相続登記+売買(贈与)登記に必要な印鑑証明書は通数は?
遺産相続において「相続登記+売買(贈与)の登記」を一緒に行うケースがあります。
この場合、当事者の印鑑証明書は何通必要となるのでしょうか?
1通準備してもらえば足りるのでしょうか?
このページでは「相続登記+売買(贈与)登記時の印鑑証明書の通数」について解説いたします。
相続登記+売買(贈与)をセットで行う事例もある
遺産相続の事情は各事例に応じて様々です。
・相続した不動産を利用する予定がない(空家)
・売買、贈与することが決まっている
というケースがあります。
このような場合には、
1.相続登記
(故人→相続人への名義変更)
↓↓
2.売買(贈与)の登記
を一緒に申請することになります。
登記申請には当事者の印鑑証明書が必要となる
上記にて説明した「相続登記・売買(贈与)登記」には、ぞれぞれ当事者の印鑑証明書が必要となります。
以下、登記申請時に用意すべき印鑑証明書の詳細について説明いたします。
相続登記に添付する印鑑証明書
相続登記の際には、遺産分割協議書を作成することが一般的です。
この書類には、相続人全員の実印による押印が必要です。
押印が実印であることの証明書として「印鑑証明書」が要求されます。
売買(贈与)登記に添付する印鑑証明書
また、売買(贈与)登記の際も印鑑証明書が必要となります。
・売買契約の売主
・贈与契約の受贈者(渡す方の人)
については、登記申請書に印鑑証明書の添付が求められています。
用意すべき印鑑証明書は1通?2通?
それでは「相続登記+売買登記」を連件で申請する場合、印鑑証明書は合計で何通必要となるのでしょうか?
1通で両申請に使用可能なのでしょうか?
それとも、各1通(合計2通)必要なのでしょうか?
印鑑証明書は2通用意する必要あり!
さて、このページの本題です。
結論から申し上げますと「相続登記+売買(贈与)登記」を行う場合、印鑑証明書は2通必要です。
1通で両方の申請に対応できない
上記説明のとおり、印鑑証明書は2通必要となります。
「1通で2つの申請に対応できない」ということを覚えておいてください。
両申請では印鑑証明書の添付根拠が異なる!
「相続登記・売買(贈与)登記」では、両方の申請に当事者の印鑑証明書が必須です。
なぜ、1通で両申請をカバーできないかというと、そもそも印鑑証明書の添付根拠が異なるためです。
・相続登記における印鑑証明書
→法定相続人として遺産分割協議書に添付する
→発行後3ヶ月以内という期限なし
・売買(贈与)登記における印鑑証明書
→所有権登記名義人(売主・受贈者)として添付する
→発行後3ヶ月以内という有効期限あり
裏ワザ:印鑑証明書を1通で済ませる方法!
ここまで「相続登記+売買登記では印鑑証明書は2通必要」と説明をいたしました。
上記説明と矛盾するようですが、印鑑証明書を1通で済ませるような方法も実は存在しています。
「印鑑証明書を1通しか準備していない」という場合には、下記で説明する方法を参考にしてみてください。
2つの登記申請を2件に分ける方法
「相続+売買(贈与)」の登記申請を連件で申請する場合には、原則どおり印鑑証明書が2通必要となります。
反対に2つの申請を連件で出さない場合には、印鑑証明書が1通でも対応できるということです。
相続登記の際に印鑑証明書を原本還付する
相続登記に添付する印鑑証明書は原本還付をすることが可能です。
(原本還付=登記完了後に原本を返却してもらう手続き)
そのため、
1.相続登記(印鑑証明書を原本還付)
↓↓
2.売買(贈与)登記
(原本還付した印鑑証明書を添付する)
といった方法をとることで、印鑑証明書が1通で足りることになるのです。
通常であれば「相続登記登記+売買(贈与)登記」は連件で申請することが多いです。
ただ、印鑑証明書を1通しか準備できない等の事情がある場合には、上記方法も検討してみてください。
まとめ
ここまで「相続登記+売買(贈与)登記に必要な印鑑証明書の通数」について解説いたしました。
原則2通必要である旨を覚えていただき、今後の相続手続きにお役立てください。
・相続登記+売買(贈与)登記には印鑑証明書が必要
・原則、印鑑証明書は2通必要(連件申請)
・例外として、印鑑証明書1通でも対応可能(別件申請)