株式を相続する場合は証券口座の開設が必要?
相続発生により故人に属する一切の財産債務が相続人に承継されます。
故人が生前に取引していた「株式」についても当然遺産相続の対象となります。
株式は、
・証券会社の証券口座
・信託銀行の特別口座
にて管理されていることが多いです。
証券口座を持っていない相続人の方も多い
ただ、財産を引き継ぐ相続人側の人には「証券口座を持っていない」という方も多くいらっっしゃいます。
株式相続のためには証券口座の開設が必要なのでしょうか?
このページでは「株式を相続する場合は証券口座が必要か」について解説いたします。
証券会社での株式相続手続きの方法
まず、株式・投資信託などの相続する場合の手続き概要について簡単に説明いたします。
大きく分けて
・故人名義の口座の凍結&解約
・相続人名義の口座への移管手続き
となります。
以下、それぞれについて詳しく解説いたします。
故人名義の口座の凍結・解約
口座名義人に相続が発生した場合、速やかに証券会社にその事実を届け出ることが必要です。
(これは、株式に限らず預貯金についても同じことが言えます。預貯金についても相続発生の旨を金融機関に届出しましょう。)
故人の口座は相続に伴い解約となります。
相続手続き(解約)のための準備をここから進めましょう。
書類準備
証券会社へ相続手続きの申請をする際は
・故人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
といった書類が必要になります。
そのため、手続き申請の前段階としてこれらの書類を揃えましょう。
なお、証券会社に口座名義人死亡の旨の届出をすると「手続き案内書類(必要書類一覧表のようなもの)」を郵送で送ってもらえます。
その内容を参照しながら、必要な書類を集めます。
株式を相続する人物の決定
また、書類準備と併せて
・誰が
・どの株式、投資信託を
・どの割合で
相続するのかを決定する必要があります。
こちらについては、当事者間の話し合いで決めていくことが一般的です。(遺言書ある場合を除く)
さて、ここまで準備が整ったらいよいよ証券会社に手続申請を行う段階です。
相続する人物は証券口座の開設が必要です!
さて、このページの本題です。
結論から申し上げますと、株式を相続する方については証券口座の開設が必要となります。
なお、口座開設が必要となるのは「株式・投資信託を承継する方のみ」となります。
それ以外の方については一切不要です。
・株式を相続する人→証券口座の開設が必要
・株式を相続しない人→証券口座の開設は不要
と覚えておいてください。
株式を入れる箱=証券口座が必要となる
そもそも、株式は口座の中で管理されているものです。
・故人保有の株式=証券会社(信託銀行)の口座にあるもの
遺産相続の場合は、株式を移管(移動)させる手続きとなります。
したがって、引き継ぐ側に受け皿(株式を入れる「箱」としての口座)が必要となるのです。
同じ会社の証券口座が必要
なお、証券口座開設時は「口座開設する証券会社」に注意が必要です。
基本的には「故人の取引していた会社と同じ会社」での口座開設が必要となります。
・故人が野村證券にて取引していた。
↓
・相続人は野村證券の証券口座が必要となる。
・故人が大和証券にて取引していた。
↓
・相続人は大和証券の証券口座が必要となる。
ということです。
現在は、ほとんどの証券会社さんは「自社の口座へのみ移管可能(相続人が口座を持っていない場合は新規開設が必要)」という取扱いになっています。
信託銀行の特別口座にて故人が運用していた場合
なお、故人が証券会社ではなく「信託銀行の特別口座」にて株式を保有していることもあります。(三井住友信託銀行や三菱UFJ信託銀行など)
先ほどは「故人の取引していた証券会社で口座開設してください」と説明いたしました。
(これと矛盾する話なのですが)故人が信託銀行の特別口座で株式を保有していた場合は、どの証券会社で口座開設をしていただいてもOKです。
整理すると
・故人が証券会社で運用→相続人は同じ証券会社の口座開設
(故人が野村證券→相続人も野村證券となる)
・故人が信託銀行の口座で運用→証券口座開設はどの会社でもOK
(故人が三井住友信託銀行→マネックス証券やSBI証券でも大丈夫!)
となります。
口座開設は相続人本人のみ可能(専門家に外注不可)
なお、遺産相続の各種手続きを専門職(士業)にお願いすることも可能です。
依頼をした場合には、基本的にはほぼ全ての作業を司法書士が代理で行います。(遺産整理業務)
ただし、「証券口座の開設」については「ご本人様のみ可能な手続き」となっております。(本人確認など厳しいため)
その点だけ、あらかじめご理解ください。
まとめ
ここまで「株式の相続では証券口座の開設がいるか」について解説いたしました。
口座開設が必要ということを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・株式・投資信託等を相続する際は証券口座が必要
・株式を相続する人→口座開設が必要
・株式を相続しない人→口座開設は不要