相続登記の必要書類(遺言書あり・住民票除票が廃棄済)
亡くなった方(被相続人)が不動産(土地・家・マンション)を所有していた場合には、相続登記が必要です。
相続登記の必要書類は法律により定められており、事前に必要書類の準備が必要です。
なお、このページでは、イレギュラーな場合の相続登記の必要書類・取得方法について解説いたします。
この先、
1.遺言書がある場合
2.住民票の除票(戸籍の附票)が廃棄されている場合
の2つのレアケースについて解説いたします。
遺言書があるとき:相続登記の必要書類が変わります
事例:遺言書がある場合の相続登記の必要書類
このケースでは、当然ですが相続登記に遺言書が必要書類となります。
なお、遺言書には主に
・公正証書遺言
・自筆証書遺言
の2種類があります。
故人の書いた遺言書がどちらの種類に該当するかによって、相続登記での取扱いが異なります。
公正証書遺言の取扱い
「公正証書遺言」(公証役場にて公証人に作成してもらう遺言書)のときは、検認は不要のため、発見した遺言書をそのまま相続登記に使用できます。
公正証書遺言は、そのまま使用できると覚えておいてください。
自筆証書遺言の取扱い
さて、問題は自筆証書遺言です。自筆証書遺言(自分で書かれた遺言書)があるときは、注意が必要です。
というのも、手書きの遺言書はそのままの状態では相続登記に使用することができません。
まずはじめに「家庭裁判所での検認手続き」が必要なのです。
検認とは、家庭裁判所にて遺言書の存在及び内容について確認する手続きです。
遺言書の検認は、家庭裁判所への申立てが必要となります。
戸籍謄本の量も通常とは異なります
なお、遺言書がある場合には、必要となる戸籍が通常の場合と若干異なります。(少なくなります。)
通常の相続登記のケースでは、
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍
・相続人全員の現在戸籍
が必要となります。
しかし、遺言書がある場合には
・亡くなった方の死亡の記載のある戸籍
→出生まで遡る必要なし
・遺言書により不動産を取得する相続人のみの現在戸籍
→ほかの相続人の戸籍は不要
が相続登記の必要書類となり、通常のケースよりも集めなければならない戸籍謄本が少なくなります。
【遺言書があるとき:通常の必要書類と変わるところ】
・遺言書が必要になる(自筆証書遺言の時は、事前に検認が必要)
・必要な戸籍謄本が通常の相続登記と異なる
相続登記の必要書類:住民票除票・戸籍の附票がでないとき
次に「住民票除票が廃棄されているケース」について紹介いたします。
不動産登記簿には、不動産名義人の住所と氏名が記録されています。
住民票の除票・戸籍の附票が必要書類とされているのは、
・故人
・不動産登記簿上の名義人
の両名が同一人物であることの証明をするためです。
そのため、相続登記には「住民票の除票又は戸籍の附票」=故人の住所を証明する書類が必須となります。
(死亡時の住所と不動産登記簿上の住所が異なる場合には、つながりが分かるように古い住所が記載された住民票又は戸籍の附票を集めなければなりません。)
死後5年以上経過していると、書類が廃棄されていることも
ただ、住民票の除票・戸籍の附票は、役所の保存期間が死後5年間となってきます。
都内の役所では、死亡後5年以上経過している場合は保存期間満了により破棄されていることが多いです。
地方の役所では、5年以上経過している場合でも残っている場合があります。
そのときは、特殊な書類を準備する!
住民票の除票・戸籍の附票が取得できない場合には、それに代わる特殊な書類が必要になります。
具体的には、
・不在籍・不在住証明書
・不動産権利証(登記識別情報通知)
・上申書
が必要となるケースが多いです。
(※各法務局により取扱いが異なるので、事前に電話で確認することをお勧めします。)
【不在籍不在住証明書】
不在籍不在住証明書とは、○○区○丁目○番○号に本籍、住所がありませんという証明書のことです。
不動産登記簿上の住所に
・亡くなった方は本籍もありません(不在籍)
・住所もありません(不在住)
という証明書となります。
なお、この場合には不動産の権利証が必要となることが多く、場合によっては「亡くなった方と登記簿上の名義人は同一人物である」という旨の上申書が相続登記に必要となることがございます。
なお、不在籍・不在住証明書は「不動産登記簿上の住所地である役所」に書類の請求をすれば取得可能です。
まとめ
ここまで「珍しいレアケースの相続登記の必要書類」について解説いたしました。
このページの内容を覚えていただき、今後の相続登記にお役立て頂ければ幸いです。
【遺言書があるとき】
・遺言書が必要
・自筆証書遺言の場合は検認手続きを
・戸籍の種類・量が通常より少なくて済む
【住民票除票・戸籍の附票が廃棄されているとき】
・不在籍不在住証明書などの特殊な書類が必要になる
・法務局により取扱いが少々異なるので、管轄法務局に事前に照会すべし