相続登記の必要書類に有効期限はあるの?
故人が不動産を所有していた場合、「故人→相続人」への名義変更(相続登記)が必要です。
遺産相続の準備の際に、自宅から「昔の相続書類・古い戸籍がでてきた」なんてことをよく聞きます。
はたして、古い昔の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書などは今回の相続登記に使用できるのでしょうか?
このページでは、必要書類(戸籍謄本・住民票)の有効期限について解説いたします。
原則:相続登記に必要書類の有効期限はありません
まずはじめに、結論から申し上げます。
相続登記に関しての必要書類(戸籍謄本・住民票・印鑑証明書など)に有効期限はありません。
そのため、古い戸籍謄本・住民票・印鑑証明書でも相続登記に使用することが可能です。(再度取得する必要なし!)
ただし、戸籍謄本・住民票などの必要書類の有効期限について例外が2つあります。
以下、例外となる書類について説明いたします。
相続登記書類の有効期限の例外1:相続人の戸籍謄本
相続人の戸籍謄本は、被相続人の死亡後に取得した戸籍謄本でなければ有効ではありません。
故人の死亡時点で「存命の方のみ」が相続人の身分を取得します。
被相続人の死亡後に取得した戸籍謄本が求められる理由は、
・被相続人の死亡時に相続人の身分を有しているということ(存命であること)
を確認するためです。
(被相続人が亡くなったときより前に取得した戸籍謄本であれば、相続発生時にその方が生存していることが確認できないため。)
※この条件を満たしていれば、古い戸籍謄本でも有効期限はありません。
相続登記書類の有効期限の例外2:固定資産評価証明書
相続登記の際には法務局に「登録免許税」という税金を納付します。
これは、不動産の評価額に応じて金額が変動するものです。(不動産評価額×0.004の金額)
不動産の価格が表示されている書面が「固定資産評価証明書」です。
ここの金額を基準に登録免許税を計算します。
そのため、相続登記の際には固定資産評価証明書が必要です。
なお、固定資産税評価証明書は、「最新の年度のもの」のみが有効となります。
古い年度の評価証明書は登記に使えません。
【例:平成29年度】
平成29年4月1日~平成30年3月31日の間に相続登記を申請する場合
→平成29年度分の評価証明書が必要となります。
平成29年度分の評価証明書は、平成29年4月1日以降に各役所で取得できるようになります。
相続登記以外では、必要書類に有効期限がある場合が多い
ここまでで、基本的には「相続登記に関する必要書類(戸籍謄本・住民票ほか)に有効期限はない」ということをご理解いただけたと思います。
実は、相続登記以外の相続手続きでは、相続書類に有効期限がある場合が多いです。
銀行預金や株式の遺産相続では
(各銀行・証券会社によって取扱いは異なりますが)「3~6か月期限内の印鑑証明書」の提出を求められる場合が多いです。
ちなみに、各機関に提出する戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などの書類は、手続き終了後に原本を返却してもらえます。
そのため、有効期限を過ぎないうちは戸籍・印鑑証明書等を1通取得して使い回すことも可能です。
まとめ
ここまで「相続登記の必要書類の有効期限」について解説しました。
ほとんどの書類は「特に有効期限は無い」ということを覚えていただき、今後の相続登記にお役立てください。
【相続登記の必要書類の有効期限:まとめ】
・相続登記の必要書類は基本的には有効期限なし(古くてもOK)
・相続人の戸籍謄本・評価証明書のみ例外的に制限あり
・相続登記以外では、必要書類に有効期限がある場合が多い