取得時:権利証に司法書士事務所に記載あり
・ただ、当時の司法書士が廃業していることもある
・全く別の新しい司法書士に依頼しても何ら問題ない
・手続き上も不都合は起こらない(単発の業務のため)