相続登記の必要書類(住居表示実施証明書)
相続登記とは「故人所有の不動産」について相続人に名義変更をする手続きのことです。
相続登記手続きでは事例に応じた必要書類が定められており、事前に準備が必要です。
「住居表示実施証明書」という書類があります。
皆さんにとって、ほとんど馴染みのない書類であると思います。
このページでは、「相続登記の必要書類である住居表示実施証明書」について解説いたします。
ほとんどの相続登記では住居表示実施証明書は必要ありません!
相続登記の際の必要書類はあらかじめ決まってきます。
一般的な相続登記の事例では今回説明する「住居表示実施証明書」は必要ありません!
割合でいうと9割以上の相続登記で使いませんので、住居表示実施証明書が必要となるのは本当に特殊な相続登記案件のみとなります。
まず「基本的には住居表示実施証明書はいらない」ということを理解していただいた上で、この先の解説をお読みいただければと思います。
不動産登記簿上の住所=現住所とは限らない!
相続登記は不動産登記簿について名義変更をする手続きです。
不動産登記簿の所有者を「故人→相続人」に名義変更します。
【不動産登記簿には「所有者の住所・氏名」が記載されている】
不動産登記簿には所有者の住所が記載されています。
しかし、不動産登記簿の記載が現在の住所と完全に一致しているとも限らないのです。
【住所変更登記をしない限り、昔の住所のまま登記簿に記載される】
住所が変わったとしても法務局に「住所変更登記」を申請しない限り「登記簿上の住所は昔のまま」になります。
住所変更登記の申請は「本人の意思」に委ねられていますので、登記申請しないままという方も珍しくありません。
そのため、
・故人の住所
・登記簿上の住所
この2つが違うという場合もあるのです。
住居表示の実施によって住所が変わることがある
同じ場所であっても、現在と昔では住所の表記が違うことがあります。
それは「住居表示の実施」によるものです。
住居表示実施前の住所は「○○市○○町○○○番地○○○」というような表記になっていました。
土地の地番を使っているため、住所がとても分かりづらかったのです。
そのような不便を解消するため(住所が分かりやすくしたり、郵便物を配達しやすくすること等を目的に)住居表示が実施されています。
住居表示の実施により、同じ場所に住み続けていても住所の表記が変わるのです。
○○市○○町○○番地○○(住居表示実施前の旧住所)
○○市○○町○丁目○番○号(住居表示実施後の新住所)
登記簿の住所が住居表示実施前の記載のままのとき
相続登記に住居表示実施証明書が必要になる
相続登記に住居表示実施証明書が必要になるのは、登記簿上の住所が「住居表示実施前の記載」である場合のみです。
なぜ住居表示実施証明書が必要なのか?その理由も併せて解説します。
住居表示実施証明書が必要になる経緯
まず、前提知識として相続登記には「故人の住民票除票(又は戸籍の附票)」が必要になります。
これは、住所・本籍を確認して「故人・登記簿上の所有者」が同一人物であることを確認する目的があります。
ただ、住居表示が実施されている場合はどうなるでしょうか。
登記の住所:○○市○○町○○番地○○(住居表示実施前の旧住所)
故人の住所:○○市○○町○丁目○番○号(住居表示実施後の新住所)
これだけの情報ですと「登記名義人」と「故人」の住所のつながりが分からないので相続登記は出来ません。(別住所ということになる。)
この場合に
「住居表示実施により記載が違うだけです。場所としては同じですよ!」
ということを証明する書類が必要になるのです。
それが「住居表示実施証明書」の役割です。
住居表示実施証明書は無料で発行してくれる
住居表示実施証明書の取得については手数料はかかりません。「無料」で発行してくれます。
まとめ
ここまで「相続登記に住居表示実施証明書が必要になる場合」について解説してきました。
まずは登記簿謄本をチェックして「住所が住居表示実施前のまま」の場合は市区町村に住居表示実施証明書の請求をしてください。最後にまとめます。
・「登記簿上の住所表記=現住所」とは限らない
・住居表示実施により同じ場所でも住所が変わる
・登記簿上の住所が「住居表示実施前のまま」→相続登記に住居表示実施証明書が必要となる