遺言書の安全な保管方法とは?
遺言書は、自分の想いを家族に伝える大変重要な書類です。
ただ、遺言書は作成して終わりではありません。
遺言書を作成した後は「保管」の問題があります。
遺言書を作成した後、どのように保管すればよいのでしょうか?
このページでは「遺言書の安全な保管方法」について解説いたします。
遺言書の保管(公正証書・自筆証書)
遺言書は主に、
・公正証書遺言(公証役場で作成するもの)
・自筆証書遺言(手書きのもの)
の2種類があります。
遺言書の保管では、
・自分の死後に遺言書が確実に発見されること
・遺言書の偽造変造を防ぐこと
について注意を払う必要があります。
なお、両者は保管の安全面で大きな差があります。
公正証書遺言は保管面で安全!
公正証書遺言は保管面では安全確実です。
公正証書遺言は「公証役場」にて作成されます。
作成後、当事者には「遺言書の謄本」が渡されます。
原本は公証役場にて保管される
なお、謄本とは「写し」のことです。
公正証書遺言の場合、遺言書の原本は公証役場にて保管されます。
そのため、遺言書が勝手に偽造変造される心配はありません。
自宅に謄本を保管=死後に遺言書の存在が明らかになる
自宅に公正証書遺言の謄本を保管しておけば、自分の死後ほぼ確実に遺言書の存在を親族に知らせることが可能となります。
公正証書遺言の謄本は、わかりやすい場所(机の引き出し等)に保管しておいても特に安全上の問題はありません。
そもそも、自宅にあるのは「遺言書の謄本」にすぎません。
あくまで原本は公証役場にあるため、偽造変造の心配はありません。
上記のとおり、公正証書遺言は「保管」の面で大変優秀です。
そのため、大半の専門家は遺言書作成にあたり公正証書遺言を推奨しています。
自筆証書遺言の保管に関する問題点
次に自筆証書遺言(手書きの遺言)について解説いたします。
こちらは、先に説明した公正証書遺言とは異なり、遺言書の保管方法について注意が必要です。
保管の際は、
・死後、遺言書が発見されるようにする
・遺言書の偽造・変造を防ぐ
という点に注意を払う必要があるのです。
発見しにくい場所に遺言書を保管してはいけない
自分しか分からない秘密の場所に保管しておいた場合を想定してください。
この場合、自分の死後に遺言書が発見されないという可能性があります。
遺言書が発見されないということは、家族への自分の遺産相続についての想いを伝えられないということです。
これは、非常に残念な結果です。
せっかく時間と費用をかけて遺言書を作成したにもかかわらず、保管方法が悪かったために、家族に気持ちを伝えることができないという結果になってしまいます。
相続手続き終了後に自筆証書遺言が発見されたケース
また、相続手続きが完了した後に遺言書が発見された場合は相続人に負担がかかります。
一度行った相続手続きを、再度やり直す必要が出てくるのです。
このように、保管方法を間違えると残された家族・相続人にとって大きな負担となってしまうのです。
見つかりやすい場所に保管するのもお勧めできません
反対に、見つかりやすい場所に遺言書を保管しておくこともお勧めできません。
これは「遺言書の偽造変造の防止」という観点からです。
遺言書を見つけやすい鍵のかかっていない場所に保管すると、偽造・変造・破棄の恐れがあります。
(書き換え・破棄の可能性がある)
自筆証書遺言の場合は「原本=自分で保管」となります。
そのため、偽造変造に注意を払う必要があるのです。
では、自筆証書遺言はどのように方法で保管すればよいのでしょうか?
自筆証書遺言書の安全な保管方法
上記説明のとおり、自筆証書遺言は保管の面で不安があります。
一般的に言われている安全な保管方法としては、
・金庫にて保管
・信頼できる第三者に預ける
という方法があります。
以下、それぞれについて解説いたします。
金庫にて保管
重要書類を自宅金庫にて保管しているという方も多いと思います。
自宅に金庫がある場合は、そちらで保管すると安全です。
少なくとも、机の引き出しで保管するよりは安全な方法です。
信頼できる第三者に保管を依頼
また、信頼できる第三者に遺言書の保管を依頼するもよいアイデアです。
親族に遺言書の保管の依頼をするとトラブルの原因となることもあります。
そのため、専門家(弁護士、司法書士、行政書士、銀行)に遺言書の保管を依頼するのが確実です。
専門職では、遺言書保管を「月1000円~2000円」で扱っている事務所があります。
遺言書保管について不安・心配があれば、専門家に保管を依頼するのも一つの方法です。
やはり公正証書遺言が一番安全!
ここまで「公正証書遺言・自筆証書遺言」についてそれぞれ説明いたしました。
繰り返しになりますが、やはり公正証書遺言の方が保管の面では安全確実です。
公正証書遺言を作成された場合には、遺言書の正本は公証役場にて保管されます。
そのため、偽造・変造・破棄の心配がないためです。
そのため、保管に関する安全性の観点からは、公正証書遺言にて遺言書を作成された方が良いでしょう。
まとめ
ここまで遺言書の保管方法についての解説いたしました。
公正証書は安全確実。自筆証書遺言は要注意ということを覚えていただき、今後の遺産相続にお役立てください。
・公正証書遺言は保管面で安全確実
・自筆証書遺言の保管方法には注意が必要
・自筆証書遺言=金庫・専門家に保管を依頼するとよい