戸籍「謄本・抄本」の違いとは?
相続手続きを進めるには事前に書類準備が必須です。
「戸籍」は、どの相続手続きでも必要となる書類です。
戸籍には「謄本・抄本」とありますが、両者はどういった違いがあるのでしょうか?
このページでは「戸籍謄本・抄本の違い」について解説いたします。
そもそも戸籍に載っている人物とは?
まず、前提として戸籍制度について解説いたします。
【基本事例】
・父A
・母B
・長男C(未婚)
・長女D(未婚)
という事例を想定してください。
この家族事例では、戸籍に載っているメンバーは家族全員です。
・父A
・母B
・長男C
・長女D
の4名が同一戸籍内に記載されています。
婚姻などによって人物の出入りがある
上記事例で、仮に「長女D」が婚姻した場合を想定してください。
この場合、婚姻により長女Dは除籍となります。
夫との婚姻により自分たち家族の新戸籍を作るので、これまで籍があった親の戸籍を抜けるのです。
戸籍謄本とは?
さて、ここから「戸籍謄本」について解説いたします。
戸籍謄本とは、簡単に言えば「戸籍の記載事項全て(全員分)を載せた書類」のことです。
少し分かりづらい表現だと思いますので、以下具体例をもとに説明いたします。
家族全員分を載せた書類=戸籍謄本
【基本事例】
・父A
・母B
・長男C(未婚)
・長女D(未婚)
先ほど挙げた具体例を想定してください。
この場合、戸籍(家族)の構成メンバーは上記4名です。
(家族全員ということ)
したがって、戸籍謄本とは「家族4人全員分の記載事項を載せた戸籍」となります。
「戸籍に関して記載事項の全部を載せた書類=戸籍謄本」と覚えていただければOKです。
戸籍抄本とは??
次に「戸籍抄本」について解説いたします。
(これまでの戸籍謄本の説明でよく理解できなかった方でも「謄本・抄本」を比較することで、より分かりやすくなると思います。)
戸籍抄本とは、「家族のうち特定人物のみを証明した戸籍」のことを指します。
少し分かりづらいと思いますので、以下具体例をもとに説明いたします。
特定人物のみの証明=戸籍抄本
【基本事例】
・父A
・母B
・長男C(未婚)
・長女D(未婚)
先ほどの具体例をもとに説明いたします。
この場合、
・家族全員分の記載ある書類=戸籍謄本
・特定人物のみ(長男Cのみ)の書類=戸籍抄本
となります。
一部人物のみ限定して証明書請求ができる
上記事例において、戸籍を構成するメンバーは4人です。
ただ、証明書取得の際に「一部人物に関する部分のみ」の取得をすることができます。
「一部の人物に関する戸籍=戸籍抄本」と覚えていただければOKです。
謄本・抄本の違い:まとめ
少し分かりづらい点も多かったと思いますので、ここで一旦まとめます。
・戸籍謄本=全員分の戸籍
・戸籍抄本=一部人物のみの戸籍
と覚えておいてください。
相続手続きには「謄本・抄本」のどちらが必要??
さて、では実際の相続手続きの際は「謄本・抄本」のどちらが必要となるのでしょうか?
これは事例に応じて変化しますが、
・被相続人(故人)
→絶対に戸籍謄本が必要
・相続人(存命の方)
→戸籍抄本でもOK
となります。
被相続人(故人)は絶対に戸籍謄本!
今回の遺産相続の被相続人(故人)については、絶対に戸籍謄本が必要になります。
戸籍抄本では足りません。
そもそも、戸籍取得の理由は「相続人の確定」です。
故人の家族関係(子の有無・親の有無・兄弟姉妹の有無)を戸籍を使って証明していきます。
戸籍抄本は「一部人物のみ」記載した書類です。
全員分が記載されていないため、正確に家族関係を把握・証明することができないからです。
相続人は戸籍抄本でもOK!
反対に相続人(存命の法定相続人)については、戸籍抄本でも足りることが多いです。
相続人の戸籍を取得する理由は「存命であることの確認」です。
したがって、本人のみ記載された戸籍抄本でも十分足りることになります。
まとめ
ここまで「戸籍謄本と抄本の違い」について解説いたしました。
本ページを参考に、今後の遺産相続にお役立てください。
・戸籍謄本=全員を載せた戸籍
・戸籍抄本=一部人物のみ載せた戸籍
・被相続人(故人)は絶対に戸籍謄本が必要
・相続人(存命)は戸籍抄本でも足りる