相続登記完了後、市区町村への届出は必要か?
故人所有の不動産がある場合には名義変更が必要です。
法務局に申請する不動産名義変更のことを「相続登記」とよびます。
相続登記をした後、市区町村への届出は必要なのでしょうか?
相続登記をすれば名義変更は全て完了となるのでしょうか?
このページでは「相続登記完了後に市区町村への申請は必要か」について解説いたします。
登記されている不動産=法務局への相続登記
不動産の権利関係は「登記簿」にて管理されています。
これは法務局が管理しているものです。
登記簿には、「所有者の住所・氏名」が記録されています。
登記簿の所有者を「故人→相続人」へと変更させる手続が相続登記となります。
相続登記=法務局への名義変更の申請
相続登記とは不動産名義変更の手続きのことです。
相続登記を行うことで、不動産登記簿の所有者が「故人→相続人」へと変更されます。
なお、相続登記は法務局に対して行う手続きです。
原則:相続登記をすれば名義変更は全て完了
さて、このページの本題です。
先に原則論から説明いたします。
基本的には、相続登記を行えば名義変更の手続きは全て完了です。
相続登記の後に、不動産所在地の市区町村に届出をする必要は特にありません。
そのため、「相続登記をすれば名義変更は全て完了」と思っていただいて結構です。
法務局から市区町村に連絡がいく
相続登記をした後、基本的には市区町村への届出は不要です。
なぜなら、法務局と市区町村は連携しているためです。
「○○の土地について名義変更がありました」
という情報は法務局から市区町村へ連絡がされます。
その結果、こちらから市区町村への届出は不要なのです。
翌年以降の固定資産税も自動的に「相続人名義」で郵送されるようになります。
例外:市区町村に届出が必要な場合もあり
ただし、例外も存在します。
相続登記のほかに市区町村へ届出が必要となるケースもあるのです。
それは、
・農地(田・畑)の名義変更
・山林の名義変更
といった場合です。
以下、それぞれについて解説いたします。
1.農地の名義変更
農地についても、当然に相続登記の申請は必要です。
その他に、農地に関しては市区町村への名義変更届出も必要となります。
具体的には市区町村の「農業委員会」への届出が必要となります。
相続により取得した旨を農業委員会に届出
平成21年12月15日、農地法が改正されました。
改正前では、農業委員会への届出は不要という取扱いでした。
しかし、農地の有効活用を目的とし農地法が改正され、相続により農地を取得した場合も農業委員会への届出が必須になったということです。
2.山林の名義変更
山林についても、当然に相続登記は必要となります。
ただ、相続登記とは別に「市区町村への届出」も必要となるのです。
相続により取得した旨を市区町村に届出
森林の所有者の把握(適切な森林整備の促進)を目的として、平成24年4月に森林法が改正されました。
これに伴い、所有者の届出制度が創設されたのです。
相続により取得した人物は、不動産所在地の市区町村へ届出が必要となります。
相続登記は必要(農地・山林)
なお、農地、山林であっても相続登記は原則どおり必要となります。
市区町村への届出によって、相続登記を省略できるわけではありません。
・大半の不動産→相続登記のみでOK
・農地、山林→相続登記+市区町村への届出が必要
と覚えておいてください。
まとめ
ここまで「相続登記した場合でも市区町村への届出は必要か」について解説いたしました。
農地、山林のみ別途申請が必要と覚えていただき、今後の相続登記にお役立てください。
・相続登記をすれば名義変更は完了(原則)
・市区町村への届出は不要(原則)
・農地、山林は例外
・農地、山林は、市区町村への届出が別途必要となる