相続登記で申請漏れを防ぐ方法とは?
故人名義の不動産がある場合には相続登記が必要です。
相続登記は「故人名義の全ての不動産」に対して申請する必要があります。
しかし、中には「申請漏れ」が生じるケースもございます。
どのようにすれば申請漏れを防ぐことができるのでしょうか?
このページでは「相続登記で申請漏れを防ぐ方法」について解説いたします。
不動産の把握が最重要!
相続登記を進めるにあたって、まず最初に行うことは何でしょうか?
それは、「故人名義の不動産の把握」です。
まず、故人がどのような場所にどういった不動産を所有していたのかを把握しなければなりません。
不動産の把握ができていない状態では、「遺産分割(遺産をどのように分けるのか)」の話し合いすらできません。
不動産の情報を得る方法(一般的な方法)
当事務所も相続登記の依頼を受けることが数多くあります。
初回面談の際には「不動産の情報が分かる資料」を持ってきてもらっています。
これは、
・固定資産税の納税通知書(課税明細書)
・不動産権利証
・不動産の登記簿謄本
等の書類が代表例です。
これらの書類には不動産詳細が記載されています。
したがって、これらの資料をもとに故人所有の不動産概要を掴むことができます。
しかし、申請漏れが生じることもある!
上記書類等で故人名義の不動産を確認することが可能です。
しかし、一般の方(司法書士の方)でも相続登記に申請漏れが生じてしまうこともあるのです。
これは、「不動産の把握漏れ」が原因です。
不動産の存在を認識できれば、申請漏れという事態は起こりません。
相続人・親族の方に認識されていない不動産が存在する場合に、申請漏れが起こってしまうのです。
相続登記申請漏れの代表例
相続登記の場面で申請漏れが生じるのは、
・私道がある場合
・マンション共用部分(集会室)を共有所有している場合
等が代表例です。
これらの場合、固定資産税納税通知書に該当不動産が記載されていないケースも多いです。
そのため、申請漏れが起こってしまうのです。
では、申請漏れを防ぐにはどのような方法が有効なのでしょうか?
相続登記の申請漏れを防ぐ方法!
さて、このページの本題です。
相続登記で申請漏れを防ぐには「名寄帳」を取得することが有効です。
名寄帳??
あまり聞きなれない書類であると思います。
以下、詳細を説明いたします。
名寄帳=故人名義の全不動産情報を記載した資料
「名寄帳(なよせちょう)」は市区町村ごとに発行している書類です。
発行窓口は「固定資産評価証明書」の係と同じところです。
名寄帳とは、
・申請した市区町村内で
・該当人物名義の不動産すべて
の情報を記載開示してくれる書類です。
【名寄帳の例】
・埼玉県川口市にAの名寄帳を請求
→川口市内にあるA名義の全部の不動産情報を知ることが可能
名寄帳には私道部分も漏れなく記載される
固定資産税の納税通知書(課税明細書)には、私道部分が表示されないことが多いです。
(私道部分は固定資産税が非課税のため)
これに対し、名寄帳では私道部分も含めて故人名義の全不動産が記載されます。
そのため、不動産把握漏れを防ぐことができるということです。
名寄帳は市区町村単位で発行
名寄帳は「市区町村単位」で発行されます。
・A市に対して名寄帳を請求
→A市内にある全不動産情報が確認できる
(ほかの市区町村のことは分からない)
ということになります。
「故人名義の不動産があるかもしれない...」
と思った市区町村には念のため名寄帳を請求しておくと良いでしょう。
申請漏れがあると本当に面倒です..
相続登記で申請漏れがあると、本当に面倒です。
もう一度同じ手続きを一から行う必要が出てきます。
・新たに申請書を作る
・当時の書類を集める(散失してしまった場合は取り直し・作り直し)
ということになります。
このような手間を考えると名寄帳取得の手間はごく僅かです。
まとめ
ここまで「相続登記で申請漏れを防ぐ方法」について解説しました。
名寄帳を有効活用していただき、今後の相続登記にお役立てください。
・不動産の把握が再重要
・固定資産税の納税通知書では不動産把握漏れの可能性あり
・名寄帳という書類がある
・名寄帳は不動産把握漏れ防止に有効