登記原因証明情報の書式・ひな形(生前売買による所有権移転)
不動産登記は管轄の「法務局」に対して申請を行います。
登記申請の際には、申請書と一緒に提出すべき「添付書類」があります。(登記の種類ごとに定められている。)
添付書類の中に「登記原因証明情報」という書類があります。
登記の原因となる事実を証明する書類として法務局に提出が必要です。
生前売買による不動産の所有権移転とは?
故人が生前に不動産の売買契約をしていたものの、登記名義を移転しないまま亡くなるという事例が稀にあります。
この場合には、故人の相続人が売買契約の地位を引き継ぎ、登記申請を行います。
登記申請の際には登記原因証明情報の作成が必要!
「売買」を原因とする所有権移転登記の場合には、登記原因証明情報に売買契約書を使うことはごく稀です。(所有権移転時期特約があるため)
そのため、「生前売買による所有権移転」を内容とする登記原因証明情報の作成が必要になります。
なお、生前売買のケースの登記原因証明情報は、通常の売買登記に使うものとは記載内容が異なります。
具体的には「契約当事者が死亡した旨」の情報を記載を要します。
以下、登記原因証明情報(生前売買)の書式・雛形を紹介します
登記原因証明情報(生前売買による所有権移転)の書式・ひな形を紹介
基本事例:売主Aさん死亡。相続人はBさんとCさん。
登記原因証明情報
1 登記すべき事項
登記の目的 所有権移転
原因 平成○○年8月20日売買
権利者 東京都豊島区目白○丁目○番○号 X(甲)
義務者 東京都北区王子○丁目○番○号 亡A(乙)
亡A相続人
埼玉県川口市~~
B(乙1)
東京都板橋区~~
C(乙2)
不動産の表示 後記のとおり
2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)売買契約
甲及び乙は、平成○○年8月10日、本件不動産につき売買契約を締結した。
(2)所有権移転時期の特約
(1)の売買契約には、本件不動産の所有権は売買代金の支払が完了した時に甲に移転する旨の所有権移転時期に関する特約が付されている。
(3)代金の支払
甲は、乙に対し、平成○○年8月20日、売買代金全額を支払い、乙は、これを受領した。
(4)所有権の移転
よって、本件不動産の所有権は、同日、乙から甲に移転した。
(5)登記の申請人
乙は、平成○○年9月1日死亡した。乙の相続人である乙1及び乙2が義務者として登記申請する。
上記の事実を証するため本書を作成し、乙1及び乙2が記名押印する。
平成○○年9月1日
義務者 東京都北区王子○丁目○番○号 亡A(乙)
亡A相続人
埼玉県川口市~~
B(乙1)(押印)
東京都板橋区~~
C(乙2)(押印)
不動産の表示
所在 北区○丁目
地番 ○番
地目 宅地
地積 ○.○○㎡
以上が生前売買における登記原因証明情報の書式・ひな形です。
以下、書類作成のポイントを解説いたします。
生前売買(登記原因証明情報)の作成方法
1.申請人の書き方
2.登記の原因となる事実又は法律行為→「相続発生の旨を記述」
3.署名捺印をもらう人
は、書類作成にあたって気を付ける点(通常の売買とは違う点)です。
普段使用している登記原因証明情報(売買)があれば、それを若干修正すれば書類完成です。
なお、上記で説明したケースでは「本人(故人)」ではなく「相続人」が登記申請者となりますので、
・故人の出生~死亡までの戸籍謄本
・相続人の現在戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書
が所有権移転登記の添付書類となります。
まとめ
ここまで「生前売買の登記原因証明情報の書式・ひな形」を紹介してきました。
今後の書類作成の際の参考書式ページとしてお役立てください。