山林(森林)の相続とは?
故人名義の不動産がある場合は、相続(名義変更)の手続きが必要となります。
遺産相続の事例の中で、
・被相続人が生前に山林(森林)を所有していた
というケースが稀にございます。
そのようなときは、要注意です。
山林(森林)の遺産相続では、宅地建物(通常の不動産)とは異なる特殊な手続きが必要になります。
また、なるべく早く山林の相続手続きを進めるべきです。
山林の相続は90日以内という期限が定められているからです。
このページでは、山林(森林)の相続について解説いたします。
山林の相続手続きに必要なこと
山林(森林)の相続をするときは、
1.山林の相続登記(=不動産の名義変更のこと)
2.市町村への山林の届出
上記の2つの手続きが必要となります。
通常の不動産(宅地・建物)については、「1の相続登記のみ」でOKです。しかし、山林の場合には事情が変わります。
山林特有の手続きとして「2の市区町村への届出」も必要になるのです。以下、それぞれの手続きについて詳しく解説いたします。
1.山林(森林)の相続登記
まずはじめに「相続登記」について解説いたします。
山林は「不動産」です。
法務局に対して申請する「山林(森林)の名義変更手続き」のことを相続登記をいいます。
・戸籍謄本
・印鑑証明書
・住民票
・固定資産評価証明書など
の必要書類を集めて司法書士又は相続人の方が法務局に山林(森林)の相続登記を申請することになります。
相続登記には特に期限はない
なお、相続登記は「相続発生から何日以内」というような期限の定めはありません。
そのため、遅くなっても罰金等はもちろんありません。
ただ、なるべく早く山林の相続登記をしておくことをお勧めいたします。(何年も放置しておくと、後々面倒なことになりますので。)
2.山林の市町村への届出:90日以内という期限あり
次に「市区町村への届出」についての解説です。
森林の所有者の把握(適切な森林整備の促進)を目的として、平成24年4月に森林法が改正されました。
これに伴い、所有者の届出制度が創設されたのです。
相続発生後90日以内に届出が求められる
山林(森林)の相続では、90日以内に市町村への届出が必要になります。(相続登記をした場合でも別途届出が必要となる。省略不可)
ただ、相続発生後90日というのはあっという間に過ぎてしまいます。
その間に、遺産分割協議(=遺産についての話し合い)が整わないということも大変多いです。
遺産分割協議が完了、未了によって市町村への届出が少々異なります。
90日以内に山林の遺産分割協議をしていない場合
90日以内に相続人の共有物として市町村に届出をしなければなりません。
・各相続人が、それぞれ自分の相続分割合で山林の届出をする
・相続人の連名で山林の届出をする
という取扱いになります。
【その後、遺産分割協議がまとまった時は再度届出をする】
なお、その後山林について遺産分割協議をしたときは、遺産分割協議終了の日から90日以内にその旨の届出が要ります。
90日以内に山林の遺産分割協議をしている場合
このときは、山林を相続することになった相続人が、90日以内に市町村に山林について届出をすればOKです。
なお、市町村により取扱いが異なるところがありますので、山林のある市町村に事前に確認することをお勧めいたします。
まとめ
ここまで「山林(森林)の相続手続き」について解説いたしました。
登記のほかに市町村への届出も必要ということを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・山林(森林)の相続手続きは主に2つある
・ひとつめは、相続登記(山林の名義変更)
・もうひとつは、90日以内に市町村への山林の届出