相続登記の登記原因証明情報とは?
故人名義の不動産がある場合には「相続登記」が必要です。
相続登記を行う際は「登記原因証明情報」という書面を法務局に提出します。
では、登記原因証明情報とは具体的にどのような書類を指すのでしょうか?
このページでは「相続登記の登記原因証明情報」について解説いたします。
登記証明情報とは?
まずはじめに「登記原因証明情報」について簡単に説明いたします。
登記原因証明情報とは「登記申請の原因となる事実を証明する書類」のことを指します。
このような説明をされても、大半の方は何の事なのか分からないと思います。
以下、具体例をいくつか紹介いたします。
・生前贈与による所有権移転
→贈与契約書等
・住宅ローン完済による抵当権抹消
→金融機関発行の解除証書(弁済証書)など
・所有者の住所変更登記
→本人の住民票・戸籍の附票など
各登記によって登記原因証明情報は決まっている!
上記でいくつか「登記原因証明情報の一例」を説明いたしました。
上記具体例を覚える必要はありませんが、「申請する登記種別によって登記原因証明情報の内容が決まっている」ということは覚えておいてください。
では、相続登記における登記原因証明情報には何が該当するのでしょうか?
以下、詳細について解説いたします。
相続登記における登記原因証明情報
さて、このページの本題です。
以下、相続登記における登記原因証明情報について解説いたします。
なお、相続登記と言っても「様々な種類の相続登記」が存在します。
具体的には、
1.遺産分割協議をした場合の相続登記
2.法定相続による相続登記
3.遺言書がある場合の相続登記
4.相続放棄者がいる場合の相続登記
など、相続登記と一言でいっても様々です。
まず、一般的な(よく利用される)相続登記における登記原因証明情報について説明いたします。
1.遺産分割協議をした場合の相続登記
相続発生後は当事者全員で遺産分割協議(話し合い)をして、相続登記を進めるのが一般的な方法です。
【基本事例】
・故人A
・相続人:長男B・次男C
・遺産分割の結果、不動産を長男Bが承継すると決定
という事例を想定してください。
この場合の登記原因証明情報は、
・故人Aの出生~死亡までの戸籍謄本==相続関係説明図
・相続人B・Cの戸籍謄本(または戸籍抄本)==相続関係説明図
・B・Cの署名捺印のある遺産分割協議書
・B・Cの印鑑証明書
が登記原因証明情報に該当します。
2.法定相続による相続登記
遺産分割の方法の他に「法定相続による相続登記」という方法もよく利用されます。
【基本事例】
・故人:A
・相続人:長男B・次男C
・B・Cで2分の1ずつ不動産を承継する
(法定相続による相続登記)
上記のような事例を想定してください。
この場合の登記原因証明情報は、
・故人Aの出生~死亡までの戸籍謄本==相続関係説明図
・相続人B・Cの戸籍謄本(または戸籍抄本)==相続関係説明図
となります。
上記事例(遺産分割協議をした場合)と比較すると、少し書類の量が減っています。
遺産分割協議書を作成しないため、「遺産分割協議書・印鑑証明書」が不要となっています。
3.遺言書がある場合の相続登記
また、相続登記をするにあたり「故人の遺言書」があるケースもあります。
【基本事例】
・故人:A
・相続人:長男B・次男C
・「全財産を長男Bに相続させる」という遺言書がある
というケースを想定してください。
この場合の登記原因証明情報は、
・遺言書の原本
・故人Aの死亡記載のある除籍謄本(戸籍謄本)
・長男Aの戸籍謄本(または戸籍抄本)
(次男Cの戸籍は不要)
となります。
4.相続放棄者がいる場合の相続登記
最後に「相続放棄者がいるケース」について解説いたします。
【基本事例】
・故人:A
・相続人:長男B・次男C
・次男Cが家庭裁判所に相続放棄をした
というケースを想定してください。
この場合の登記原因証明情報は、
・故人Aの出生~死亡までの戸籍謄本==相続関係説明図
・相続人B・Cの戸籍謄本(または戸籍抄本)==相続関係説明図
・次男Cの相続放棄申述受理証明書
となります。
まとめ
ここまで相続登記における登記原因証明情報について解説しました。
事例に応じて登記原因証明情報も変化することを覚えていただき、今後の相続登記にお役立てください。
(上記事例で説明した4つは、代表的な一例です。)
・登記申請には「登記原因証明情報」の提出が必要
・登記の種類に応じて登記原因証明情報は異なる
・相続登記の範囲内でも事例に応じて少しずつ書類内容が異なる