法定相続人に該当する人物とは?(数次相続)

遺産相続の場面で相続権を持つ人物のことを「法定相続人」といいます。
法定相続人は、法律の規定により定められています。

遺産相続の場面では、複数の死亡者が絡む複雑な事例があります。
数次相続の場合は、誰が法定相続人に該当するのでしょうか?

このページでは「数次相続の場合の法定相続人」について解説いたします。

数次相続とは?

まずはじめに、数次相続について解説いたします。
数次相続とは、

・故人の死亡(1次相続)
・相続手続き未了の間に相続人が死亡(2次相続)

というケースです。

数次相続は上記のとおり、複数の遺産相続が絡みます。
場合によっては「2次相続・3次相続」と多くの遺産相続を一緒に処理する場合もあり、通常の相続手続きより複雑です。

数次相続の場面では「誰が法定相続人に該当するのか」の判断が難しいところです。

ポイント:ひとつひとつの遺産相続について順番に考える

数次相続では、法定相続人の判断が難しくなります。
この場合、複数の相続を一緒に考えてしまうとより問題が難しく感じられます。

そのため、ひとつずつの遺産相続を分けて考えることがおススメです。
その方が法定相続人判断が簡単であると思います。

(私自身はそのようにしています。)

数次相続=法定相続人が広がる

数次相続の場面では、法定相続人が広範囲に広がることも珍しくありません。

・一次相続により相続権を取得
・その人物の死亡により相続権が分散する

ということが起こるためです。

ここからは、具体例をもとに「数次相続の法定相続人該当者」について解説いたします。

具体例:数次相続での法定相続人

まずはシンプルな数次相続の事例をもとに解説いたします。

【基本事例:一次相続】
・故人A(2016年死亡)
・相続人は長男B、次男C

【基本事例:二次相続】
・相続手続き未了の間に長男Bが死亡(2018年)
・長男Bの相続人は、妻D、娘E

という事例を想定してください。

この場合は誰が相続人となるのでしょうか?

先ほど説明したとおり、2つの相続を別々にひとつずつ分けて考えてみましょう。

第1の相続

第1の相続では、故人に「長男B・二男C」が存在します。
そのため、この2名が法定相続人に該当します。

ここまでは、何も難しいことはありません。

第2の相続

次に第2の相続について考えてみましょう。

第1の相続により、

・長男B
・次男C

が相続権を取得しています。

しかし、相続手続き未了の間に「長男B」が亡くなってしまいました。
この場合、「第1の相続で取得した長男Bの相続権」が遺産相続の対象となります。

長男Bには「妻D・娘E」がいます。
したがって、長男Bの権利が2人に承継されるのです。

このように数次相続は複数の相続を別々に考えれば理解が早いです。

結果として、

・次男C
・妻D(長男Bの妻:承継者)
・娘E(長男Bの娘:承継者)

の3名が今回の法定相続人となるのです。

具体例:数次相続の法定相続人(少し複雑に)

もう一つ具体例をもとに説明いたします。
今度は先ほどより少し事例を複雑にしてみましょう。

【事例:一次相続】
・故人A(2015年死亡)
・相続人=長男B、次男C

【事例:二次相続】
・相続手続き未了の間に長男Bが死亡(2017年)
・長男Bの相続人=妻Dのみ

【事例:三次相続】
・相続手続き未了の間に妻Dも死亡(2018年)
・夫婦間に子供はいない
・妻Dの両親も既に他界
・姉のEが存命

このような事例を想定してください。

この場合、結果的に誰が法定相続人となるでしょうか?
答えは「次男C・姉E(長男Bの妻Dの姉)」となります。

以下、それぞれについて詳しく説明いたします。

第1の相続

第1の相続では、故人に「長男B・次男C」が存在します。
そのため、この2名が法定相続人に該当します。

【この時点での法定相続人】
・長男B
・次男C

第2の相続

第1の相続により「長男B・次男C」が相続権を取得しています。

しかし、相続手続き未了の間に「長男B」が亡くなってしまいました。
これにより「第1の相続で取得した長男Bの相続権」が遺産相続の対象となります。

長男Bには「妻D」がいます。
したがって、長男Bの権利が妻Dに承継されるのです。

【この時点での法定相続人】
・次男C
・D(亡長男Bの配偶者の立場)

第3の相続

第2の相続により「次男C・長男の妻であるD」が相続人となりました。
しかし、ここで「妻D」も亡くなってしまいます。

これにより「妻Dの相続権(長男Bから引き継いだ分)」が再度承継対象となります。

「長男B・妻D」の間には子供はいません。
また、Dの両親も既に他界しています。

そのため、相続権は第3順位の兄弟姉妹に回ってくるのです。

Dには姉Eが存在します。
したがって、姉Eが相続権を取得するのです。

【この時点での法定相続人】
・次男C
・姉E(長男B→妻D→姉Eへと相続権が承継されている)

相続手続きは早めに済ませることを推奨

このように数次相続の事例では、相続人が広範囲に分散します。

ずっと放置しておくと相続人が増えてしまい収集がつかなくなることもあります。
(相続人が30人という事例を見たことがあります。)

なるべく早く手続きを済ませることを推奨しています。

まとめ

ここまで「数次相続における法定相続人該当者」について解説いたしました。
考え方の要点を掴んでいただき、今後の遺産相続にお役立てください。

・数次相続の場面では法定相続人の判断が難しい
・ひとつひとつ分けて考えると分かりやすい


・相続手続きフルサポートの内容&費用(日本みらいと司法書士事務所)

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