所有権移転登記申請書(遺贈)の書式、書き方
遺言により遺産を与える(贈与する)ことを遺贈といいます。
被相続人が、不動産を贈与(遺贈)するという遺言書を残していた場合は、相続登記ではなく遺贈を原因とする所有権移転登記申請書を作成する必要があります。
相続登記と遺贈登記は似ていますが全く別物です
遺贈と相続はとても似ているため、「同じ部分・異なる部分」の違いに注意が必要です。
特に登記申請に関しては、登記申請書の書き方・必要書類など相違点が数多くあります。
遺言執行者の有無によって更に申請書書式・必要書類が分かれる!
遺贈登記を申請する場合でも「遺言執行者がいる(いない)」によって登記申請書の作成方法が大きく異なります。
このページでは各事例ごとに所有権移転登記申請書(遺贈)の書式・雛形・書き方を紹介いたします。
所有権移転(遺贈)の登記申請書の書式・書き方を紹介します
遺贈の登記申請書は遺言執行者の有無によって申請書式が異なります。
【遺贈の登記申請書:遺言執行者がいる場合】
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原因 平成○○年○月○日 遺贈
権利者 東京都板橋区板橋○丁目○番○号
板橋 浩二(印)
義務者 東京都豊島区池袋○丁目○番○号
亡 豊島 典子(印)(※印は遺言執行者の押印)
連絡先の電話番号 03-XXXX-XXXX
添付書類 登記原因証明情報
登記識別情報(登記済証)、
印鑑証明書(※遺言執行者の印鑑証明書)
住所証明情報
平成○○年○月○日申請 東京法務局豊島出張所
課税価格 金1,000万円
登録免許税 金20万円
不動産の表示
(省略)
【遺贈の登記申請書:遺言執行者がいない場合】
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原因 平成○○年○月○日 遺贈
権利者 東京都板橋区板橋○丁目○番○号
板橋 浩二(印)
義務者 東京都豊島区池袋○丁目○番○号
亡 豊島典子相続人 豊島 由紀子(印)
東京都練馬区練馬○丁目○番○号
亡 豊島典子相続人 練馬 さとみ(印)
連絡先の電話番号 03-XXXX-XXXX
添付書類 登記原因証明情報
登記識別情報(登記済証)、
印鑑証明書
住所証明情報
相続証明情報
~以下、遺言執行者がいる場合の登記申請書と同じ~
以上が、所有権移転登記申請書(遺贈)の基本的な書式・ひな形です。
以下、書類作成にあたってのポイントを解説いたします。
登記申請書(遺贈)の作成方法
所有権移転登記(遺贈):遺言執行者の有無による申請方法の違い
遺贈の登記申請書は「遺言執行者がいる・いない」によって申請人、申請書の書き方、必要書類が変わってきます。
遺言執行者あり=義務者のところは遺言執行者の名前、提出する印鑑証明書は遺言執行者のもの
遺言執行者なし=義務者のところは故人の相続人全員の名前、提出する印鑑証明書は相続人全員のもの
となります。
包括遺贈・特定遺贈のどちらの場合も、登記原因は「遺贈」となる
遺贈には「包括遺贈・特定遺贈」に2種類があります。
包括遺贈とは「全財産をAに遺贈する。(2分の1を遺贈する。)」といったように財産全部(又は包括的割合)で遺贈する形式です。
また、特定遺贈とは「甲不動産をAに遺贈する。」といったように財産を特定して遺贈する形式です。
どちらのタイプの遺贈であっても、登記申請書に記載する登記原因は「○年○月○日遺贈」となります。
「包括、特定」といった記載は不要ですのでその旨をご注意ください。
まとめ
ここまで「所有権移転登記(遺贈)の書式・ひな形」を解説いたしました。申請書作成の際に参考書式ページとしてお役立てください。
なお、法務局へ申請書(遺贈)を持ち込む際は、上記の内容が記載された申請書とは別に、白紙を1枚ご用意ください。
白紙には、登録免許税に相当する額の収入印紙を貼ってください。
・遺贈登記のときは、通常の相続登記を申請方法が異なる
・遺言執行者の有無により、申請人・書類が異なるので要注意